来たれ精霊よ 作品61
Come Holy Spirit Op.61
1988年3月作曲
1993年10月11日初演
混声合唱
作品60と同様単純な構成の、終始落ち着いた曲。教会音楽的要素が強い。
ポーランド放送合唱団、ポーランド室内合唱団「スコラ・カントルム・ジェダネンシス《 ヴオジミェシュ・シェドリク指揮
Polish Radio Choir & Polish Chamber Choir"Schola Cantorum Gedanensis" Włodzimierz Siedlik,Conductor
2003年 Acte Préalable
12:34
ライヴの音源なので最後に拍手があります。
技術的にそう怪しげなところは無いし、ライヴゆえの興奮もある好演。
ただ録音はそんなに良くはないかも。
クラクフ・ポーランド放送合唱団 ヴオジミェシュ・シェドリク指揮
Polish Radio Choir Cracow Włodzimierz Siedlik,Conductor
2003年6月6日 Polskie Radio
14:15
ゆっくりしたテンポで実に綺麗に歌ってくれています。録音も素晴らしい。これがあればとりあえず文句なし。
幻想曲のように(弦楽四重奏曲第二番) 作品64
String Quartet No. 2 "Quasi una fantasia" Op.64
I.Largo, Sostenuto - Mesto
II.Deciso - Energico, Marcatissimo sempre
III.Arioso: Adagio cantabile, ma molto espressivo e molto appassionato
IV.Allegro, sempre con grande passione e molto marcato
1990年12月-1991年3月作曲
1991年10月27日初演
弦楽四重奏
クロノス・クァルテットに献呈。
彼独特の教会歌的・または民俗的旋律が主軸となり、ゆるやかな曲進行と粗野な面を持つ部分が交錯していく。
クロノス・クァルテット
Kronos Quartet
1992年8月 Elektra Nonesuch
I.8:07 II.6:45 III.7:24 IV.9:31
基本的には重苦しい緩やかな曲調でありながらも、きしみをあげながら4楽器が暴れる面も持つ
かなり作品53と作りが近い曲です。
演奏に文句あるわけありません。淡く美しい演奏です。
シレジアン弦楽四重奏団
The Silesian String Quartet
Marek Moś・Arkadiusz Kubica,Violin Łukasz Syrnicki,Viola Piotr Janosik,Cello
1994年1月 Olympia
I.7:01 II.6:51 III.7:46 IV.9:35
クロノスのNonesuchにおけるクリアな録音とは違い、こちらはOlympia特有の強い残響。
さらにポーランド出身の団体らしい、癖のある音。
このあたりが、どちらの演奏をよしとするかの大きな分かれ目でしょう。
個人的にはクロノスのあっさりさも悪くないですが、こちらの方が音楽の本質を表している気がします。
随所に現れる民族的な旋律が、このごつごつした演奏によく合っている。
ロイヤル弦楽四重奏団
Royal String Quartet
Izabella Szalaj-Zimak・Elwira Przybylowska,Vn. Marek Czech,Vla. Michal Pepol,Vc.
2010年2月8-11日 hyperion
I.7:49 II.6:57 III.8:00 IV.10:16
冒頭の重苦しい葬送行進から良い感じに気合入ってます。
穏やかな時は瞑想的な感情を出すように、激しい時は硬い音でかきむしるように、表情が実に豊か。
ダイナミクスが一番はっきりつけられていて、実に聴きやすい。
フルートとオーケストラのためのコンチェルト・カンタータ 作品65
Concerto-Cantata for flute/alto flute and orchestra Op.65
I.Recitativo
II.Arioso
III.Concertino
IV.Arioso e Corale
1991年11月-1992年9月作曲
1992年11月28日初演
フルート独奏、管弦楽[4.4.4.4 - 6.4.3.1 - 打楽器(3) - ハープ - 弦(16-18.14-16.12-14.10-12.8-10)]
フルート奏者Carol Wincencに献呈。
キャロル・ウィンセンス;フルート ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団 アントニ・ヴィト指揮
Carol Wincenc,Fl. Warsaw Philharmonic Orchestra Antoni Wit,Conductor
2011年9月6-7日 Naxos
I.5:39 II.4:36 III.5:02 IV.6:09
初演者によるフルート独奏。
フルートの低音による冒頭のソロが延々と続く中、その最後に突如管弦楽のユニゾンが突き刺さる。
そのまま第2楽章でも、旋律は流れていきながら弦の低い持続音が重苦しく奏でられますが、
そこにはどこか美しさも感じられるあたりがかっこいい。
そしてそこから一気に雰囲気を変えて弦楽とソロの舞踏風な第3楽章へ。
序盤は素朴で美しい輪舞ですが、音楽は次第に粗野な性格を帯びながら展開し、
重苦しい音楽の頂点で音楽は第2楽章の楽想に回帰して、弦とソロの低い響きに消えていく。
作曲年代が近いこともあり、構成はOp.66に非常に似ている。
ただ、あちらのようなインパクトはない分こちらは暗くも綺麗な楽想が聴きやすくていいと思う。
個人的にはこっちのほうが好き。
演奏は鉄壁の面々、おかしいはずがない。
…歌は歌われる(弦楽四重奏曲第三番) 作品67
String Quartet No. 3 "...Songs are sung" Op.67
I.Adagio - Molto Andante - Cantabile
II.Largo,Cantabile
III.Allegro,Semple ben marcato
IV.Deciso - Espressivo ma ben tenuto
V.Largo - Tranquillo
1994年11月-1995年1月作曲
*2005年5月編曲
2005年10月15日初演
弦楽四重奏
委嘱・初演者であるクロノス・クァルテットに献呈。
初稿にあたるものは95年に書き上げられていたが、その後10年に渡って推敲が繰り返される。
第三楽章のみ印象的な急。シマノフスキの引用も行いながら、ほぼ全曲は反復和音の上で作られる。
副題は、ロシア詩人ヴェリミル・フレーブニコフの4行詩から。
クロノス・クァルテット
Kronos Quartet
2006年8月1-3日 Nonesuch
I.10:33 II.10:59 III.4:22 IV.11:26 V.12:34
ついに出ました第三番。
いつになったら完成するのか、そもそも完成するのか上安でしたがこうして聴くことができて何よりです。
にしてもなんで弦楽四重奏ばかり贔屓するのか。最近の他の曲ももっと録音出して欲しい・・・
内容はいつものグレツキ節です。
50分のうち速いのは5分間。あとはひたすらコラール的和音の連続がすべてを支配。
ここまでくるとドローン音楽にも似た感覚を覚えますね。
初演者だけあってクロノス、さすがです。
ロイヤル弦楽四重奏団
Royal String Quartet
2010年2月8-11日 hyperion
I.11:11 II.12:55 III.4:51 IV.12:24 V.14:31
この終始重い音楽を、微妙に味付けしながらも表情を感じさせるようにしてくれている。
ゆっくりと流れていく川のように、音楽のかすかな濃淡をしっかり聞かせてくる。
耳にこの重厚な曲がすっと入ってくる、上思議な感覚はたまりません。
この曲はこんなに素朴で美しかったんだなあ、というかすごいクラシカル。
グレツキが晩年思い描いていた音楽を、クロノスとは別角度から切り込んで表現した好演。
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