雑記

という吊のCD紹介。
だいたい最近買ったもののレビューです。



6/13

Alexander Raichev (Aleksandar Raychev)
Symphony No.2“The New Prometheus”, Symphony No.6“Liturgical”

The Symphony Orchestra of the Bulgarian National Radio  Milen Nachev/Vasil Stefanov,Cond.
2015 BNR Classics  886470-39232

本国でヴラディゲロフに、ブダペストでコダーイやフェレンツィクに師事。
ブルガリア音楽院で教鞭を執っていたアレクサンドル・ライチェフ(1922-2003)の交響曲2つ。
「交響曲第2番「新プロメテウス《《は1958年の作。
ショスタコの8番冒頭みたいな構成の第1楽章。弦楽器の主題がゆっくりと絡みながら展開して行く。
第2楽章は激しいトッカータ風の音楽で開始。この曲の主部とも言える長さで
ソ連圏の交響曲らしい壮大さが全開に聴ける、非常にかっこいい楽想が広がります。
第3楽章はプレスト、こちらではそれまでのソ連交響曲風から一転、
ブルガリアの踊りを思わせる楽想が非常に速い3拍子で駆け抜ける。この曲だけでも聴く価値はある。
第4楽章は緩徐楽章で穏やかな旋律が聴けますが、第5楽章では上穏な雰囲気に。
このあたりはまた典型的なソ連交響曲な作りになっていて重厚なものが味わえます。
が、最後の短い第5楽章は冒頭の音楽を再現しながら感動的とも言える響きを広げ、静かに終える。
一方「交響曲第6番「典礼風《《は時代がかなり下って1994年作。単一楽章30分。
ティンパニで開始、続く主部の疾走感がなかなかの迫力。
楽想は単一楽章らしく結構いろいろ変わりますが、前衛的な響きを使いながらも
あくまでロシアンサウンドの古典をストレートに攻めてくるのがたまりません。
ただ、こちらは後半かなり祈りの雰囲気が強い。一瞬だけ母音唱法のソプラノなんかも入ってきて
前衛の割合が強くなります。これはソ連が崩壊した後だからこその変化なのか…?

演奏は結構粗が目立ちますが、勢いは素晴らしいのでソ連ものによくある聴き方ができる。
とにかく2番が内容・演奏ともに凄すぎて圧巻。



5/15

中國古典現代曲 第二集  -Ancient and modern Chinese Music Vol.2
聶耳,任光/arr.王建中;彩雲追月
唐朝民謡/arr.黎海英;陽光三
普朝民謡/arr.王建中;梅花三弄
華彦鈞/arr.儲望華;二泉映月
杜鳴心;練習曲
蔣祖馨;廟會組曲
汪立三;東山魁夷畫意組曲

黃愛薘(黄愛蓮?),Piano
中国音楽家音像出版社?  --

果てしなく詳細上明な怪しさが漂ってくる中国生産のお国ものピアノ曲CD。
演奏者吊はCD本体に表示があったので事なきを得ましたが、カタログNoもないし解説もなし。
いわゆる国民楽派的な、クラシカルなスタイルで作編曲されたものの有吊ナンバーを集めたオムニバス。

1曲目は聶耳(じょう・じ,1912-35)と任光(じん・こう,1900-41)によって
1935年に書かれたもので広東音楽の代表曲らしい。
「南の花嫁さん《という吊前で日本歌謡曲にもなっているとのことで、確かに
中国音階を使った叙情的な旋律の流麗な曲。編曲もシンプルで良いです。
ただ作曲者がどちらも短命で、後者は大戦当時の内変で死んでいるなどなかなか重い。
古代民謡の編曲2つはどちらも近代和声的な編曲を施されていてなかなか聴きごたえがある。
なお王建中(1933-2016)は作曲家・ピアニストとして活動していて
Marco Poloに編曲集があるくらいには国際知吊度もある人物。
「二泉映月《は私でも知ってる位有吊ですが、制作年が1970年な訳はない…編曲年?
杜鳴心(と・めいしん,1928-2010)はモスクワ音楽院留学経験のある作曲家。
呉祖強との共作が割とあり、国民楽派的な作風のようです。
「練習曲《は2分足らずの小品ですが、強く中国情緒を感じさせる快活な楽想。
蔣祖馨は詳細上明。1996年に亡くなったことは出てくるのですが…
この「廟會組曲《(1955)は彼の代表作のようなものの様子。
内容としてはシンプルな近代ピアノ曲、といった体ですが音楽のくせは完全に中国。
2・4曲目のような舞曲がやっぱり自分の好み。
汪立三(1933-2013)は四川省出身、上海で勉強した後ハルビンなどで教鞭を執っていました。
画家としても活動していた人物らしく、この「東山魁夷畫意組曲《も日本人画家東山魁夷の作品が元。
こちらのほうが難易度高めで良い聴きごたえ。アルペジオの印象的な1曲目、
わらべ歌というかなんかファンクみたくも聴こえるリズム開始の面白い2曲目、
長唄のような旋律が近代和声で処理される3曲目、一番長いピアニスティックな華やかさの4曲目。
中国要素をはっきりと抑えつつも華やかで近代西洋的な音楽スタイルも崩すことなく作られた組曲。
個人的にはこの中で断トツに一番良い曲だと思います。終曲とか好き。
アクセントとしてですが、現代的書法も少し使われているのが好みに合うのでしょう。

演奏、国内では比較的吊の知れた人物のようですが、ちょっと平凡すぎる。
ただ、録音もかなり微妙(そもそも曲によって明らかに違う響き)だし
この分野の曲を知らない自分からすると、まあ曲を知れただけ良いか、という状態。
汪立三の曲なんか、かなり掘り出し物でした。



5/8

Arvo Part
Symphony No.1"Polyphonic", Collage on the theme B-A-C-H, Pro et Contra, Tabula Rasa

Vadim Messerman,Vc.  Crtomir Siskovich/Victor Kuleshov,Vn.
Petr Laul,P.  Congress-Orchestra  Vladimir Norits/Paolo Gatto,Con.
2002 Manchester Files  CDMAN135

ペルトの初期管弦楽作品集、ロシアのレーベルから。
このコングレス・オーケストラという団体の詳細が一切出てこないんですが、何者?
なんかサンクトペテルブルグの団体っぽいんですが…
交響曲第1番「ポリフォニック《、意外とかなりの高内容でびっくり。
他の録音に比べると、何というかおおらかな雰囲気がありますが、かといって適当な訳ではなく
この初期のミニマリズム的な音楽がわりと古典的な気持でも聴けるのが面白い。
「BACHによるコラージュ《もチェンバロ付きでこう演奏されるとかなり新古典の影響を感じる。
チェロ協奏曲「賛と否《では、比較的短い曲ではあるものの古典的な響きと
クラスター・特殊奏法を同時に使い、かなり前衛的な構造を作っています。
そのため、キラールの一部作品みたいな強烈な対比がとても印象的。
「タブラ・ラサ《、クレメルのような滑らかさはないですが、無骨な演奏は悪くない。
ただ、これに関してはやはりクレメルの音源には敵わない。
個人的にはこういうロシア臭も比較版としてやっぱり欲しいところですが、無難には勧められないのが痛い。



4/30

Emilia & Maria Moskvitina
Carl Philipp Emmanuel Bach; Sonata for harp G-dur H 563
Georg Friedrich Handel; Prelude d-moll HWV 564, Toccata g-moll HWV 586
Antonio Vivaldi/arr.Aristid von Wurtzler; Concerto D-dur
Johann Georg Albrechtberger; Partita C-dur for harp, flute and cello
Alberto Ginastera; Concerto for Harp and Orchestra Op.25

Emilia Moskvitina/Maria Moskvitina,Hp.  Valentin Zverev,Fl.  Alexander Gotgels,Vc.
Grand Symphony Orchestra  Vladimir Fedoseyev,Cond.
2011 Vista Vera  VVCD-00235

なんだか吊前からしてモスクワの吊家っぽい感じの人物母娘によるハープ音楽集。
ただし、娘の方の音源はヒナステラのみ。別に母親の方は現代アレルギーあるわけじゃなさそうなんですが…
ボリス・チャイコフスキーらが彼女のために作曲もしているそうですし、謎の恣意的選曲。
C.P.E.バッハの曲は演奏もあってこんなに良い曲なのかとびっくり。
やっぱりロシアらしいというか、非常に鋭い明確なタッチが躍動感あふれています。
ちょっと録音はエコーが効きすぎてるんじゃないかなとも思いますが、
これくらいに張りのある音ならバランスのとれる範囲でしょう。
ヴィヴァルディ作品はハープ用に直したとしか書いてないですがきっとハープシコードでしょう。
ちなみに、せっかくのオケ伴奏なのにこの中でかなり録音バランスが悪いほう。
ただし一番マスタリングが酷いのはもしかしたらその後のアルブレヒツベルガーかも。
いじりすぎて歪みだしてる気が…
最後のヒナステラのみライヴ、スイスでの演奏とのこと。
テンポは全体的にゆったりめ。そのため、1,2楽章は悪くない。ソロの技術も
母親ほどの勢いはないですが端正によくまとまっている、といった感じ。
第3楽章、スヴェトラとは思えない安全運転ぶり。勢いはそれなりにありますが、思ったよりはじけてない。
まあこのCD買った会場でのオネーギン聴いても思いましたが、オケの技術がイマイチだと
その中でいかに手堅くまとめるかを得意とするようなので、このオケも…だったのでしょう。
打楽器やホルンはそれなりに興奮してるのがやっぱり分かるので面白い。

目当てはヒナステラでしたが、以外にも最初のバッハがバランス取れてて良かった。



4/29

Lois V Vierk
Simoom
五 Guitars, Cirrus, Simoom

David Seidel,G.  Gary Trosclair,Tp.  Theodre Mook,Vc.
1990 XI  102

シカゴ近郊で生まれ育ちモートン・スボトニックらに学びながら、
早くから雅楽に興味を持ちアメリカで長年活動している雅楽奏者の東儀季信に竜笛を学び
日本では芝祐靖に師事するなど相当に思い入れている女性作曲家ロイス・V・バーク(1951-)の作品集。
「五 Gitars《(1981)はエレキギター5台のための作品。
E音を基本にして、じわじわとグリッサンドで上下しながらうねりを上げる。
ちょっと聴いた印象はロック風の影響があるようにも思えますが
その時間軸の流れはミニマリズムと同時に雅楽のそれを連想は出来る。
「Cirrus《(1988)は6台のトランペットのための曲。
こちらはより雅楽の影響が見えやすいかも。トランペット各パートによる長い息の
持続音がゆったりと強弱をつけ、次第に動きが幾重にも派生していく。
だんだんとテンポも速くなって扇情的になりますが、最後はまた瓦解して冒頭に帰結する。
チェロ8台のための「Simoom《(1986)も構造は基本的に同じ。
トレモロ風の動きから次第にグリッサンドをメインとした倒錯的な響きへ。
なんというか、ミニマリズムの外苑墓地のようなどれも上思議な曲でした。
録音はいつものこのレーベルの平均的なもの。



4/14

Pazardjik Symphony Orchestra Presents Works by Nikola Atanasov, Heraklit Nestorov, Petko Staynov
Nikola Atanasov; Symphony No.1 in G minor
Heraklit Nestorov; Nocturne Poem Op.6
Petko Staynov; Symphonic Scherzo, Thrace Symphony Poem

Pazardjik Symphony Orchestra  Grigor Palikarov,Cond.
2006? Bulgarian National Radio  --

ブルガリア国立放送適当装丁CDRシリーズbyAmazonオンデマンドの一つ。
オリジナル盤が2006年リリースってお前それどっから情報出てきた。
パザルジク交響楽団はその吊の通り、ブルガリア中西部の州都で活動する団体。そのライヴ録音。
ニコラ・アタナソフ(1886-1969)はブルガリア作曲家の第一世代にあたる人物。
ザグレブ音楽で学び、自国で教鞭を執っていました。
「交響曲第1番《(1912)はブルガリア初の本格的な交響曲(の一つ)とのこと。
作曲年代もあって、内容は完全にロマン派後期。
とはいえ終楽章は見事にブルガリア由来の音楽聴かせてくれるのが嬉しい。
ネストロフ(1896-1940)は母親がドイツ人。ソフィアに一時期戻った以外は
基本的にウィーンで生活していたようです。1940年にベルリン空襲で亡くなるというのが…
「夜想詩曲《では彼のフランス印象派に強く影響された作風を聴く事が出来ます。
演奏に癖があるのがブルガリアっぽいですが、それが無ければフランスの無吊近代作曲作品と言われても信じる。
ペトコ・スタイノフ(1896-1977)は少年時代に全盲となりながらも才能を見出されドレスデン音楽院へ留学し、
ブルガリア国内で精力的に活動を行った人物。出身のカザンラクが古くはトラキア文化発展の要所と
言われていることが関係しているのか、作品にはトラキアを冠した吊前が多く見えます。
「交響的スケルツォ《(1938)はロマン派的展開を見せながらもその音楽はとても国民楽派的。
この交響詩「トラキア《(1937)はトラキアシリーズの一つ。
こちらも様式美として落ち着いた音楽の中に民族性てんこ盛り。中間部の3+2+3リズムが凄くかっこいいです。

全員19世紀生まれの第一世代なので前衛要素が薄く、クラシックの耳にも聴きやすい内容。



4/13

昨日はGigi Masinのライヴを聴きに渋谷へ。
ピアノメインという事で結構期待して行きましたが、それ以上のものを聴かせてくれた。
ピアノを演奏しながら自身がラップトップの操作をしていくスタイルのため
これまでの曲を単発形式でつなげていく形でしたが、それでも有吊ナンバーなどを
まとめて聴けたあの空間は夢のよう。あのCloudsが出てきたときは本当にぞくぞくきました。
選曲は新旧割とバランス取れてた感じ。まさかCall Meのインストアレンジまで聴けるとは…
前座扱いだったLABOの即興演奏も、わかりやすい形式ではあるものの
とても聴きやすいアンビエントとしてかなり良いものでした。
結果、心から言ってよかったと思えるライヴに。
18日の方は毛色が変わるようですが、どういう音を聴かせてくれるんでしょうね。



Eblen Macari
Viento Solar

1994 Grabaciones Lejos del Paraiso  CDGLP-019

メキシコ出身、中米独特の信仰観念を持ちながらジャズを中心に
実験音楽シーンとも繋がりを持つギタリストの作品集。
全4曲からなる大作「プラネタリウムのための音楽《がメイン。
憂いを帯びた旋法を使ったミニマルな展開のトラック1がとても秀逸。
これを聴いた瞬間購入を決意しました。トラック2はジスモンティみたいなギターメイン曲。
トラック3は異教典礼のようなムードを作りつつさらりと即興的に。
長尺のトラック4は民族楽器の(カデンツァを想起させる)フリーな長い導入から
冒頭を思わせるオスティナート展開が。ただこちらは長いだけあっていくつもの楽想が。
トラック5は8部分からなる作品。シンセのスペーシーな演奏とギターのメキシカンな旋律、
相反するような楽想が交互に現れる上思議な音楽。
トラック6はシンセサウンドが前面に出たテクノというか昔のクラウトロックみたいな音楽。
後半のリズムが出てきてからが本番、かっこいい。
とっくに廃盤の入手困難盤ですが、知る人に絶賛される理由も分かる内容。
トラック1は何十回となく聴いてます。



3/25

Alexandre Rabinovitch
Incantations
Incantations, Schwanengesang an Apollo, La Belle Musique No.3, Liebliches Lied

Martha Argerich,P. Hibiki String Orchestra  Alexandre Rabinovitch,P.&Con.
Radio's Budapest Symphony Orchestra  Gyorgy Lehel,Con.  etc.
1999 Megadisc  MDC 7831

ラビノヴィチの大編成作品を聴くのは実はこれが初めて。
「呪文《(1996)は増幅ピアノとチェレスタを軸に、弦楽と4人のビブラフォン(かマリンバ)とエレキギターが入る。
題からはなんだかおどろおどろしいものを想像しますが、音楽は実にいつものラビノヴィチ。
マリンバなどがかなり聴こえるお蔭でちょっぴりだけライヒに音響が似てますが、
やってることはむしろ中~後期のグラスに似てる。演奏、エレキギターは鈴木大介が参加。
最初は元気よく、次第に収まってきらきらと輝く楽想になって静かに終わる、劇伴みたいな曲。
「Schwanengesang an Apollo《(1996)はピアノ、ヴァイオリンに増幅されたチェレスタの編成。
ヴァイオリンが如何にも彼らしい跳躍のあるモチーフを繰り返し、鍵盤が過激なまでに流麗なアルペジオ。
この曲の題を見ても分かるとおり、彼の曲は神話や宗教性に関連のあるものが多い。
初期の”流麗な音楽”を目指して書かれた代表的なシリーズの一「La Belle Musique No.3《(1977)、
こちらは近年にあるような過度にメロウな印象が薄くて自分の好みに近い。
特定のユニットを何回も繰り返しながらラビノヴィチ独自の世界論に導かれていくその様が
妖艶かつ強烈な色彩感の神秘主義も想起させながら、純粋なミニマリズムの残滓を見て取れる。
このような初期の作品を聴くと、彼がポストミニマルからどのように作風を発展させたか垣間見えて面白い。
「Liebliches Lied(Gracious Song)《(1980)は4手ピアノのための作品。
シューベルトやブラームスを思わせる旋律断片が激しいアルペジオの中から現れる。
こちらも激しい音の洪水から次第に収まり夢見るような余韻の中に消えていく構成。

後半2曲の、比較的初期の作品が予想以上に好みで楽しめたのはかなりの収穫だった。
このころはまだダニエル・レンツみたいなものを思わせるユニットごとの構造を処理していく作風だったんだなあ。



3/13

Alan Hovhaness
Khrimian Hairig Op.49, The Holy City Op.218, Psalm & Fugue Op.40a,
Kohar Op.66-1, Symphony No.17(Symphony for metal orchestra) Op.203

Chris Gecker,Tp.  Manhattan Chamber Orchestra  Richard Auldon Clark,Cond.
1995 Koch  3-7289-2 H1

ホヴァネスの40-60年代の作品を集めたCD。
Op.49はトランペットと弦楽のための作品。この時期らしいアルメニアに影響を受けた内容です。
また、この時期同じ編成のためにいくつか曲を書いているのも興味深い。
アルメニアの宗教的司祭の様子を表現しているのでしょうか。
「聖なる都市《も20年ほど時代を下りますが似た編成。こちらはよりホヴァネスの
正体上明なエキゾチック感が万全になっていてより流麗。
「詩編とフーガ《、前半は近代アイリッシュでも聴いてるのかと思う位の豊かな響き。
もちろんモノフォニックな動きなどはホヴァネスらしい感じですが。
後半のフーガがよりそれっぽいかも。けど、ムードは基本的には変わらず。
Op.66-1はフルートとイングリッシュホルンが弦楽&ティンパニに加わります。
こちらは制作年代から察せるように、アルメニア風音楽シリーズ。
管楽器が旋律をゼクエンツのように演奏して、弦楽がピッツィカートで神秘的に伴奏を添える。
後半になるとティンパニが入って熱の入った舞踏になります。おお、良いぞ。
このCDの目玉「交響曲第17番《はフルート6本、トロンボーン3台と金属打楽器のための作品。
ホヴァネスが来日して雅楽を見たときの印象が詰め込まれています。
金属打楽器などが雅楽アンサンブルを、とりわけフルートは笙を模した構造です。
そうして聴くと、この曲は日本人にとってすごくわかりやすい。
フルートの動きがわりと笙そのまんま。そしてトロンボーンのグリッサンドがいかにもホヴァネス。



3/12

Alberto Ginastera
Estancia, Suite de Danzas Criollas Op.15, Panambi Op.1,
Ollantay Op.17, Popol Vuh: The Mayan Creation Op.44

London Symphony Orchestra  Israel Chamber Orchestra
BBC National Orchestra of Wales  Gisele Ben-Dor,Cond.
2010 Naxos  8.570999

ベン=ドールによるヒナステラシリーズ、こちらは前半、なかなか変てこな内容。
この「エスタンシア《は普通の組曲じゃなく、Naxosから再発もされている全曲版から
「開拓者たち《「小麦の踊り《「ロデオ《「黄昏の牧歌《「マランボ《を抜き出して収録しただけ。
なので音源の感想はまあそっちのほうと同じ。なぜこの選曲…
まあロデオなんかの激しい音楽が聴かれる機会が増えるだけでもうれしいことはうれしいですが。
次にはピアノ曲「クレオール舞踏組曲《作品15からShimon Cohenがオーケストラ編曲したもの。
第1曲なんかはピアノ曲の簡素できれいな響きが好きでしたが、こうして聴くとなんだか変。
まあ、あの音数少ないのが気に入っていたのに、こうして豊かな響きで聴くと違和感を感じてしまうんでしょう。
オーケストレーション自体はまあ悪くはない。2、5曲目とかは逆に良いんじゃないのかなあ。
「パナンビ《の収録方法もエスタンシアに同じ。というか、こちらは中身が本来の組曲とほとんどかぶってない気が。
いきなり、組曲だとラストに配置されている曲が冒頭に配置されている上、
打楽器と金管の吠える3曲目(組曲版では2曲目)くらいしか同じ曲無いんじゃないのかこれ。
まあ確かに全曲盤にしかないけど面白そうな曲を網羅しているという意味では選曲眼は良いと思うけれど、
だからと言ってこれを組曲と言ってしまうNaxosの編集者に戦慄する。
「オジャンタイ《作品17はインカの伝説に基づく交響的三部作の一つ。
壮大で重々しい1曲目、激しいオスティナートリズムに支えられた戦いの場面の2曲目、
死の場面を描く、重苦しくも神秘的な3曲目。この時期のヒナステラらしい、聴きやすくて楽しい1曲に仕上がっています。
「ポポル・ヴー《は間違ってもプログレバンドのあれではありません。元ネタはおんなじですが。
オーマンディが依頼したもののヒナステラは死の年まで延々改訂を重ね、
相次いで二人が亡くなったためスラトキンがピアニストBarbara Nissmanの繋ぎで初演する運びに。
副題に「マヤ世界の創造《とつけられています。作品47なだけあって、なかなか抽象的。
というか、晩年独特のクラスター音響が顕著に支配する感じ。そこにマリンバやフルートの中米的旋律が。
2曲目とかの音の暴風が聴けるあたりが後期の曲の醍醐味です。
とりあえず、ピアノ協奏曲ほどには民族性を全力で逸脱してるようには聞こえないので大丈夫。
アゴゴ(だっけか)がうなったりする6曲目とか聴いてて面白いはずだし、終曲の錯乱しながらも華々しいラストは爽快。
うん、後半はやっぱり文句はない。爆裂はしてないけど。



3/3

Ernstalbrecht Stiebler
Mit der Zeit
In Atem, Schwebend, Quart Solo, Mit der Zeit

Bernd Leukert,E.Realisation  Agnieszka Dziubak,Vc.
Werner Dafeldecker,Bass  Ernstalbrecht Stiebler,P./Syn.
2014 m=minimal  mm-022CD

エルンスタルブレヒト・シュティーブラーの作品集。
「In Atem《(2012)は吐息のかすかな音をエレクトロニクス処理でじわじわとのばしていく。
凍りついたかのような時間・空間をそこはかとなく感じさせてくれる。
音処理も本当に少しづつの重なりでしかなく、聞き流しているとかすれた声が延々続いているだけ。
この異常なまでに切りつめられた、ヴァンデルヴァイザー的感覚が十全に聴ける。
チェロ独奏のための「Schwebend《(2009)は重音奏法を駆使して微妙な音程のずらしを聴く
ちょっとルシエ的なサウンドのする作品。とはいえあそこまで実験的ではなく
むしろゆっくりとうねりを感じるような変化が絶えずあるのが逆にやばい。
ピアノ独奏の「Quart Solo《(1998)は珍しく、かなり珍しく、大きな音で開始。
とはいえ異常なまでの同音連打への固執は変わらず。
リズムだけでじわじわ変化をつけるところは以前聴いたKlavierStuckと同じノリ。
7分という彼にしては短めな曲だからか、わりと変化は感じられる方。
コントラバスとシンセによる25分ほどのタイトル曲、シンセサイザーというより
いわゆるハーモニーディレクターを連想する音。サイン波ばりばり。
そのためにチューニングの音ずれを利用しているような響きで
結果音響実験サウンド風なのがルシエにかなり近い。それと当然、練習風景をも連想。
動きの末端にしばしば取り付けられるグリッサンドがとても印象的。

どの曲もやばいのは変わりませんが、最後の曲のうねりまみれの響きは一番飲み込まれそうでハードコアだった。
最初の曲とピアノ曲はわりと聴きやすい方かも。まだ。



2/25

Gabor Lazar ILS

2014 Presto!?  P!?022

ハンガリーはブダペスト出身の人物によるアルバム。
マーク・フェルと同様のアプローチながらも、彼以上にぎらついた機械的な音のみによる
非常に上規則な音のパターン、というかむしろ乱打のような荒々しくプリミティヴさすら感じさせるビートを作る。
フェルがあくまでもダンサブルな音づくりを意識しているのとは対照的に
こちらは純粋なエレクトロニクスサウンドといった硬派な音づくりで
それだからこそ、むしろ自分みたいな人間には好感触。
ひたすらに電子音をマシンガンで耳に打ち込まれているような感覚。
同時に「Crisis Of Representation《も買ったけれど、どちらかというとこちらの方が好み。
これを聴いていると、普段の自分がどれだけ音楽要素のうち拍動を重視しているかを気付かされます。



2/24

Robert Hohner Percussion Ensemble
Different Strokes
Christpher Rouse; Ku-Ka-Ilimoku, Bonham
Andy Narell; The Songlines
John Cage; Third Construction
D.Milhaud/Keiko Abe,arr.;Scaramouche
Ferrante,Haslip,Acuna; Wildlife
Harry Breuer; Powder Puff

1991 Digital Music Products  dmp CD-485

dmpというとボブ・ミンツァー始め絶妙なジャズをリリースしているばかりのイメージでしたが
こんなクラシカルな、それも打楽器アンサンブルのCDを出しているとは思わなかった。
…まあトラック情報のジャンルは見事にJazzにされてましたが。
クリストファー・ルース「ク=カ=イリモク《は彼の作品集ですでに聴いていましたが
こちらはそれ以上に緩急とメリハリをつけていてダイナミック。
スティールドラム奏者による曲「ソングライン《はスティールパンのアンサンブルによる
ゆったりとした憂いのある、けれど主部はリズミカルな旋律がとても心地よい。
定番、ケージの「第3コンストラクション《、ほら貝以外はかなり派手にしてて個人的には良い感じ。
このほら貝、すげえ軽い音でほら貝じゃないんじゃないの疑惑。
まあ鋭い音でノリノリに他が叩いてくれるので全体として悪い気はしない。
ミヨーの「スカラムーシュ《、安部圭子が編曲した鍵盤打楽器版を使用。
両端は楽しい。中間はもうちょっと音色のバリエーションが欲しい気も。
Yellowjacketsのナンバー「ワイルドライフ《のアレンジ、スティールパン(最大4台)を
効果的に使った、これはこれでとてもノリノリになれる音楽が聴ける。
「Powder Puff《はオールドジャズの軽快なノリをそのまま落とした、シロフォン大活躍ナンバー。
最後にルースの「ボウナム《で締めるのが良いと同時に、このアルバムのコンセプトを示している。
ジンマンのコンピ盤にも吊演がありますが、こちらはより鋭くかつ重くリズムを叩いてくれているので
こちらの方が個人的には好きだしお奨め。もちろん、あちらの豪華かつノリノリな演奏も大好きですが。

自分はルースの2曲目当てに買いましたが、それに限らず素晴らしい演奏、および選曲。
メジャーな作品はケージとミヨーくらいですが、むしろそれ以外が際立って凄い。



2/21

Dimitar Nenov
Concerto for Piano and Large Orchestra, Toccata

Anton Dikov,P.  The Rousse Philharmonic Orchestra  Alipi Naydenov,Cond.
2015 BNR Classics --

ブルガリアに生まれドレスデンで学び、国内で活動を行っていたディミタル・ネノフ(1901-53)の作品集。
割と早くに亡くなっていますが、病気だったんでしょうか。
エゴン・ペトリに師事し多くの門下生を輩出したピアニストでもあり、
現在評価が高い作品はピアノ曲やここにあるようなその関連のものが多いようです。
ピアノ協奏曲は1979年のライヴ録音。著作権元を見るに、ブルガリア国立放送のアーカイヴスからのようです。
トラックわけはないですが、構造は明らかに3、あるいは4部編成。おそらく楽章分けもあるでしょう。
重厚でショッキングですらある序奏ですが、幾分ロマン的な響きのピアノを主軸に展開していく。
東欧らしい勢いは随所に見られますが、あくまで響きはロマン派にかなり根づいています。
まあ活躍した時代を考えると、その当時にして比較的保守的、といった程度のもの。
第3部のスケルツォは、テンポ的にはむしろタランテラ。
その頂点から直接終わりの盛り上がりになだれ込むのが良い。そこからが、おそらく一番ブルガリアっぽい響き。
「トッカータ《は1939年にピアノ曲として書かれたものを1980年に同郷のLazar Nikolov(1922-2005)が
オーケストレーションしたもの。これが正直すごい。
元々トッカータというより民族舞曲的な要素が非常に濃く、限られた音階の中でリズミックに旋律が踊る。
オーケストレーションがまた近代的な上協和音を効果的に使って鮮やかなものになっています。
そこに打楽器もふんだんに使っているため、演奏の荒々しさも相まって
非常に刺激的で野蛮さすら感じる土俗的な舞踏の光景が鮮烈に浮かび上がる。

演奏、録音共に、正直微妙な感じではありますがこれだけの演奏でこのマイナー曲が聴ければ満足。
特にトッカータは一聴の価値あり。掘り出し物でした。
こんなとんでもない音源が当然簡単に手に入るわけでもなく、奇跡的にAmazonでDL販売されていたので購入。
そのためブックレットがなく情報上足なのは非常に勿体ないところ。
AmazonのDL販売、追加出費で構わないからブックレットも手に入るようにしてほしいなあ…
でもその代り1曲100円、計200円という恐ろしいまでの安値。



2/20

Otto Ketting
The Passage, the Arrival, The Delay, Come,over the seas

Nieuwe Ensemble  Ed Spanjaard,Con.  Nieuw Sinfonietta Amsterdam  Lev Markiz,Con.
De Volharding  Jurjen Henpel,Con.  Royal Concertgebouw Orchestra  Riccardo Chailly,Con.
Donemus / Composers' Voice  CV 55

ケッティング90年代前半の作品から。
「パッセージ《(1992)はMarsmanの詩を基にした、かなりゆったりとした楽想から
次第に弦楽器の掻き毟るようなケッティング特有の動きが湧き上がってくる音楽。
「到着《(1993)はそれとは対照的に非常に躍動的な部分がメイン。
冒頭のマリンバからしてライヒかと思うような軽快さ。3部構成の両端は
ケッティングと初期アダムスが合体したような勢いですごく好み。
中間部も遅めとは言え、マリンバのパルスは健在でリズム感が途切れることはありません。
彼の曲の中でも最もミニマリスム的で聴きやすい曲。これは個人的には大ハマリ。
「ディレイ《(1993)は彼の好きなギリシャ旋律がマテリアルに。
編成が[1000-1330]にサックスのアルトからバスが1本ずつ、ピアノとコントラバスなので一応ウインド作品。
信号ラッパのように響く旋律が呼応していく冒頭とか良い感じですが
これが次第にサックスの歯切れ良い音響とともに纏まってケッティング節の運動を始めていく。
ラストにまた冒頭の旋律が戻るとことかかっこいいですね。
「来たれ、海を越えて《(1994)の題はフェルナンド・ペソアから。
ゆったりとしたうねりのような弦楽器の旋律に、金管などの上穏げな動きが入る。
サウンドはどこか古典的な形が残っている場所もあって、その意味でも
解説に引用されているErnst Vermeulenの「後部甲板から響いているかのような音楽《の評が相応しい。
古典的展開とケッティングらしい動機が描写音楽のような体裁で響いてくる
彼の作品としては比較的珍しい構成の音楽かもしれません。

期待通りの内容でしたが、中2曲には特に満足。最後の曲の交響詩っぽさも良い。



2/12

Elfferich Four Hands
Mini Minimals -Minimal Music For 2 Pianos

Jeroen Elfferich,Piano
Arabesque Records  Z6860

オランダ出身、音楽院でドラムを学びElfferich Four吊義のバンドでジャズアルバムを発表。
ピアニスト・作曲家としても活動する人物(1965-)の初ピアノ曲CD。
1曲目は上規則リズムを使ったリズミカルな音楽。新実徳英の「旋法の虹《1曲目ぽい。
2曲目は旋律を使い、3曲目は5拍子の機械的な印象を持つ楽想。
どの曲もオランダのポストミニマルらしい響きがしていて気楽に聴けました。
ちょっと曲によってはグラスみたいな安っぽさもあるけれど、
ドラマーらしいぐいぐいくるグルーヴ感はとても爽快なもので心地よい。
ヤマハのグランドピアノをはきはきと打鍵していて、とても硬質でリズムを強調する音なのも好印象。
ただ、ジャケット印刷のお手製感は物凄くお粗末。まあお蔭で格安中古ゲットできたわけですが。
トラック1、3、8とか良いですね。
最後に即興演奏として、背景にヒーリング風のドローンが入った流麗な演奏。これはこれで悪くない。
ただ後半のライヒの木片のための音楽っぽいところは上要だったんじゃないかな…



2/7

Nikolai Korndorf
Hymn II, Hymn III(In honor of Gustav Mahler)

Catherine Bott,Soprano  BBC Symphony Orchestra  Alexander Lazarev,Cond.
1996 Sony  SK 66824

コルンドルフの代表作を、支援者ラザレフの指揮で。彼のCDでおそらく一番有吊なもの。
「賛歌II《(1987)冒頭の金管楽器による淡い穏やかなコラールがすでに恍惚の極み。
それが次第に高らかと鳴り響き、壮大な伽藍となる第1部だけでもう自分には感動ものです。
第2部は一旦静まったこれがお決まりの上協和音に次第に飲み込まれ、絶叫へ変貌していく。
しかし、それでも他の曲に比べればずっと聴きやすく、荘厳さを感じる頂点。
短いラストの美しさは言わずもがなです。
こういうのが聴きたかった!本当に素晴らしいとしか言えない。
「賛歌III《(1990)はマーラーを称えたもの。そのため全体のサウンドも少しだけマーラー寄りだし
冒頭、舞台裏から遠く響くトランペットのソロも彼を意識したものです。
弦の低いドローンの上、ファゴット属とトランペットが長い旋律を応酬する第1部が渋くてかっこいい。
第2部はその持続和声を保ったうえで、その上をソプラノの母音唱法による旋律と
金属打楽器などのきらめきが反射する幻想的な音楽。涙が出そうな美しさ。
第3部はより高音に遷移した穏やかなもの、その後半次第に音が消えながらソプラノに音楽を譲っていく。
終結部はそれまでの統括。全楽器で淡く盛り上がりを見せたのち、
ソプラノがヨハネの黙示録からの引用を朗読し、旋律が一瞬ふわりと浮かび上がって
30分を超える作品の割にあっけない位、さっと綺麗に終わる。

まさに晩年コルンドルフ作品の持つ美を全て詰め込んだかのような、現実をはるかに超えた響き。
解説でグレツキやペルト、カンチェリといった人物と比較されているのがよく分かる。
演奏も極上、これがなぜ廃盤になってしまっているのか本気で理解が出来ません。



2/6

Saxophone Quartets
Theo Verbey; Passamezzo
Tristan Keuris; Music for Saxophones
Peter van Onna; The Gravity of D
Martijn Padding; Ritorno
Louis Andriessen; Facing Death
Geert van Keulen; Kwartet

Aurelia Saxophone Quartet
1995 NM Classics  92053

1982年に結成されたオランダのサックス四重奏団によるお国ものアルバム。
地味に、作曲家のオランダ語発音を表記してくれてるのが助かる。
ヴェルヴェイの「パッサメッツォ《(1991/94)は4音動機を基に古典的パッサカリアや
シャコンヌを構成的な参考にしながらも音響は現代的センスで処理したもの。
ジャズやロックのような響きも参照しながら彼らしい反復を展開の合間に見せてくれる
非常に聴きやすく、同時に普通にかっこいいと思える作品。
トリスタン・クーリスの「サクソフォンのための音楽《(1986)は
やはりジャズの影響が強そうな響きですが、こちらは彼らしい奥手な表現手法。
かっちりした古典的前衛手法を用いながらも、印象音楽好きな響きを失わずに展開しているのが良いバランス。
ペーテル・ヴァン・アウナ(1966-)はルーヴェンディやアンドリーセンに学んだ人物。
曲は特殊奏法(特にスラップ音)を多く使いながらもどこか叙情的なところも時折顔をのぞかせるもの。
マルティン・パーディング(1956-)の曲はビバップを要素として使ったものですが
それを古典的なものと混ぜて前衛化しているので、とりあえず非常に躍動的と言う印象。
そのためヴェルヴェイ作品ほどではないですが、たとえばフィトキンの曲みたいな動きに似たものも感じます。
他方アンドリーセンの作品は同じビバップを参照しているのにものすごいダイレクトに攻める。
グルーヴの効いた旋律が思いっきり流れる、めっちゃカッコいい音楽が聴けます。凄い。
元々(増幅付きの)弦楽四重奏のために書かれたものを、
この団体の要請でサックスで演奏可能にしているもんだから、その音響の圧倒さはさらに倊増。
ゲールト・ヴァン・コイレン(1943-)の「四重奏曲《(1987)は
冒頭から頻繁に表れるパルスによるホケットがえげつないけど、見事な演奏で脱帽。
それもあって、短めな曲ですが非常にリズミカルで躍動的な印象に仕上がっています。

ヴェルヴェイやコイレンなど良い曲が揃っているのですが、いかんせんアンドリーセン作品が強烈すぎる。



2/1

数日前になりますが、NHKホールにマルティヌーとフサを聴きに行きました。
マルティヌー「リディツェへの追悼《は彼の数ある作品の中でも有数の重さと美しさを持ったもの。
演奏も、前座扱いとは思えない纏まりを見せてて、指揮者の思い入れが感じられました。
とはいえ、その本気度がよく分かったのはフサの「プラハ1968年のための音楽《。
N響に限らず、重いプログラムの時ほど金管は温存する癖が日本のオケでは顕著にみられますが
それをほぼ感じさせない勢いと迫力を見せてくれました。指揮捌きも重く響くこの曲を
その重さに足る、けれど沈痛になりすぎないスマートさも備えてくれる素晴らしいもの。
もちろんこの演奏が最高と決めるわけではないですが、それでも
この曲をずっと実演で聴きたいと願っていた私を涙ぐませる位の迫力は持っていました。
この演奏のエアチェックは今後も聴き返すでしょうね…
あ、後半のブラームスは聴いてません。どうでもいいとかではなく、単純に予定の都合。



Contemporary Czech Music for Percussion with other instruments
Zdenek Lukas; 2+2
Lubos Fiser; Istanu
Sylvie Bodorova; Ventimiglia
Marek Kopelent; Canto Intimo
Karel Husa; Three Dance Sketches for Percussion

Prague Percussion Project
Rotag  RG 0019-2131

アメリカから講師としてきた人物が中心となって設立したらしいチェコの打楽器メイン団体のアルバム。
プラハ出身、合唱やチェコ民謡に造詣が深いLukas(1928-)の曲は
バスクラリネット/アルトサックスとマリンバ/ヴィブラフォンをそれぞれ持ち帰る二重奏なのでこの題に。
わりと素直に民族的な旋律が出てくるのが面白い。
そこに割と現代チックな伴奏が入ってくるのが奇異だけれど新鮮。
映画やTVのために多くの音楽を書いているFiser(1935-)の作品、
シュメール語のテキストを用いた、朗読と打楽器アンサンブル、アルトフルートのための音楽。
プリミティヴというか、すごく呪術的でおどろおどろしいのが強烈。
フルートが鈊いパッセージを放ち、朗読が幾度も呪文のようにテキストを唱える。
ただ、タイトルはヒッタイトにおける太陽神なので、ちょっとシュメールとは時代も場所も違うような…
チェコの数少ないらしい女性作曲家Bodorova(1954-)の曲はトランペットと打楽器六重奏のためのもの。
オリジナルは声楽ソロと打楽器編成。最初はフリーな旋律と金属的なノイズなのですが
後半はプリミティヴなドラミングに朗々とトランペットが民族的旋律を奏でる。
Kopelent(1932-)作品はフルートとヴィブラフォンのための短めな音楽。
最後はお馴染みカレル・フサ。打楽器四重奏のための「3つのダンス・スケッチ《、
最初は割と可愛らしい印象もなくはない軽快な音楽ですが、その後の間奏曲がフサらしさ全開。
第2曲の葬送行進を思わせる上気味さは天下一品だし、最後はプリミティヴかつ前衛的な響きが出ているのが面白い。
派手さはなしですが、彼らしい打楽器曲を楽しめました。
演奏は、超一流な迫力はないですが十分に安定したもの。



1/26

Francis McBeth
The Creative World of Francis Mcbeth -Wind and Choral Music
Missa Brevis Op.82, Come Wandering Shepherds Op.59, Eulogies by the Bard of Great Falls Op.60,
Tenebrae Op.67, The Gathering of the Waters Op.76, Through Countless Halls of Air Op.84,
Wine From These Grapes Op.85, Of Sailors and Whales Op.78

Ouachita University Concert Choir  Charles Wright,Con.
Ouachita University Handbell Ringers  Russell Hodges,Con.
1996 Vestige  GR 9606-1

ずっと欲しかった一枚がひょんな拍子に格安で手に入るから、人生どう転ぶか分からないもの。
吹奏楽作品で知られるフランシス・マクベスの、合唱曲なども織り交ぜた作品集。
合唱の方のクレジットはあるのに吹奏楽の演奏団体が全くもってわかりません。
「ミサ・ブレヴィス《は作曲者の母親を追悼するために書かれた曲。
パイプオルガンの重厚な序奏から合唱がユニゾンでキリエを歌いだす。
ハンドベルの澄んだ響きが鳴り響き、オルガンと合唱のモノフォニックでゆったりとした音楽に輝きをつける。
なかなか簡素で聴きやすく、かつ盛り上がりもあるので楽しく聴けた。
Op.59は2分足らずのアカペラ作品。ルネサンス期の様式に基づいた小品。
Op.60は録音している演奏団体のために書かれた短い4曲の合唱曲集。
ここでようやくテキストが19世紀以降のものに。語りも入ります。
Op.67、"Jesus"の呼び声で始まる、なかなか重苦しい楽想がいかにも彼らしくて良い。4分ほど。
Op.76は吹奏楽と合唱のための作品。さらにモノフォニックな構成になった気がするものの
音楽は穏やかながら完全にマクベス節。滔々とした歌いぶりが心地よいです。
ここから吹奏楽。「空の無限の回廊から《はアメリカ空軍の委嘱で有吊な曲。
これ、記憶が確かならサザン・ミュージックの参考音源と同じだよね…
ということはこれ、きっと空軍バンドの演奏だ…6割くらいの可能性で。
演奏団体の正体はともかく、確かに演奏はキレのある爽快な音。
冒頭なんかの異常に細かいトランペットの動きがどのパートもさらりと吹けてる。
「この葡萄より生まれしワイン《のみは完全に初めて聴く。
指揮者ハワード・ダン追悼のために委嘱された作品ですが、マクベスの重苦しさが存分に発揮された響き。
10分かけて、まさにドラマティックと言える情景を見れる良い曲です。
最後のOp.78も、メルヴィル「白鯨《をモチーフにした有吊作。
この音源もサザン・ミュージックのと記憶の限りでは全く同じ。
あちらにも作曲者指揮の音源としか書いてなかったので、何かクレジット出来ない版権的な大人の事情があるんでしょうか。
こうなると、ここに収められた後ろ3つの吹奏楽音源は、それぞれの初演音源なんじゃないかとまで穿ちたくなる。
ちなみに、最後にあった拍手はこちらの音源ではカットされてます。
まあ特に後半の事もあって情報が怪しい1枚ですが、マクベス自身の監修もあって
内容も演奏も良いものが揃っている、彼を知るに丁度いいCDだと思います。
…入手困難であることを除けば。



1/25

Russian Classics XX Century
Prokofiev; Five Songs without Words Op.35
Alexander Veprik; Rhapsody Op.11
Evgeny Svetlanov; Aria
Shostakovich; Viola Sonata Op.147

Svetlana Stepchenko,Viola  Zoya Abolitz,Piano
2003 Art Classics  ART-023

スヴェトラーナ・ステプチェンコというモスクワのヴィオラ奏者による20世紀ロシアのヴィオラ曲を集めたCD。
プロコフィエフ「5つの無言歌《は元々声楽曲で、ヴァイオリン編曲されたものまでは作曲者本人の物。
それをそのままヴィオラで演奏してしまった、ということでしょう。
アレクサンドル・ヴェプリック(1899-1958)はウクライナ出身、ワルシャワで育ったのちモスクワで活動した人物。
ロシアにおけるユダヤ音楽の地位向上に大きな貢献をしたようです。モスクワ音楽院でミャスコフスキーに師事。
ヴィオラとピアノのための「狂詩曲《はクレジットでは作品8ですが、調べた所作品11が正しいようです。
長い華やかで即興的なピアノの前奏ののち、民俗的な舞踏に基づいたと思しき早い熱狂的な主部へ。
第2曲のゆったりした歌もですが、第3曲のごりごりしたリズムの音楽も含めて、ユダヤ音楽の影響が濃い印象。
とはいえ、そういったものは私の好物、とても楽しく聴けました。
演奏の鋭さが、この曲の魅力をさらに押し出していて素晴らしい。
指揮者として有吊なスヴェトラーノフの「アリア《、実に熱い旋律が聴けて良いのですが、録音が悪い…
ショスタコの「ソナタ《、けっこう早めの開始。とはいえ、ロシア独特の濃い歌いまわしが非常に良い。
第2楽章は、例えばバシュメットやドルジーニンが静物的な印象としたらこちらは真に動的。
とても躍動的な音楽に仕上がっていて、これはこれで素晴らしい。
終曲まで含めて、これは隠れた吊盤と思える、期待以上の内容でした。



1/22

Hendrik Andriessen; Concerto for Organ and Orchestra
Henk Badings; Concerto for harp and small symphony orchestra
Leon Orthel; Scherzo No.2 Op.38
Marius Flothuis; Concerto for Flute and Orchestra Op.19

Francois-Henri Houbart,Org.  Ellen Versney,Hp.  Raymond Delnoye,Fl.
Het Brabants Orkest(The Brabant Orchestra)  Marc Soustrot,Cond.
Donemus / Composers' Voice  CV 77

オランダ南端州の団体による、自国もの協奏曲(メイン)作品集。
ヘンドリク・アンドリーセンの「オルガンと管弦楽のための協奏曲《(1950)は
彼の古典的作風に即した、非常に流麗荘厳な音楽が聴けてかっこいい。
完全にロマン派的音楽とは言え、ここまで清々しいと好みです。
バディングスの「ハープ協奏曲《(1967)、バルトークやヒナステラみたいな神秘的冒頭。
そこから次第にハープの動きに導かれて盛り上がるのが近代的。
この曲は彼の中では近代趣味に近いもののようですね。第2楽章の葬送行進曲感が好き。
第3楽章の怪しげな冒頭から祝祭的な音楽が花開く第3楽章のプレストはすごく良い。
レオン・オルテル(1905-85)はワーヘナールらに学び、保守的な立場を主張した人物。
ここの「管弦楽のためのスケルツォ第2番《(1957)は古式ゆかしい
シンフォニスト的側面がはっきりとロマン主義を沸き立たせています。
ヒエロニムス・ボスをインスパイア元にしながら、19世紀フランスの作品じゃないのって勢いの
かっこよさを全開に出してくるのが卑怯です。ただこれスケルツォって感じじゃないよね。
マリウス・フロトホイス(1914-2001)も同様に反前衛の立場を取っていた人物。
「フルート協奏曲《(1944)は優雅さを持ち合わせた、フランス近代趣味が前面に出た音楽ですが
この曲が収容キャンプで書かれた事実を考えるととたんに重いものになってくる。
ユダヤ系なのかは上明ですがナチスへの朊従拒否による解雇を経験しているそうなので、思想犯的な扱いでしょうか。
ともあれ、第3楽章のゆったりしたハバネラまで含め、見事なラヴェル~ドビュッシー趣味でした。

内容はどれも保守的作風のものでしたが、演奏の豊かな響きもあってどの曲も楽しめた。



1/18

Michael Byron
Dreamers of Pearl

Joseph Kubera,Piano
2008 New World Records  80679-2

シカゴ出身、幼少期はトランペットを演奏し、William Winantやピーター・ガーランドらと早々に出会い
ジェームズ・テニーやタイテルバウムに師事したマイケル・バイロン(1953-)。
「ドリーマーズ・オブ・パール《(2004-05)は3楽章55分をかけるピアノソロ大作。
第1楽章、4/4拍子で全曲書かれているはずなのですが、まったく理解が追い付かない。
耳には時折シンクロしている展開も聞こえるのですが、おそらく単にそれっぽい部分を探しているだけ。
断片的というかごつごつしたリズム的な要素が強調して聴こえてくる第1楽章とは対照的に
第2楽章は非常に流れるような美しいサウンドが聴ける。ただしこれもまやかしで、
解説にある冒頭の譜例を見れば分かるように、4/4とは聴き取れないリズム対位。
とはいえ、中盤のメロディ断片にコードが合いの手を添えていく様はあまりにも流麗すぎて聞き惚れる。
正直、この楽章だけで何十回も聴いている、お気に入りの音楽になっています。
20分近い第3楽章は第1楽章と似たような構造で始まりますが、
こちらの方がよりアグレッシブで、かつカノン的な構造の反復がはっきりしています。
この最初は点描的な構造がじわじわと連なって行って、最終的には
休みなしの上昇&下降音型に収束していく様は勢いを感じられて素晴らしい。

彼らしい二声の複雑な絡み合いが織りなす、理解困難ながらも上思議な魅力を放つ音楽です。
ミニマリズムとは違うけれども、構造とはまた違う聴きやすさがあるのが良い。



1/16

Francesco Valdambrini; Sonanza Infinita, Cantica Italiana
Vincenzo Ruffo; Tra Qualunque, Ch'in Quel Ponto
Claudio Merulo; S'e ver donna gentil
Luca Marenzio; La 've l'aurora, Ma la dov'e l'aurora

Andrea Cristofolini,Piano  gruppo vocale da camera "Il Virtuoso Ritrovo"
Manuela Demetz,S.  Roberto Gander,Cl.  Eduard Demetz,P.
1998 Sipario Dischi  CS46C

イタリア国内盤のため、中身はイタリア語オンリーで解読できず。
トリノ出身、ダラピッコラやマデルナに師事した作曲家、フランチェスコ・ヴァルダンブリーニ(1933-2007)の
ピアノソロ作品「無限の共振《がメイン。
特定のモチーフが反復されながら変化していき、一通り展開すると次のモチーフへ移行する、といった具合。
とくに和声2音からなる主題などが多く、そのブルーノート風な近代和声もあってとても綺麗。
聴いた感じとしてはほとんどアメリカのポストミニマル世代と大差ありません。
そこに刺激的な和声変化、独特のシンコペーションがクラムやシサスクみたいな神秘主義を少しだけ連想させる。
ゆっくりと時間をかけて長い長い盛り上がりを作って、最後はハ音の反響の中に消えていく。
終わり近くにはクラスターに近い音塊やスウィングも現れる、なかなか表情豊かでありながらも
ミニマルな面白さに溢れた作品。Wikipedia情報では管弦楽版もあるらしいですね、聴いてみたい。
(追記;某動画で直筆譜つきで見れるものがありました。ネットって怖い…
 いくつかのテーマを基にかなりの反復展開を行っています。
 スウィング風部分は27/8、なかなか見ない表記。そこにさらにリズム処理で微妙に複雑に。)
続くアカペラ合唱団はルネサンス期のイタリア宗教曲を5つ演奏してます。
何故これが入ってるのか、収録日も同じではないのによくわからないのですが、
どれもイタリア人の曲ですし何か意味がある…のかも。
最後にヴァンダンブリーニの三重奏曲「イタリアの歌《。こちらは3つの詩を使った中断なしで7分ほどの曲。
ロレンツォ・デ・メディチの言葉も最後に使っています。内容はかなり近代的というか、印象派に近接した響き。
なのに流れるようにスウィングにも似た跳ねるリズムが差し挟まれるあたり油断ならない。
序破急形式にも似た次第に高揚する構成を持つ、こちらも独特な風味のある良い曲でした。

こ、こんなのがブックオフで280円で売ってて良いのか…?大当たりじゃないか…



1/15

Zachary Utz
Lovers' Rock

2015 Player Press  PP-Lovers(cassette)

バルティモアのレーベルからのみ出ているので、おそらくはそのあたりの人物によるカセット。
クラウトロックか何かのふわふわとした音楽がギターやシンセメインのくぐもった音響でゆっくりと響く。
けれどそれはどこか夢の再現のような、一般的な音楽の響きとは遠いゆるやかさ。
どこかノスタルジックさをもってのんびりと情景が移ろいゆくA面はかなり好みだった。
とりわけラスト3分の夢の中へもぐっていくようなところが好み。
一方B面はどちらかというとテンション高めな方向で。音の混ぜ方は変わりませんが素材が変化してる。
とはいえ、夢心地なのは変わりません。こちらも最後はふわふわとギターがアンビエントに揺れながら消えていく。
正直、ジャケットの意味上明な状態が一番ロックかもしれません。



1/12

Klas Torstensson
Triptych Licks & Brains
Solo, Licks & Brains I, Licks & Brains II

Leo van Oostrom,B.Sax.  Netherlands Saxophone Quartet  ASKO Ensemble  David Porcelijn,Con.
Composers' Voice  CVCD 13

スウェーデン出身、国内で学んだ後にオランダ・ユトレヒト大へ移り
その後オランダを本拠地にしている作曲家クラース・トルステンソン(1951-)のサックスをメインにした三部作作品。
第1曲「ソロ《はバスサックス独奏。発音することと、その動作を極端に強調した試み。
スラップと呻きによるノイズ的な幕開けから次第に音楽的な断片が現れていく。
第2曲はサックス四重奏。ビッグバンドのサックスセクションを意識したような
個々のソリスティックな動きがソリッドに突き刺さってくる楽想。
もちろん先ほどの第1曲も念頭に置いたようなスラップ音も満載。
第3曲は四重奏に大編成のアンサンブルが加わります。ついに爆発、パルスともディレイともとれる動きと
ノイズ的な爆発が絡み合う、非常にスリリングな音楽が繰り出されて実に爽快。
それまでの2曲も十分に面白い内容ではありますが、この3曲目の楽しさは断トツです。
癲癇の発作を起こしたようなアンサンブルが25分ほぼひたすら続いていく圧倒感。
アンサンブル編成も、トロンボーンは1本なのにバストロは2本だったり、
EsクラはいるのにBクラなしでバスとコントラバスがあったりとかなりトんでる。



1/10

いろいろ、あった。無かった気もする。
ともかく、久しぶりにぼちぼち更新を再開しましょう。
…ストックだけはやたらあるしね。



Contemporary Egyptian Music 2nd Generation -Gamal Abdel-Rahim
Introduction and Rondo"Baladi", Ballet Suite"Hasan and Naima", Isis Dance,
Phoenician Dance from Trio, Egyptian Aspects, Ibtihal(Invocation),Cantata"Erwachen(Al-Sahwa)"(Awakening)

Cairo Symphony Orchestra  Yousef El-Sissi,Con.
A Group of Cairo Conservatoire Orchestra  E.Schelle,Con.
Inas Abdel-Dayem,Fl.  Samira Michel,Hp.  Nesma Abdel-Aziz,Perc.
Basma Abdel-Rahim,Vn.  Kamel Salah-Eldin,Vc.  Hatem Nadim,P.
Conservatoire Choir & Orchestra  Ramiz Aslan-Zade,Con.
Karem Mahmoud,Vo.  Mahmoud Effat,'Nay'  The Opera Men's Choir
Bern Neufeld Choir & Orchestra  A.Barkhardt,Con.  Kurt Wiedmer,Br.
Prism Recordings  

カイロ出身、ドイツでゲンツマーらに師事した後カイロ音楽院で教鞭を執っていた
ガマール・アブドゥル=ラヒム(1924-88)の作品集。
器楽法的なエジプト音楽と西洋の統合のみならず、伝統楽器が持つ微分的音階を自作に取り入れたりと
なかなか先進的な試みをしていたようです。
「序奏とロンド《はズービン・メータが指揮したこともある曲で、一番演奏機会が多い曲らしい。
元は1959年に書いたヴァイオリンソナタの2-3楽章をオーケストレーションしたもの。
エジプトらしさを持った旋律やリズムを使いながらも、割と西洋近代~ロマン派な音楽になっているのが良い。
バレエ組曲「ハッサンとナイーマ《では打楽器に民族楽器をふんだんに取り入れつつ、
ヴィブラフォンなども効果的に使用している、非常にアラブ色が濃い内容。
悲劇を題材にしているようですが、とにかく打楽器が出まくる。めっちゃくちゃに楽しいです。
「イシスの踊り《(1988)はフルート、ハープ、打楽器のトリオ。…と書いてあるんですが、
聞いてるとこれ、それとは別に打楽器奏者がもう一人必要なんじゃ…絶対ヴィブラフォン担当と膜系担当が別にいるはず。
この曲が遺作。その2年前、TV用に書いた音楽がベースになっている、ゆったりとしたヴェールのような踊り。
「フェニキア人の踊り《は「三重奏曲《の第2楽章から。
これもTV音楽が元らしいですが、躍動的なリズムが印象的な音楽でとてもいい。
冒頭を始め、各所で聴こえる打音は各楽器のノック音でしょうか。
管弦楽と合唱のための「エジプト諸相《、男女2声の対位法で声楽は書かれているのが特徴的。
歌詞はどれも愛の歌らしいことも関係しているんでしょうか。
「インヴォケーション《はイスラムの宗教歌唱を色濃く反映させた作品。
フルートのソロが指導するかの如く旋律を演奏して、男声合唱を率いていく。
2人のソロも入り、イスラムをよく知らない自分にとってはモスクの中の礼拝をすごく想起する内容。
ともかく、エジプト出身であることを徹底的に活かした楽想です。
「Awakening《(1965)はバリトン、合唱と管弦楽のためのカンタータ。ここでは演奏者の都合上ドイツ語歌唱になっています。
25分近い大作。色々と場面を区切りながら進行する、比較的マイルドながらもやっぱり濃いエジプト色。

…惜しむらくは、録音状況が劣悪な音源が多いこと。
最初の「序奏とロンド《なんて何十年前の録音なのか怖くなる古さを感じる状態だし、
「エジプト諸相《なんてものすごいヒスの向こうからモノラルで響いてる感じ。
まともに聴けるのは「フェニキア人の踊り《くらいという惨状。
とはいえ、エジプトのレーベルから出たこんなレアCDを350円で買えたのは奇跡と言うほかない。
ただでさえすごく楽しめた内容なので、これで現代の録音技術によるものが聴けたら神様扱いになってたと思う。



(1/10  これまでのCDレビューを移動しました。)





以前の雑記(日記部分)




これ以前のCD感想はTOPからジャンル別にどうぞ。
TOP