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ドローン系音響

音響系の中でもドローンが中心のものをこちらへ。
一応アルファベット順。ただし姓名とか関係なく最初の頭文字で判断。




Acama - Tibetan Temple Bells

Souonds of the World  SOW 90177

チベット仏教で、瞑想のために演奏されている音楽をそのまま録音したもの。
シンギングボウルと呼ばれる鐘だけが音源です。
長尺の1曲目「Agape」、独特の、ゴングのような金属音がふわりと舞う。
叩かれた瞬間の強い意志の音から、消え行く無常な音まで、一音一音を味わう。
冒頭や、たまに現れるドローン音がたまらない。
2曲目以降も、穏やかな鐘の響きが音の全て。3曲目、たまに現れるチベタンベルが天からの救いの光。
4曲目の、穏やかながらもリズミカルな音楽がまた良し。
現実を忘れて新しい世界へ旅立つのにまさにぴったり、と言ったら怪しいけれど。
素晴らしいドローン瞑想音楽です。録音もきちんとセッティングされたもので素晴らしい。



Aeolian String Ensemble
Eclipse

Espacios, K1, Eclipse

2005 Robot Records  Robot Records 32

エオリアンハープの音源に、1・2曲目はリミックス処理を行ったもの。
1曲目からしびれました。これはただのドローンではない。芯があって温かみのある深い音がふんわりと包み込んでくる。
その上を浮かぶ音たちも幽玄な佇まいをもって遠くから響いてくる感じ。このトラックはかなり加工してますが、それが凄い。
2曲目は比較的リミックスを抑えて、そこに弦を弾いた音も混ぜてます。中間で2部分に分けられます。
前半は先ほどよりもメランコリックな印象が強い、落ち着いた部分。
後半は神々しいドローンと爪弾きのきらきらした語り合いが盛り上がる。これは昇天ものです。
3曲目はこのアルバムの目玉、1999年8月11日の皆既日食の下で行われたライブ録音。
陰のある、それでいて綺麗なドローンがゆっくり伸びていく。周りの世界がまさに侵食されていく感覚。
皆既食の時間帯である8'40"から10'40"の間は、それを知るだけでもう感無量な気分にさせてくれます。
Christoph Heemannによるジャケットの絵が実によく似合う、素晴らしい曲たちでした。
ドローンを聴いてて良かった、と思った一枚。

“ゆっくりと、黒い月の弧が太陽の脇を侵食してゆく。
赤みがかったすみれ色に灯る暗闇が広がる。
時は暫し立ち止まり、風は止む。
海さえ、鳥が静寂に落ちたかのように静まり返る。
真昼の真夜中、大気は凍る。
それの過ぎてゆく中、風が戻ってくる・・・ ”


(裏ジャケットの裏にある文章、管理人訳)

皆既日食(1999年8月11日、転載)

写真はこちらから。



The Aeolian String Ensemble
Lassithi / Elysium

Robot Records  16

Nurse With WoundやCurrent 93で活動するDavid Kennyの超名作プロジェクトの1st。
このたびめでたく再販となり入手することが出来ました。
「Lassithi」、低く震える独特の音が爪弾かれ、ゆっくりとエコーを広げていく。
ふわり、ふわりと音が一つずつ優しく積み重ねられ、時折かすかに身をくゆらす。
終始淡く、すぐにでも掻き消えてしまいそうな儚さを持ちながら、そこからははっきりとした世界が見える。
海の音、鳴き声のような音が響いてきて、ゆらゆらとうねりが押し寄せる。
切なさを感じさせる、どこかわびしい旋律のようなものが不定形に作られる。
深海というか深夜のような、あのどこか常識離れした非現実感を持った美しい世界を、
この盤は聴き手に存分堪能させてくれます。
2ndも非常に素晴らしい出来ですが、こちらの50分を超えるこの作品も、
もはや自分が言葉で形容する事自体おこがましい気がするほど素晴らしい。
「Elysium」、低い振動がゆっくりと押し寄せ、金属的な高音が鳴ると淡いドローンが入ってくる。
遠く響く高音と背後でかすれる不明瞭な音、そして淡い色合いのドローン。
鉱物的なものを想起させる儚い動きの末に訪れる大きなドローンのうねりは、あまりにも幻想的。
やはりこのプロジェクトはあまりにも素晴らしすぎる。



Agnus Dei
dixit Dominus

なし

兵庫を拠点とするプロジェクト、「アーニュス・デイ」の2nd。のデモ。自主制作。
神々しい5度音程のドローンが広がる中、微かなノイズやふわふわした声がかぶってくる。
声はやがてはっきりと中世の教会歌を歌いだし、残響の中に溶けていく。
音楽は次第に残響ノイズに支配されるようになり、そこに宗教戦争系統のニュース音声が聴こえてくる。
大気の波に翻弄されながら、音たちはやがて激しいドローンノイズに成長します。
それはその頂点で急遽収束し、クラシカルなミサ曲の音源に替わる。
やがてそれもじりじりしたノイズに巻き込まれながら悶えることに。最後は祈るかのように、穏やかな賛歌のみで終了。
1曲30分の、反戦的な色合いの強い作品。まあイスラエル軍のレバノン侵攻が構想の下地になっているようですし。
ドローン作品としては珍しく、展開がはっきりしていてかなり楽しめました。



Aidan Baker
Loop Studies 2

2006 Dissonance Records  #11

カナダのドローン/アンビエント系ギタリストによる作品。
ギターとエフェクト・プロセッサーを使って作られる、非常にノスタルジックな音楽。
アルバムタイトルの通り、ループを使いながら実に巧みに盛り上がりをつけてくれる。
1曲平均15分を使って、ゆっくりじっくり曲の山を積み上げていく。
空ろなリズムに断ち切られながら伸びていくぼやけたドローンの1曲目などは特に素晴らしいです。
ギター勝負の、切なく翳りのあるドローン・アンビエントが聴きたい方は是非。



The Alps
A Path Through the Sun

Root Strata  ROOT STRATA 50

以前から名前を覚えているJefre Cantu-Ledesmaと、Alexis Georgopoulos, Scott Hewickerによるユニット。
このCDRは、同時期に出たアルバム「III」のアウトテイク集だそうです。
1曲目、アコースティックギターの心地よい爪弾きに、エレキギターのぼやけたドローンが優しく絡む。
フォークなアコギとぎらぎら瞑想的なエレキの対比が心地よい。
2曲目はエレキなどによる輝かしいドローン。3曲目は一転、サイケな感じのゆるい、ドラム付きの音楽。
4曲目は、民族楽器(笙?とか、よくわからない弦楽器)を用いた、サイケドローン風の短い曲。
5曲目は、アコーディオンによるドローンにアコギが心地よく歌う美しい空間。
サイケ系からフォーク系のドローン風音楽を聞かせてくれる、40分足らずではありますが素晴らしいアルバムでした。
ここのレーベルの何時もどおり、限定100部。



Andreas Brandal
Secrets of the Snow

2010 Stunned Records  no.68(Cassette)

ノルウェーはベルゲン出身の、リリースも多い活動的なアーティスト。
ぱらぱらと粒子状の音やフィールド風ノイズに、ふわふわと心地よいドローンが。
そこに虚ろなギタードローンやアコギの爪弾きも加わる。
次のトラックはいきなりどろどろにくぐもったノイズで始まりますが、
そこから淡くエレキギターの音が浮かび上がってくるところとかなかなかかっこいい。
ただ、それ以降は実験色の方が強いかな。虚ろなギターや打楽器など。
全体としては実験的音響と美しい瞬間がうまく混ざっていて、悪くなかった。
限定111部。



Apple Snails
Only on a Macadam Road

2007 Foxglove  foxglobe132(162?)

Jeffrey Mitchellなる人物によるApple Snailsの紙ジャケアルバム。
深い底から湧き上がるような音がふわふわと音楽を織りなしていく。
美しく華やかに盛り上がり、そこからふとどす黒い何かが世界の塗りつぶしにかかる。
トラック1はなかなかいいアンビエントドローン風味ですが、
トラック2はちょっとダークなドローンがプリミティヴなドラミングや楽器音で装飾される。
ジャケットの模様も相まって、ちょっと密教的な感じがしないでもない。
その後はギターの心地良い響きに埋もれるトラック6や
フィールドレコーディング風のトラック7など、美しいトラックとシリアスなトラックが大体交互。
ちょっと宗教的な世界観が混じっているのは否めませんが、なかなか綺麗な場面も多くて楽しかった。
限定100部。



Area C
Charmed Birds Vs. Sorcery

2008 students of decay  SOD-18

ギターによる、ノスタルジックな感じの音楽。
ゆっくり伸びていくドローン風な音楽があれば、パルスやカットアップを伴って、シリアスな感じで進む音楽も。
また、6曲目などはゆったりしたビートのエレクトロニカまがいになったり。
長尺のタイトル曲、7曲目はふわふわゆれるギタードローンに、ノイズや心地よいグリッサンドが入ってくる。
そこに更にギタードローンが入りながらじわじわと盛り上がってくれるのが気持ち良い。
ちょっとチープな感じは否めないけれど、それでもこういう聴きやすいドローン系音楽は好きです。
最後のトレモロリズムのトラックは個人的に一番のお気に入り。
限定500部。



Aswara
(Untitled)

Azriel  AZR06

Rafi BookstaberとPaul Grimesからなるユニットの、自身のレーベルからのリリース。
くぐもった不良録音のホワイトノイズの中で、暗く俯いた音が淡く重なっていく。
メランコリックで、美しいとも寂しいとも言える、そんな不明瞭な輪郭のドローン。
ギターとも金属打楽器ともつかぬ音が虚しくこだまし、フィルターを通して見ている世界を染めていく。
聴いていて次第にその茫洋さが録音のノイズと一体になって異世界へ誘わせる、なかなかトリッピーでいい作品です。
1トラック25分ちょいという構成は長いか短いか、微妙なところ。
なお、この作品は同じ無題の白ジャケ作品(Azriel 05)と対(こっちの06は黒ジャケ)になってます。
限定160部ナンバリング付き。



Axolotl
Memory Theatre

Important  IMPREC120

Axolotlが以前出したレア音源からのベスト版的な抜粋をして再発されたもの。
しょっぱなからいきなりノイジーなドローン。様々な音源や電子音が同時に鳴らされモアレ効果のような恍惚世界に。
その後もややノイズ寄りのドローン音楽が続いていきます。マテリアルには声が多め。
極端にエコーやディストーションのかかった音が多く、6曲目などは洞窟の中のようなもやもやした音響が目立ちます。
ささくれてはいるけれど、ダークな響きではない所が特徴。まあまあ気楽に聴くことが出来ますね。
ただ、某所の宣伝文句にあるほどとっつき易いとは・・・ちょっと思えませんでした。
耳ざわりがいいのは夢見るような趣の8曲目くらいじゃなかろうか。あと9曲目のオルガンみたいなぎらぎらしたドローンは良い。



Beequeen
Gund

2003 Plinkity Plonk Records  plink 11

ちょっと金属的な匂いもする静かなドローンを包み込むように、ぼやけた低音がかすかにうねる。
シリアスな感じがメインではあるけれど、ゆっくり構成が変わっていくと共に輝かしくなったりもする。
4曲目などは、じりじり輝くドローンが印象的です。でも短い。
以下2曲は制作時期や作者の違いで作風が変わります。
5曲目はドローンの中でひそやかに絞られた音がパルスを奏で、6曲目はパルスノイズが細かく絡む。
基本的には静謐なドローン音楽。なかなか良かった。ジャケが可愛らしいくまさん模様(笑)
限定500部。



Ben Fleury-Steiner
Keep a Weather Eye Open / Vessel of Sleep

2009 Infraction  040 / 041

レーベルオーナーをやったり複数名義で活動を行ったりと活発なデラウェア在住の作家によるInfractionデビューのアルバム。
夢のように重なりあい、時には抽象的に音が実体のない空間を作り上げる。
Celerの亡くなった片割れDanielle Baquet-Longの追憶に捧げられているだけあって、
独特の震えるドローンが流れ、もの悲しげに物音が響く美しい構成がたまらない。
けれど、そこに彼独自の音の折り重ねが加わり、密度をさらに濃くしてくる。
Celerの音源を使ってうまくつなぎあわせたような、情景がいろいろと移り変わっていく音楽。
ここではおなじみ250部限定の3インチCD付属バージョン。こちらの4タイトル入の名前が「Vessel of Sleep」という話。
こちらはおそらく完全に彼オリジナルの音楽。ですが、そこから響いてくる音楽はよりCelerに近い。
ふわふわと所在無げにゆらめく幻想的な儚い響き。そこにそっと加わるささやかなパッセージ、物音。
儚く美しい、Celerに繋がる世界が聴ける素晴らしいアルバム+αでした。
個人的には3インチのトラック2がお気に入り。



Birchville Cat Motel
Curved Surface Destroyer

2006 Last Visible Dog  LVD 105/106/107

Campbell Knealeによる、ニュージーランドのみならず世界的に有名な大御所ドローンプロジェクトの3枚組。
それまでの活動のまとめとも言える、10年間のライヴ演奏を収録したもの。
ふわふわした涼しいドローンにもごもごした音が絡んでくる。
微妙に異なった質の音が幾重にも重なり波打って、じわじわと聴き手を染めていく。
質感のはっきりした電子ドローンにモールス信号やチベタンベル。徐々にささくれて、シンバルの音に収束する。
雨音に鐘の音。ノイズが徐々に幅を利かせ、暫く盛り上がっては消えていく。
引きずるようなノイズに流麗な電子ドローンが混じり、オルゴールのような音がかき鳴らされる。
ぎらぎらと激しく輝く、神々しさすら感じるドローンにロックバンドが現れ、さらにバグパイプが。
きらきら儚く輝き、そこに重いギター系ドローンが絡みつく。
どのトラックでも、じりじりと盛り上げては追いついていく流れが秀逸。
実に個性的なドローン音楽を作っているのでは。CD3の1曲目がお気に入り。



Birchville Cat Motel
Chi Vampires

2004 Celebrate Psi Phenomenon  1008

輝かしい、どこかバグパイプを連想させるような透明な電子音が伸びる。
その厚みが増した頃、やがて民族的なドラムとひねくれたギターノイズが入ってきて融合していく。
やがてそれが一段落したかと思うと、今度はいきなりノイズのターン。
夜虫の鳴き声を背景に、じりじりした電子音が徐々に帯のように広がりだす。
そこから今度はバグパイプが逆に聞こえ出すところは鳥肌もの。
そのままトランス状態になったところから、やがて重々しい低音の動機が聴こえてくる。
そのまま音楽は重苦しく崩壊し、ノイズ音が撒き散らされて、静かな電気ノイズへ収束していく。
3曲目は、そこからメランコリックな電子オルガンのドローンが流れ、また盛り上がって・・・と思いきや
それはふと断ち切られ、4曲目の淡いドローンにピアノの残響が残る中にロックと電子音が乱入するシーンへ。
そうして華やかに飾った後、やがてドローンはぼやけた語りの残響の中に消えていく。
やっぱり、Birchville Cat Motelは構成が巧みすぎる。素晴らしいの一言。



Birchville Cat Motel
Beautiful Speck Triumph

Last Visible Dog  lvd053/54

虚ろな電子音ドローンが、不規則なノイズを微かに従えながら生長する。
ゆっくりと無機質に伸びながら、徐々にノイズの幅は広がり、やがては虫の音のようなノイズに落ち着く。
長尺のトラック1はなかなかじりじり攻めてきます。
かすれたノイズからオルゴール(正確にはラトル)の乱れ打ち、ゆっくりと現れる無神経なノイズ。
神々しいオルガンドローンが現れてトラック3に移るところは感動的です。
ギターとオルガン、ピアノの神聖なひと時のこのトラックはもう最高。儚く淡いサイン波になってDisc1終了。
Disc2は一転、ギターやクラリネットが入る暗いドローンで幕開け。
ギターのアルペジオ、電子音のメランコリックな旋律、時折入る鮮明なパルス音。
でもこれはすぐに終わり、ごりごりした物音ノイズでトラック2へ。
浮遊するドローンとノイズが繰り広げる、長く淡い非現実的な世界。
フィールド音の微かに漂うトラック3は、やがて物音ノイズやオルガンドローンなどが入り混じる
最後らしい地味に華やかな展開。ロックなギタードローンが力強く入って、
ドラム音もぽつぽつと入ってくるあたりになるともう圧倒的な倒錯感に酔いしれることができます。
やがてあらわれる鳥たちの鳴き声とギターにすべては収束して、淡いコーダを飾る。
展開の速度が個人的には一番気に入った上、その中身も相変わらず最高です。



Birchville Cat Motel
Our Love will Destroy the World

2006 PseudoArcana  PACD075

トラック2・3は2003年に「Screamformelongbeach」の名でリリースされていたもの。
お得意のぎらついたギタードローンにカオスなノイズが絡みつく。
そこにいきなりドラムの規則的な滅多打ちが絡んできて響きあい、さらに混沌としていく。
トラック2は一旦元に戻ったような、はっきりしたロックなドラムとギターノイズ。
次第に分解されて虚ろになっていくさまは美しいです。このなかで中核的なトラック。
トラック3のクラリネットがはっきり旋律を奏でているのは珍しい。短いけど。
基本的にどのトラックもドラムの重いビートにノイズといつものギターがげちょげちょ重なる感じ。
同じようなトラックの印象になってしまうので、最初の2,3トラックで十分だった気も・・・



Birchville Cat Motel and Yellow Swans
Birchville Cat Motel & Yellow Swans

2006 Important  IMPREC117

NZの大御所とアメリカの著名ノイズデュオが組んだ一枚。
エレクトロニクスのじわじわしたドローンに、ギターの虚ろな音とノイズがかすかに響く。
次第にさまざまなノイズがはっきりと出現して、音がばらばらと放出されていく。
落ち着きながらも力のある、ギターのノイズドローンが低く垂れこめ、重苦しくのたうちます。
トラック2はもうちょっとハーシュノイズ気味。ギターの音は垂れこめるだけでなく、傍若無人に転げまわる。
それが徐々に一体化してホワイトノイズの中に収束して、意外と濁すことなくさっと終わる。
うーむ、やはりノイズ大御所の共演だけあってすさまじい迫力。
重苦しいハードなドローンノイズのアルバムに仕上がっています。
もうちょっと構成している音のバリエーションがあったら文句なしだったんですが。



Brendan Walls
Cassia Fistula

2002 Idea  IDEA 2005

オーストラリアの有名な音響作家によるアルバム。タイトルは亜熱帯性の植物ですね、和名ナンバンサイカチ。
Marsfieldでチョークとも組んだりしてたね。Mirrorもこのアルバムのリミックス出したりしている。
今回のアルバムはOren Ambarchiらのスタジオで編集・制作されたもの。
物々しい電子ドローンがどろりと流れ、ギターのようなノイズがぐねぐねとのたうつ。
虚ろなサイン波がひたすらにダークな音楽を作っていく。溶解したどろどろのノイズドローンが延々続く。
音響としてはいい出来だけれど、こういうのはあんまり趣味じゃあないなあ。
Cassia Fistulaの花もイメージされた綺麗めなジャケだけれど、中身は見事にドローンノイズ。



Brian Grainger
A Giant Hand

2008 Milieu Music  MML046

グレインジャーの、ギターによるインプロ。
1曲目、ギターのフィードバックによる、アブストラクトなドローン系ノイズ。
2曲目、同じ方法での作曲だけれど、今度は泡音みたいな柔らかなノイズ。そこにドローンがじわじわ侵食してくる。
3曲目、今度は生音系のギター音がトレモロのようにフィードバックしてくる。眩暈しそうな雰囲気。
最後にはノイズに崩壊して、何やってるかわからなくなってしまう。
4曲目、渋いノイズによる、抑えられたドローン。
5曲目、同じドローン系ではありますが、今度は不気味な反響が音楽を支配している。
最後6曲目は、ギターによるぼやけ気味の無骨なドローン。
崩壊しそうで崩壊しない、そのぎりぎりの場所で音が揺れ、ささくれ立つ。
最終的に落ち着いて、穏やかなドローンからハウリング系のノイズに消え行く。
今回はエクスペリメンタルなアルバムでした。限定50部、うん何時もどおり。



Bryter Layter
Imprinted Season

2009 Arbor  ARBOR113(Cassette)

Pegasus Farmsなどから近年リリース盛んなサイケ系音響のJoseph Raglaniと
このArborのレーベルオーナーMike Pollardによるユニットのカセット作品。
ふわふわと漂う電子音と、遠くから響くような電子音の長いメロディー、じりじりと聴こえてくる落ち着いたノイズ。
サイケな音楽の影響もかなり感じ取れますが、基本的には心地よいドローン風音楽。
カセット特有の劣化ノイズと相まって、ぼやけた景色を
遠くに見ることができる素晴らしい瞑想音楽に仕上がっています。
桜と思しき植物の写真による淡いジャケットも美しい。
限定125部。



Celer
Nacreous Clouds

2008 and/OAR  and/33

Will LongとDanielle Baquet-Longの夫婦によるユニット。
チェロ、ヴァイオリン、ピアノ、ベルの音とフィールドレコーディングを用いて制作。
夢見るような、非常に美しいドローンが、ふわりふわりと浮かんでは消えていく。
長くて3−4分しかないのが非常に残念に感じるくらい。
けれど逆に、この短さが儚さを演出していて素晴らしい。バラエティがあって傾聴しやすいし。
楽器音などを材料にしたことによる、彫りの深い電子音みたいな響きがまたたまらない。
ジャケットの夕闇?の写真が、音楽にマッチした幻想的なものでまた良し。
ドローン音楽は長いから面倒、と言う人に大絶賛なアルバム。
そもそもCelerは短いドローン曲が比較的多い気が。



Celer
Close Proximity and The Unhindered Care-All

2009 Sentient Recognition Archive  SRA014

Fabio Orsi等を手掛ける限定CD-Rレーベルから、珍しく正規CDでのリリース。
儚げな淡いドローンが、枯葉の中を歩くようなフィールド音の中でふわふわと浮遊する。
話し声や鳥の鳴き声をはじめとした現実的な世界が、ドローンの非現実的な響きで実生活とは離れたものへと変貌を遂げて行く。
ドローン自体は数分ほどの間隔で、情景変化のようにはっきりとフェードイン/アウトで変わっていきます。
けれど、そこがはっきりと幻想の切り替わりを示しているようでわかりやすく、聴きやすい。
4面開きのデジパックに幻想的な滝の写真と、彼らの詩が掲載されています。
この作品が、妻のDanielle Baquet-Longの亡くなる直前であることを考えると、ちょっと切ない気分になる。



Celer
Pockets of Wheat

2010 Soundscaping Records  SOUND002

2007年の音源の発表。今となっては新作の出ないCelerの嬉しいリリースです。
左右から交互に、ゆったりと音の波が打ち寄せてくる。
まるで風にそよめく麦の穂を近くで感じているような感覚。
時に暗く、時に輝かしくゆらめく音は、さまざまに表情を変える麦畑を見ているようです。
ホラー・ファンタジー作家アルジャーノン・ブラックウッドの作品
(「The Willows」、邦訳「ドナウ河のヤナギ原」)からの引用があり。
なんで麦なのに柳の文章を出すのか、とは思いましたが文章の雰囲気から引用した理由はわかる気がする。
だいたいハガキサイズの二つ折り紙ジャケ。ジャケットのアウトテイク写真が一枚おまけ。
私のは「Outtakes #3.jpg」でした。



Celer
In Escaping Lakes

2009 SlowFlowRec  WW1001

北海道のレーベルから、Danielle Baquet-Longの亡くなる2日前の音源をリリース。
この音源が事実上、Celer最後の作品と言えるでしょう。
深く深く沈み込んでいくように染み渡る穏やかな響きが、広がりつつも空間全てを埋めることはなくそこに漂っている。
画家Anthony Feyerの作品に影響を受けた、いつも以上に落ち着いた作品。
その決して満たされない響きに、そこはかとなく切なさと儚さを感じます。
これを作っているとき、二人はいったいどんな心持ちだったのだろうか。
そんなことを考えながら自分も恍惚の中に沈んでいく40分。傑作です。



Celer
Engaged Touches

Home Normal  home n002r

2006-2008年に録音された音源。
フィールド音の中からぼやけた音楽のループが、ヴェールがひらめくかの如く現れる。
実に彼ららしい淡さと美しさですが、今回はそこに優雅さも加わってます。
風景は刻々と変化し、エンジン音のような規則正しい音、列車、火花、などなど
具体音の風景がシンセのようなドローンの間に挟まれる。
緩やかに過ぎ去っていく、もう戻ってこない風景と、変化する抽象世界。
現実の中を移ろいながら夢うつつでいるような、そんな感覚です。
音の混ぜ具合が実にすばらしい。そういった色彩的な意味あいでこの作品は傑作。



Charlemagne Palestine
A Sweet Quasimodo Between Black Vampire Butterflies for Maybeck

Cold Blue CB0025

コールド・ブルーからパレシュタインが出てるのはちょっと不思議。まあミニマルと言えばミニマルだけれど。
トラック1はパレシュタイン自身の語りとささやかな歌。解説しているようです。
本編はトラック2。ピアノがぽつぽつと音をかなで出し、徐々にその単音がトレモロのようになっていく。
やがて単音は倍音・和音となり、さらに音の密度を増して行き、
ゆっくりと波の押し引きのようにゆらぎながらもその速度と興奮を慎重に加速させていく。
最後はふと雲が切れたように淡くなり、「Only I will do it ending, this is just biginning」という呟きと歌で終わる。
やはりこのレーベルから出ているだけあって非常に聴きやすく美しい。
いつも通りの激しい打鍵が味わえながらも夢見るような心地よさも感じられるところが個人的には大はまり。
40分ほどなのが短く感じるほどです。影絵のジャケットも味があって良い。



Charlemagne Palestine
Strumming Music

1995 Fermay / New Tone  217506742 2 / nt 6742 2

シャルルマーニュ・パレシュタイン、1974年の名作。
簡素な旋律がゆったりと奏されて、52分の音楽の静かな幕が上がる。
オクターヴのゆっくりした簡素な動きが始まり、ゆっくり、ゆっくりと音の数を増やしていく。
延々と続くトレモロが、時間をかけてじわじわと幅を広げ、動きも躍動感をつけていく。
最後に、一旦収まった後、その中から冒頭の旋律が淡く響いてきて、堂々とオクターヴで全曲を閉じる。
これを聴くと、やっぱり彼の作品は素晴らしいと思います。
パレシュタインがこの独自の「かき鳴らす」ような奏法を会得したころの初期の作品。
シンプルであるがゆえに、実にはっきりと意識に響いてきます。
ジョアン・ラ・バーバラが解説を書いているあたり面白い。



Climax Golden Twins
Lovely

2002 Anomalous Rercords  NOM15

ワシントン州シアトル出身のデュオユニットによる1997年作品。
やや金属質なノイズ音を携えながら、ゆったりとしたドローンが心地よく伸びて行く。
その低音を基調とした独特の瞑想的な感覚が、感覚を深く落ち着かせてくれます。
そもそも、もともとは睡眠導入を意図した音楽で、初版がGravelvoice Recordsから
CDRでリリースされたときはセットで枕がついてきたというから凄い。
残念ながら再発盤ではありますが、その落ち着いたモノクロなジャケも含めて気に入った。
ただ、突出した素晴らしさがないのが惜しいといえば惜しい。
十分いい内容だしおすすめできるけれど・・・同時に聴いた比較対象がアンドリュー・チョークだったのが失敗だったか。



Colin Andrew Sheffield
Signatures

2009 Invisible Birds  IB002

コンピュータを使用せず、ターンテーブルやサンプラー等で作り上げられた音楽。
茫洋とした雲のようなドローンが、時に優しく、時に主張するかのように聴き手を包み込む。
空気が通り抜けるような、実体の見えない音たちが浮かんでは過ぎていく。
特に4トラック目、「Breath of Day」は神々しい音が柔和に響き渡る、27分間の極上世界。
柔らかい電子音が入ってきたりと変化もけっこうあるので、かなり素直に聴ける。
この音の温かみとぼやけ方は素晴らしい。落ち着いた気持ちになれるドローンでした。



Colin Potter
See

2006 Infraction  INFX 005

Paul BradleyやJonathan Colecloughをはじめ、このドローン界隈では良く名を見る大御所の作品。
オリジナルは1990年に出たカセット。1曲加えて2003年に出たCDの再発です。
アブストラクトな何か湧き上がるような電子音に、柔らかなドローンが現れる。
やがて、そこから笙のような輝かしい音が浮かび上がり、極上の天界のような神々しいドローンへと広がる。
2曲目なんて、近年のオルガヌムがやってた三部作と大差ない内容。
実に穏やかな気分になれる、心地よいアルバムです。
再発のみJonathan Colecloughによるアルファベットだらけのジャケット仕様、限定200部。



Colin Potter & Pail Bradley
Behind your very eyes

2003 ICR  37
金属質なノイズドローンから、儚げに揺れるような質の違うドローンがみえてくる。
が、そこから温いドローンになど展開はせず、具体音や電子音のひらめきを折り合わせて
中身の濃い、幾重にも音が重なった重いドローンへ進んでいく。
緩急付けながら多層的な音の構造が作られては消えていくこの感覚、彼らならではです。
まるでトリップしそうな心地良い空間から実験音響バリバリまでバリエーション付けて。
トラック4みたいな気楽に聞けるのが好みです。
いつものごとくどっぷり音響にはまりましょう。



Daniel Menche
Legions in the Walls -ultra physical performances 94-95

trente oiseaux  TOC 953

最後に聴衆の拍手のあるライヴ音源。ただ全てライヴではないみたい。
どのトラックもじりしりした、輪郭の無いノイズが主体。金属的な響きが多いですが、吹き荒れる風のようなドローンもベース。
どの曲も内容が練られていて素晴らしいのですが、2曲目の不連続なノイズはとくに聴きものです。
あと4曲目の叩きつけるような破裂音ビートが徐々に台頭する様や、5曲目の逆にビートがノイズに駆逐されていく風景は倒錯的。
あと、後半冒頭一瞬だけ音量3割増しなトラックがあってびびる。最後9曲目のみ音楽のサンプリングと同時に進行します。
ちりちりした持続音やささくれた破裂音が刺激的な、地味ですが味の濃い作品。
掃除機が砂を吸っているような、そんな感じの音響がまさに「フィジカル」な音を演出してます。
また、その茫洋な音とは裏腹に確固たる音世界を作り出せている点が、タイトル通り壁や彫刻を思わせる存在感・佇まいを見せる。
trente oiseauxはホント、渋い作家の良質な曲を出してくれます。ロペス然り。



Danny-Paul Grody
Fountain

2010 Root Strata  RS57

The Drift、Tarentelといったバンドメンバーでもあるギタリストの初ソロ作品。
ちなみにTarentelにはRoot Strataオーナーでやはり素晴らしい作品を作るJefre Cantu-Ledesmaもいます。
ギターの心地よいパッセージがミニマルに、憂いや美しさを持って重なっていく。
4曲目あたりからはソロ以外に様々なマテリアルを使い、ギターの爪弾きを盛り上げてくれる。
6曲目なんかかなり編集して実験音響らしい展開に。流麗なドローンです。
特に凄いというわけではないですが、ここからのリリースらしい内容で安心しました。
個人的には落ち着いたギターミニマルとして聴いています。
Greg Davisがマスタリング。限定500部。



David Maranha
Piano Suspenso

1998 Sonoris  SON-21

ポルトガルの実験音響系バンドOsso Exoticoのメンバーでもある人間のソロアルバム。
モーターと弓を使って生み出す、非常に濃いドローン。
ある種ボウド・ピアノにも似た音を出すのでエレン・フルマン好きにもおすすめ出来ますが、
むしろ音楽自体は(協力者の名前にもあるように)フィル・ニブロックの方が近い。
後半になるとかなり動きもありますが、それを差し引いても
どろどろと大きな変化もなくひたすら70分突き進んで行く様はほとんどニブロックのそれ。
少なくとも、ボウド・ピアノという単語につられてStephen Scott好きは釣られてはいけませんよ。
しまった、俺のことだったか。
でも内容は十分に素晴らしいです。ノイズ系生楽器ハードドローン。



David Wells
Efegin

2007 SiRiDisc  02

スコットランドの作家による、自身のレーベルからの作品。
やはり音響系のアーティストThe Infant Cycleの音源を元に制作した3インチCDR。
ちょっとノイズを挟んだ冒頭から、徐々に硬質なぎらついたドローンが伸びてくる。
これだけでも十分素晴らしいのですが、本当にいいのはこの後。
やがてこのドローンは終わるかのように薄らいでいくのですが、
その瞬間スイッチのような金属質の物音を合図に
深みを持った太く暗いドローンにがらりと姿を変える。この瞬間が本当にたまらない。
簡素だけれど非常に巧みな構成です。素晴らしい。
限定100部、ナンバリング。



Diesel Guitar
Stream of Lights

F.M.N. Sound Factory  FMC-023

新潟出身、初期は大阪で活動を行い、現在は新潟を拠点に活動を続ける
ギタリスト能勢山陽生による、CD媒体としては初ソロアルバム。
深い残響を伴ったコードが延々と伸びていき、ガラスのような冷たさと硬さを保ちながらも
どこか柔らげで淡い、それでいて音の勢いのあるドローンを作っていく。
トラック2はさらにアンビエントの感触が顕著。夢見るような美しい空間がゆっくりと広がっていく。
このCDを買った時のライヴでは轟音で圧倒されるようなドローンでしたが、こういう
儚さがあるようなサウンドも実に良いですね。きらきらと輝きを見せてくれる音がたまりません。
トラック4の、地面から湧き上がるような低い響きも迫力がすごい。
長年活動を行っているのに今まで存在をほとんど知られていないのがびっくりの高内容。
トラック6では雨音などとミックスして、一味違う陰りを出しています。



Doe & Eso Steel & Birchville Cat Motel
Galleries 4-6

2001 20city  20cd-2

ニュージーランド発のレーベルからの3者コンピ。
Clinton WatkinsのソロユニットDoeは、低音メインの静かなダークドローン・アンビエント。
トラック2なんかいいですね。
Eso SteelことRichard Francisは1995年からニュージーランドで活躍しているアーティスト。
20cityというレーベルも彼が運営しているものです。
ノイズも絡みながらふわふわと進む様は同郷のBirchville Cat Motelみたいですが、
こちらはけっこう不意に調子を変えたりするあたりが違う。
2曲目はノイジーなハードドローンを基調にしてます。
おなじみBirchville Cat Motelはギターノイズで攻める。
2本のギターが繰り広げるメロディの、ノイジーだけれどどこか美しい絶妙な音響。
2曲目は金属とギターのノイズ合戦。へえ、やっぱニール・キャンベルはこういうのも作るんだね。
3曲目のギターノイズは、ノイズとドローンの中間ぐらいな動き&音響。
とりあえずBirchville Cat Motelの1曲目が凄すぎた。
他の2者も十二分に平均以上の良い仕事をしてるんだけれど、この1曲の前じゃ分が悪い。



Drone Forest / Stephen Philips
Blurring the Edges

2009 Dark Duck Records  #193

ともにドローン界のメジャーユニット/人物である両者が組んだ一枚。
混沌とした内部の不明瞭なドローンがこだまする。まるでトンネル内部。
どろどろと溶けた音が、その存在さえも無くしそうになりながら底へ底へと落ちていく。
25分を過ぎると、その中からはっきりとした心のあるドローンが見え隠れしてくる。
ゆっくりと風景が移ろうように、ドローンの質は少しづつ変わっていく。
沈思黙考なタイプのエコーがかったドローン音楽。



Duane Pitre / Pilotram Ensemble
Organized Pitches Occurring in Time

Important Records  IMPREC154

ヤング、ライリー、ライヒなどミニマル始祖らの影響が強いというサンディエゴのギタリストによる作品。
足踏みオルガンによるEsの持続音が鳴らされ、そこにじわじわとアンサンブルのドローンが入る。
次第に倍音はマイナー7thのコードを暗示して、淡く美しく広がっていく。
ギターやサックス、弦楽器による心ここにあらずの見事な倍音ドローンです。
そこから見て取れる影響は明らかにラ・モンテ・ヤングのもの。
トラック2は、ギターをベースにしたCのメジャー7th(これもタイトルで明記)。
こちらはより幽玄さの引き立つ、ぼやけた輪郭の音の雲。
瞑想的な、ヤングの系統が好きな人間なら興奮間違いなしの一枚。



Eleh
Radiant Intervals

Important Records  IMPREC353

アナログシンセを使って1999年から活動を続けている人物のCD。
Ellen Fullman、Duane Pitre、Pauline Olivelos等コラボした強烈な面々を見れば傾向は分かろうもの。
2010年にLP発売されたものがオリジナル。即売したらしい。
中音域、全音での重なりがゆっくりと流れ、静かにわずかな変化をつけていく。
次第に低い落ち着いたパルスと高音のゆらぎも現れて、ひっそりした中に展開を見せてきます。
トラック2のような細かなうねりを延々と伸ばしていく音楽はドラッギーで良い。
トラック3はピッチずれを楽しむ様な、ちょっとルシエににた感覚。
トラック4は唯一はっきりした音の移り変わりがたまにある、ちょっとだけ微かにヒルビリーに聴こえなくもない音楽。
なるほど、ラディーグが近いサウンドだというのが納得の内容。
彼の作品に一貫した銀と黒の落ち着いたジャケにも合っている、ハードコア系のドローンアルバム。
ただ、アルバムと思って開封すると、CD記録面が2/3しかなくて外は透明なのを見てシングルかとビビるので注意。
一応10分ほどのトラックが4つ入ってます。



Ellen Fullman & Monique Buzzarte
Fluctuations

2007 Deep Lestening Institute  DL 38-2007

自作楽器LSIのドローンでお馴染みフルマンとトロンボーン奏者のMonique Buzzarteの共演アルバム。
ちなみにBuzzarte女史は作曲活動や、フェミニストとして女性トロンボーン奏者のカタログなんかも作っています。
少なくともこのアルバムでは、LSIはArnold Dreyblattの調律システムによるハリー・パーチの43音音階で調律。
1曲目冒頭の、幻想的なLSIの和音を聴いただけでもうたまりません。
そこにBuzzarteのトロンボーンがやわらかく、そっと長い旋律を奏でて音の厚みを増やしていく。
トロンボーンの響きがまた、ふわりふわりと持続音の間を縫うように淡く伸びる辺り、実にいい。
双方の音が絶妙に織りなす、質の違うドローンが同一に奏されます。
4曲目後半、LSIがふっと消えてトロンボーンの歌のみが響き渡る展開なんかは印象的。
Pauline OliverosとStuart Dempsterに捧げられていることがよくわかる、
まるで彼らの音楽を巧みに融合したかのような作品です。



Fear Falls Burning & Birchville Cat Motel
Fear Falls Burning & Birchville Cat Motel

2007 Conspiracy Records  core055

ベルギーのギター系ドローン・アーティストFear Falls Burningと
ニュージーランドのおなじみBirchville Cat Motelの共作アルバム。
エレキギターの不可思議な爪弾きが、やがて力強いギタードローンに押されていく。
金属音のきらめきも加えながら、じわじわと一体化していく。
だんだんと輪郭が崩壊していって、最後はハウリング系の音で虚ろに終わる。
Birchville Cat Motelのソロ作品に比べると、展開はかなり少ない、というかドローン的。
まあでも正統派なドローン作品で、これはこれで素晴らしい。



Francisco Lopez
Belle Confusion 966

trente oiseaux  TOC 963

ロペスは静寂音響の最も先陣を切る人間の一人ですね。
もっとも、結果として最近はそっち系の音を作っているだけだと思いますが。まだ聴いてないですが初期のも聴きたいなあ。
このアルバムは全曲通して微かな低いドローンがこだましていく。音素材は都市音響が殆ど。
そこには長い長い曲のゆったりした変遷が聴き取れます。決して緩い音作りになっていない所が素晴らしい。
1時間聴いていて神経がゆっくりと研ぎ澄まされていくのがわかります。
20分弱収録のライヴバージョンは音のレンジがけっこう大きめ。素材一つ一つにしっかりと耳を傾けられます。
彼に対しては、音もですがそれ以上に経歴を聞いて近親感を覚えてしまいました。バリバリの昆虫学者かあ、凄い!

こういう理系肌のネチネチ音を組み立てていく感覚は、やっぱり自分に合いますね。
構成感ゆるゆるでダダ漏れ、なのに聴きやすくもないアーティスト作品とか聴いてても面白く感じないんですよ。
だからグラインドはあんまり聴きません。邦楽はもっと聴きません、ああこれは別の話でした。



Greg Davis
Somnia
2004 kranky  krank074

krankyから出るGrag Davis、もう買う前から外れではないだろうという予感。
トラック1のドローンの響きから一気にしびれます。輝くような弦の響き。
プサルテリウムという古代の弦楽器を弓で弾くことで得られる独特の音響を次第にデジタル処理していく。
その結果、だんだん響く空間が分厚いものになっていって爽快です。
トラック2は6台のアコギをマテリアルにした、ちょっと落ち着いた音楽。
ドローン的なんですが、音の処理を聴くとなんかエレクトロニカの延長みたいな印象を感じる。
トラック3も、トイ・ハーモニカやコードオルガンなどを使ったエレクトロニカ風ドローンがメイン。
まあ個人的にはトラック4みたいなふわふわした質感のほうがよくあるドローン音楽ぽくて落ち着きますが。
トラック5は冒頭みたいな印象の音に戻る。短いけど和声の変化がノスタルジックで良い。
最後のトラック6はちょっと毛色を変えて、金属質の虚ろなドローン。
まあともかく実にすばらしい内容でした。こういうのはクールさがあってかっこいい。



Gregg Kowalsky
Tape Chants live in Chicago

2010 なし

カリフォルニア州オークランドを拠点にするコワルスキー、
krankyから出ている同名作のライヴ演奏をプライベートリリース。
テープヒスノイズの中で、鐘の虚ろな音がゆっくりとこだましていく。
次第にフィードバックなどのノイズが膨らんで、そこからタンブーラによる
あの声明のような響きに似た持続音がふわふわと盛り上がり、美しく光を添える。
次第に音は浮き上がり、光の中に溶け込むかのように淡い持続音に収束していきます。
この褪せた響きの中の曖昧な動きの変化がたまらないですね。
最後のボーナストラックは地摺りのような重いドローンに
太鼓系の民族楽器がぽつぽつと絡む、瞑想度の高い音楽。



萩原佳明
Punctual? 山手線10周分を同時に聴くメトロポリタン・アンビエント・ドローン

2008 HAGIWARA Yoshiaki

山手線の車内で録音した音を10日分重ねただけ。
「電車ってどのくらい時間に正確なんだろう?」という発想の元、できる限り静かな時間帯を選び調整をしたそう。
結果は聴いてのとおり、微妙なずれを伴って、まるでディレイのように発車ベルや自動音声がぼろぼろこだまします。
時間がたつにつれ、だんだんずれが顕著になっていっていく。やばい、これ面白いね。別に何をしているわけじゃあないけれど。
日本の電車がいかに正確に動いて(動こうとして)いるかがよくわかる、と言う意味でも楽しい。
一日やたら早いのがあって、頭一つ抜けて聴こえてくるのが笑える。
慎重に咳など、乗客によるノイズを全て排しているところが素晴らしいです。



Harry Bertoia
Happy Spirit

2001 Bertoia Studio  CD #10570

ハリー・ベルトイア(1915-78)はイタリア出身の家具職人であり、サウンド・スカルプチャー制作家。
家具は椅子を初めとして非常に有名ですが、60年代になってから彼がこのような
一種のサウンドアートに力を入れていた事実は、日本では比較的知られていない感じがします。
これは、彼がSonambient(ソナンビエント?)と呼んだ一連の音環境録音作品からの抜粋。
「Bellissima」は遠く響く低いドローンに金属的な高音が優しく降りかかる。
それは、次第に金属質のワイヤーが奏でる振動だと、音量が大きくなるにつれ分かってくる。
じわじわと響くこの感覚は、なんとも言えない心地よさでたまりません。
なんというか、ちょっと間違えたら単なる建築現場のノイズになりそうなものを
新調に反響と素材を吟味して見事な音響作品に仕上げています。
クライマックスでは、音のバリエーションも増えて密やかなりに賑わしくなる。
「Nova」はどちらかというと散文的というか、先ほどのじわじわくる感じではない。
一つ一つの音響がかわるがわる打ち寄せて消える感じ。
トラック3「The Sun/The Moon」だけは、どうやら息子のVal Vertoiaらが制作した音源のようです。
どういうことかというと、びっくりするくらい普通のギターポップ。
おまけみたいにくっつけてくんなよ!!!
…そんなわけで、最後さえなければ非常に素晴らしい一枚。いかにも自主制作風だけども。



Hermann Nitsch
Harmoniumwerk 5,6,7,8

organ of Corti  20.2

あのアクションでカルト的な人気を誇るヘルマン・ニッチェの、一番安心して聴けるシリーズ。
ハルモニウムを使って行われる、宇宙への彼なりの情景と畏怖の形。
音の一つ一つがゆっくり、しかしはっきりと積み重なり、不可思議で非現実的な世界を作る。
その美しい和音の連なりは、とてもあのおどろおどろしいドローンとは似ていません。
が、時折その鬱屈した響きに、同じ人間が作っていることを思い起こさせます。
何回も間をあけて演奏される、そのたびに様々な輪郭を見せるドローン。
ライヴ?録音ゆえのノイズがけっこうありますが、このどこか、実際の音の振動を感じさせる録音がいい味出してます。
この素晴らしい響きは実に見事に感覚をトリップさせる。
そういう意味では、やっぱりいつものニッチェだと言えるかもしれません。
あとは、即興的な楽想ではなくもっとはっきりした構成を持って聴かせてくれたら最高だったんですが。



Hollywood Dream Trip
Second Album

2013 DOM Bartwuchs  DOM BW ZX-8

Christoph HeemannとCelerのWill Longという超大物二人によるユニットの初CD。だけどこのタイトル。
低い、やや無機質なドローンに周期的なパルス音。
次第に、その中から淡く弦楽のように聞こえる音が浮かび上がってくる。
音が混然として溶け合いながら、ドローンとメランコリックな上部サウンドのどちらがメインと言うわけでもなく、
けれど底部のドローンははっきりとゆらぐことなく貫いた安定感を持っている。
後半、ふと輝くような響きのサウンドが現れてくるあたりは憎いくらいにすばらしい。
混じりあったままの倒錯的な山場を過ぎ、次第に冒頭に戻っていくのですが、
そこでは靄が晴れて、元のサウンドがある程度見通せるようになっているあたり簡素な終わりでこのユニットらしい。
予想通りの高内容でした。アンビエントであって、かつ安易に聴きやすいわけではない音響。
限定50枚、ナンバリング入り。



In Camera
Open Air

2006 Robot Records  36

Mirror、H.N.A.Sを初めとして実験音響の第一人者であるChristoph Heemannとエクスペリメンタル・ノイズの
Noise-Maker's FifesメンバーであるTimo Van LuykのユニットIn Cameraの2nd。
金属質なノイズ音と茫洋とした電子音が優しく被さりあう。
低音まじりのぼやけた音が心地よく闇の中に浮かび上がる。
特にトラック2の浮遊感と音のまろやかさが気に入っています。
今回、限定110枚(市場流通は80数枚)の限定版を入手。2006年のVPROにおけるライヴ音源がついてます。
こちらの方は通常版に輪をかけて素晴らしい。
時折撥弦音や金属質のひねりがかすかに聞こえる、非常に淡く不定形な世界。
2枚あわせて70分ほどの内容ではありますが、限定版を買った甲斐がありました。



Ingrid Engaras
Vibradisc

2003 Firework Edition Records  FER1041

  ストックホルム在住、実験芸術の研究施設として有名なフィルキンゲン(Fylkingen)所属の
女性アーティスト(1968-)による、銅版にモーターをつけて振動させたハードドローン作品。
振動させる場所、モーターの設置方法、銅版の形状などで微妙に響きを変えていく。
低く震える音響とちょくちょくいじって振動を変えていく手法のおかげで、
かなり心地よく、かつのんびり意識をトばすことができますね。
かなり地味ではありますが、まあ実験音響のよくある例として普通に聴けました。
半分ほどのトラックでジョン・ダンカンが録音監修。
にしても、この赤ん坊を抱いた本人のジャケは一体どんなセンスだろう・・・



Jefre Cantu-Ledesma
The Phantom Harp (For Katja)

2007 Root Strata  Root Strata 26

ギターのようなピアノのような、深い加工を施された爪弾きが、ふんわりと広がる冒頭。
自動演奏ハープの響きが繊細でとても美しいそれはやがてドローンへと変貌し、さらなる恍惚へと聴き手を誘います。
Andrew Chalkにキャッチーさをまぶしたかのような1トラック20分。3インチのCD-Rです。もうちょっと聴いていたい気も。
和紙みたいな黒基調の紙を折って、その中にCDとコピー紙が入ってるなかなかの特殊ジャケ。
綺麗だけれど、保管に困るんだよねこういうの。



Jefre Cantu-Ledesma
The Garden of Forking Paths

spekk  KK: 009

Jefre Cantu-Ledesmaは以前非常に美しいドローン(上記)を聴いていたので、安く見つけた機会に買ってみたり。
最初のトラックはアブストラクトなごつごつした音、2曲目は非常に綺麗なドローン。
ギター系の茫洋とした音が幾重にも重なって、暗い霧の向こうに見える風景を想起させます。
曲は、特に前半は基本的にフィールド音がぼやけたような短い音響的作品と、流麗なドローンとが1曲ずつ交互に収録されてますね。
どのトラックも、タイトルにふさわしい、冷たく湿った空気の中でぼやけながら漂う音たちが沈んでいる。
ジャケットの不明瞭な木々と、それを写す沼のアートワークもマッチしていて素晴らしい。
最後はちょっぴりギターの生音が絡んだり。不安定にゆらぐ曲構成が美しいです。



8/25

Jim O'Rourke & Christoph Heemann
Plastic Palace People Vol.1

Streamline 1028

ほの暗いドローンがゆっくりと響いてきて、そこに次第にふつふつと湧き上がるいくつもの音。
くぐもった音がいくつか重なり、そこからやがてうめき声のような音響にシフトしていく。
そこからさらに付随したやや明るい音は次第に主導的になりますが、これはその後痙攣して
その他の音もろとも倒錯的な音響へ変貌して、うねりの中へ消えていく。
トラック2のややパルス風な音楽を挟み、トラック3は淡さを感じる、比較的明るいドローンで開始。
このトラックのみ、ダークというよりはとりとめない感じに薄い音響で勝負、綺麗さを感じます。
比較的長い尺のトラック3つからなりますが、どれも2人の音響手腕に支えられた素晴らしい出来栄えばかり。
どれもダークな印象なので、BGMにするなら怖い話を読むときが一番合っているというほかないのが残念ですが。
後誰だ、これをWMPのジャンルでPopに入れた奴。



Jon Gibson
Two solo pieces

1996 New Tone  nt 6756 2

このアルバムの入手を結構長い間待ちわびていました。
何故か知らないけれど最近このCDが市場にまた出回ってるみたいですね。
「Cycles」はパイプオルガンによる重厚壮大なドローン作品。これが凄い。
まさに分厚い音の雲が徐々に自分のまわり全てを隠していくような感覚が味わえます。
この曲のためだけにでも買って、損は絶対にありません。
「Untitled」は20分アルトフルートの低音域によるインプロ風作品。長いスパンでメロディーが繰り返されていきます。
「Melody IV part 1」は穏やかなドローン作品。協和音がゆっくりとうねりながら眠りを誘う。
大きな編成ならではの豊かな音色が心を落ち着かせてくれる。ちょっとブライアン・イーノとかのアンビエント風味。
「Melody III」はヤマハのシンセオルガンによるライリーみたいな音楽。
メロディーに使われている旋法もライリーのそれを想起させます。あの特有のトリップ感が味わえますね。
「Song 1」も4度を主体とした繰り返されるメロディーが東洋的でグラスやライリーのそっち系作品を思わせます。
ソプラノサックス+ヴァイオリン+チェロ2本で高音はユニゾンメロディー、チェロは伴奏と滅茶苦茶単純な構成。
ABA形式で、Bパートはちょっと活動的。とはいっても一瞬に近い長さしかありません。



Jon Gibson
Visitations I & II + Thirties

New Tone  nt 6747 2

ジョン・ギブソン初のLPをCDリイシュー。
シンバルのドローンが騒々しく伸びる中、空ろな笛の音が虚ろに歌う。
やがて鈴やカウベルなどの金属音が入ってきて、民族的な異色ドローン世界が。
IIのほうは、水音(海の波かな)の重なりから始まり、そこに表情を感じさせないドローンと打楽器が入る。
なんとも間抜けで、けれど恐怖感にも似た緊張感が同時にある、ふわふわした音楽。
どちらも、「Two Solo Pieces」の「Untitled」に通ずるようなコンセプトが感じられる。
一方、リイシューで追加された「Thirties(30's)」は同じく「Cycles」に良く似ている。
オルガンのミニマルリズムに、徐々に打楽器やエレキバイオリンなどが加わり盛り上がっていく、テンション高いミニマル。
録音は72年の割りに相当酷いものだけれど、ノリは凄く良いです。気に入った。
ちなみにこの演奏の参加者はかなり豪華。とりあえずGavin BryersやDavid Rosenboomの名前だけでも凄い。
フリー系の演奏によるミニマル・ドローン音楽が聴きたい方はどうぞ。
自分は2ndの方が・・・



Jonathan Coleclough
Cake

Siren 03/Robot 14

冒頭、フィールド音を含む電子音がアブストラクトな変調を受けて何かを訴えるような動きを示します。
ただ、それ以降はいつもの彼らしい暗めのドローン。金属的になってしまった鳥の響きが空ろに響きます。
全ての音がどんどんと色彩を失い、自分の心が平坦に落ち着いていく。ゆっくりと静かに沈み落ちていく感覚がいい。
後半になると、それまで消える一方だったドローンが徐々に力をつけ直してくる。
やがて最初のような変調が復活してきて曲は終わり。
全1曲35分の、大きなアーチ構造を持つどこか虚しさを感じさせる作品。



Joe Grimm
Brain Cloud

Spekk  KK 015

素晴らしく綺麗なアンビエント、あるいはドローン作品。
音同士の干渉による効果に焦点が当てられており、曲はどれもクラシカルな楽器を使用しています。
声、弦楽器、ピアノ、ハープシコードなどの楽器に実際は演奏されていないゴーストトーンが絡み、
ライリーなんか目じゃない瞑想空間が広がります。
2曲目、ハープシコードだけからこんなトランス状態になれる曲を作れるとは・・・
雲のような音たちが1時間たゆたう、細密なジャケットに良く合う5曲を収録。
どうでもいいけどこういう特殊ジャケって保管大変ですよね。



John Cale
Dream Interpretation : Inside the Dream Symdicate Volume II

2000 Table of the Elements  TOE-CD-79

ジョン・ケイルはヴェルヴェット・アンダーグラウンドとしての活動が一番有名でしょうか。
でも自分としては、やっぱりそれ以前の初期の頃、実験音楽をしていたこの頃の音源が一番肌に合います。
このシリーズは木箱ボックスの全3枚セットでも発売されてますが、値段の関係で安く手に入るばら売りを買いました。
これだけCaptain Trip Recordsからの解説付き盤(CTCD-424)を入手。何故か解説はVol.3とのセット。
1曲目「Dream Interpretation」はトニー・コンラッドとの共演。この時点で内容が想像できますが、
やっぱりサイケでハーシュ、ドラッギーなヴァイオリンとヴィオラの二重奏ドローンが20分。
ひび割れてささくれだった音がどうしようもなくのた打ち回る。後半はもうギターノイズと大して変わらない凄さ。
「Ex-Cathedra」はコンボ・オルガン(Vox Continental Organ)のサイケだけれど輝かしいドローン。
細かで軽快なトレモロに和音が絡んでくる、気持ち良い曲。5分でさらりと終わるところも爽快。
「[Untitled] for piano」はピアノの内部奏法をメインとした特殊奏法のオンパレード。
引っかき、叩き、爪弾いて徹底的にピアノの音とはかけ離れた音世界を叩き出します。
一貫してごりごり言っているだけで純粋なピアノの音は一つも聴こえてきません。9分半からのきゅりきゅりした音はやばい。
「Carousel」はじりじりしたパルスが絡み合うハードな短い小品。
「A Midnight Rain of Green Wrens at the World's Tallest Building」もコンラッドとのデュオですが、
こちらはセンチメンタル?な感じの落ち着いた混沌ドローン。3分とこれも短い。
「Hot Scoria」はケイルのギターとアンガス・マクリーズのツィンバロンとの共演。
ツィンバロンはクラシックならコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」で使われてる例が有名でしょう。ハンガリーの民族撥弦楽器。
どちらも弦を掻き毟っているかのような物凄いぐちゃぐちゃした音。荒廃した、テンションの高いサイケドローンな空間です。
このシリーズは元の演奏に加え、くぐもった悪い録音が輪をかけてサイケな音響を作り出しているのがやばい所。
これがないと、音の迫力は半減していたでしょうね。本当に素晴らしいサイケ・ドローンを聴けるシリーズです。



Jonathan Coleclough
Period

Anomalous Records  nom 4 cd

コレクローグの2002年作品。CD再発に際し、長さが倍以上に。
ピアノの美しい和音が、穏やかなドローンを背景にして儚く、けれどはっきりと響き渡る。
彼にしては珍しく、はっきりとした音像がつかめるところにびっくり。
けれど出来は変わらず非常に素晴らしいもので、むしろ聴きやすさが増えた分気軽に手が伸ばせます。
実験音響やドローンが苦手な人にもある程度勧めることができるのでは。
コリン・ポッターによる18分のミックスも収録。彼らしいマイルドになったドローン。
未発表音源を含む2枚組限定版もあるんだよね・・・ちくしょう。
CDのジャケットもいいけれど、LPの方が良さそうな気もしてしまう。



Jonathan Coleclough & Lethe
Long Heat

Integrated Circuit Records  ICR43,44

低く響く重低音と冷たい空ろな残響の中に物音がこだまする。
暗くだだっ広い空間の中に一人取り残されて作業をしている、そんな感じ。
じわじわと音が大きくなっていってふと静まり返る場面もあったりして油断できません。とても長いスパンの展開。
薄暗がりの廊下を見ているような、ぞくぞくした感覚が味わえます。ちょっと恐怖のまじったクールさ、と言えば良いでしょうか。
デジパック仕様の一枚組みCDですが、250部限定の二枚目が「Second Part」として別の二つ折りの紙ジャケに入ってます。
こっちの方が展開が速め。雰囲気が微妙にころころ変化します。
デジパックのアートワークも良いけれど、紙ジャケの暗い写真が曲にあっていて好き。



Jonathan Coleclough, Bass Communion and Colin Potter
Jonathan Coleclough ・Bass Communion ・Colin Potter

2006 ICR  ICR 39

三者がそれぞれの音源をミックスしていく二枚組みCD。
まずはBass CommunionマテリアルのColin Potterミックスによる「Passed」。
穏やかな深い音がゆっくり広がって、場に染み渡っていく。切なげで、とても聴きやすい。
それでもチープなアンビエントにはならずに音響の中で踏みとどまっている感じがまたよし。
2曲目「yossaria」は打って変わってアブストラクトな、風のように空虚なドローン。
微かに響いてくる木質なリズムとホワイトノイズに、ドアのきしむような呻きと電子音がこだまする。
やがて鳥のさえずるフィールド音に収束していく、25分の長めな作品。
コリン・ポッターとジョナサン・コレクローグの音源による、ベース・コミュニオンのミックス。
「raiser」は幽玄なドローンの下で不気味なベースが蠢き、コール音のような電子音が絡んでくる。
Bass Communionが元、Potterのミックス。
「pethidine」はBass CommunionとColecloughの音源が元で、Colecloughがさらに手直ししています。
彼らしい、広さを感じさせるクールな電子音ドローンに細かな反響音が共鳴していく。
30分弱の長さが苦にならない、素晴らしい音響空間。
そんなColecloughがBass Communionのマテリアルを使って作り上げた「epidural」は、Disc2を丸々使った75分の大作。
茫洋とした、暖かいドローンが非常に遅い歩みで織り込まれていく。
そこにやがて、切なげで憂いのある音が徐々に現れて華を添えてくるあたりはたまらない。
次第に音はそちらがメインになり、ドローンもつられるように起伏を大きくつけていく。
そこからかすれたハウリングがスパイスに出てくるところまでが一番の頂点。
そこからだんだんと落ち着いていき、冒頭のドローンが沈黙の中に消え入って曲を閉じる。
限定500枚。かなり素晴らしい内容のドローンでした。



Keith Fullerton Whitman
Recorded in Lisbon

krankey  krank 092

クランキーレーベルの大御所キース・フラートン・ウィットマンによる、ここのリリースらしいドローン音楽。
ふわふわ、ぴよぴよとした音のドローンが切なげに身を揺らし、重なっていく。
そこに、低い音が弦を弾くようにしてぼろぼろ泡のように浮かんでくる。
徐々に音は激しさを増していき、ぎらぎらと輝く音世界へ聴き手を連れて行ってくれる。
そのうち、ごとごと言う物音から、アブストラクトなノイジー音響世界が開始。
それが、ドローンと融合しながら盛り上がっていく様は素晴らしいの一言。
最後にふっと緊張が途切れ、儚く消えていくところまで聴けば、大きなカタストロフィが得られますよ。
盛り上がりのある、(中間部を除けば)普通の感覚で聴きやすいドローン。



Kevin Greenspon
Maroon Bells

2012 Bridgetown Records  #72

カリフォルニアのアンビエントドローン作家Kevin Greensponによる、
自身のレーベルから出したそれまでの総集編的なタイトル。
エレキギターによるノスタルジックな切ない響きが繰り返される。
ドローンがふわふわとそれに絡みつき、その上をぽつぽつと旋律が流れる。
実に甘く綺麗なドローン風アンビエント作品の数々。各曲が短めなのが実に惜しい。
トラック5なんかはドローンが中核になっていますが、ほかはだいたい普通にアンビエント。
トラック6だけちょっとノイズ入ってる。限定100部。
総集編みたいなのに全20分とはどういうことか。



Koen Holtcamp
Gravity/Bees

2010 Thrill Jockey  thrill 254
NYのエレクトロ・アコースティック・デュオMountainsのメンバーでもある人物のLP。
穏やかなドローンに乗せて、ギターの淡い撥弦音がはじける。
この響きは、奏法名は忘れましたが手の平で弦を叩くあれですね。
そこにエコーが薄く加わり、さまざまな音が息を吐くように微かに色付けをする。独特の浮遊感がたまりません。
トラック2はそのドローン部分を強調したような音楽。
こちらはこちらで素晴らしいアンビエントドローンに仕上がっているのが良い。
後半現れるささくれたギターは次第に持続的な響きと一体になって、
そのまどろんだ感覚をさらに曖昧にしてくれます。
限定1000部。



Lionel Marchetti
Portrait D'un Glacier (Alpes, 2173m)

2001 Ground Fault  GF017

副題の通り、アルプスの標高2,173mの地点で録音された音源がベース。
声を初めとするさまざまなフィールド音がドローンと競演。落ち着いた感じではありますが、なかなか盛り上がれます。
深い響きだけれど決して存在感の主張はしないドローンに、フィールド音が絡んでくる瞬間が実にうまい。
無音に近いときからぶわっと盛り上がるところなんかぞくぞくしますね。構成がここまで巧い人はそうは居ないでしょう。
フィールド系の作品の中ではかなり気に入りました。



Lissom
Nest of Iterations

2009 Dragon's Eye Recordings  de5020

Tana Spragueによるソロユニットのアルバム。
かすかなギターの音と背後のざわめき。
細々とささやきが聴こえ、薄いホワイトノイズがあたりに響く。
基本はやや重苦しい感じの実験音響作品なんだけれど、
3曲目のようにぎりぎりで美しさを感じさせてくれる場面はいい。
というか、曲が進むにつれてだんだんアンビエントになっていきますね、これ。
後半はメランコリックなドローンアンビエントになります。これもこれでいい。
音響作品とアンビエントテクノの狭間をいくような、ジャケットどおりのアルバム。
この暗闇に浮かび上がる蜂の巣のセンスがいい。限定250部。



Loren Dent
Empires and Milk

2006 a contract killers  なし

テキサスの若手アーティストによる、自主レーベルからのアルバム。
ノイズや茫洋としたドローンにまみれながら、ギターや電子音などが儚く音を奏でる。
淡く過ぎ去っていく音楽はどれもそんなに長くなく、せいぜい3-10分。
長すぎず短すぎず、といったところが個人的には大満足。収録時間は80分近いけれど。
Infractionから出ていてもおかしくない、暖かいアンビエント系の音響ドローン世界です。
トラック7、12-15とか気に入った。



Lunatik Sound System
There is something in the room

2008 Something

形を失い、正体を見つけられない音たちが、微かな声を上げながら自分を探し求めるようにゆらめく。
音そのものはふわりとした感触だけれど、その内側には強い意志のような力を持って前に進もうとさせるものがある。
曲によっては、遠くから聞こえてくる飛行機の駆動音みたいなトラックも。
明るくはないけれど、その柔らかい感触が聴きやすいドローン音楽。



Lunatik Sound System
Soul Control

2008 something  12

ぼんやりしたドローンが、時に暗く、時に輝かしく、変化しながら波打つ。
2曲目のような内側に強さを感じさせるトラックや、4曲目のように柔らかく穏やかなトラック、
6曲目などの荒漠な風景から9曲目の雨音を使ったフィールド音系まで、変化の幅はかなり広い。
音楽が絶えず進行し、全9トラックが切れ目なしに続く。
さまざまな音色で飽きさせません。



Lunatik Sound System
Dream Induction

2007 something  08

暖かい、まわりを包み込んでくれるようなぼやけた音が、ふわふわとゆらぎながら波打つ。
アブストラクトな音が、じわじわと染み込んでくるように響いてくる。
非常に心地よい、ドローン・アンビエント作品です。
特に、最後の長尺トラック「Beyond the Infinite」は最高。気持ちよすぎて体の力が抜けてきます。
ちょくちょく聴き返す、個人的なドローンお気に入りベスト3に入る曲。
基本的には暖かい感じですが、トラックによってはソリッドなちょっと冷たい感覚だったり。
まさに夢見るようなサウンドが詰まった80分のCD-R。



masa
old good

magic book  AROWANA007

友人のくれたカシオトーンを元にして作り上げる、ぼやけた過去の情景です。
晩秋の色あせていく風景のように、古い懐かしい記憶。
いつまでも同じ場面しか思い出せずそのまま留まっているような感覚。
ジャケットの、枯葉の積もった地面のぼやけた写真が内容を物語っています。
なお私の貧弱な環境だと徐々に、まるで傷ついたレコードを再生しているような規則的なノイズが
入ってきて、これはこれでノスタルジーを与えてくれます。要はCDRがうまく再生できてないだけだけど。
暖かさと儚さのある、1トラック55分のドローン音楽。



Michele Bokanowski
L'etoire Absinthe / Chant D'ombre

2010 Optical Sound  OS.055

フランスのコンクレート系作家、ミシェル・ボカノウスキーによる一枚。
前半は2002年にMetamkineからリリースされていたもの。
ふわっふわっと音が導入し、硬質な音が浮かんではさっと過ぎ去っていく。
ひそやかに主張する音たちの振る舞いは、素っ気ないものなのにかなりの緊張感が漂う。
後半は今回が初出。同国の大御所Eliane Radigueに捧げられています。
低く震える出だしから非常に静かに音の波が打ち寄せる。
微かにさざなみ返す音は時折積み重なり、やや大きな波となって耳元を洗う。
非常にひそやかな楽想は、確かにラディーグへの敬意が良く表れている。
派手さはなく、音素材も非常に限定的なものですが、そこから紡がれる音楽は
非常に洗練されていて、かつ緊張感漂う素晴らしいもの。
「Chant D'ombre」などは静寂音響に通ずるものがありますね。
限定500部。



Milieu
Beyond the Stars Lies the Sea

2008 Second Sun Recordings  SSRCD-12

2006年に発表された「Beyond the Sea Lies the Stars」の150部限定ボーナスディスク。
それが今回未発表の2曲を加えて再発されました。これは随分ドローン音楽よりです。というか、そう言って差し支えない。
かすんだようなぼやけた響きの中で、ゆっくりと穏やかな和音が打ち寄せていく暖かなミニマル空間。
終始かかっている風のような薄いノイズが曲の深さを引き立てていますね。
聴いていてとても気持ちよく、どっぷり協和音の中に埋もれて我を忘れさせてくれます。
Andrew Deutshの「Loops Over Land」を連想させてくれるような、実に素晴らしい曲たちでした。



Milieu
Live February 22nd,2006

2006 Milieu Music  カタログ番号なし

MilieuはBrian Graingerの沢山ある名義の一つですね。もっとも彼のことはまだ全然知らないですが・・・
ライヴなので音がくぐもっています。元々そういう音響が混じってそうな音源もありますが。
落ち着いた、アンビエント色の強いテクノ。控えめなビートを背景に、温かみのあるドローンが伸びていく。
録音の悪さが逆に丸い魅力的なサウンドスケープに仕立て上げています。
4曲目最後や5曲目途中、音が時々切れてるのはライヴ中の事故か?拍手や声から録音ミスではない感じ。それともこういう曲なのか。
5曲目冒頭、夢見るような茫洋ドローンに突如Windowsの警告音が鳴ってびびります(笑)これは・・・流石に曲の一部じゃないでしょうね。
7曲目だけやたらリズミック、でもすぐ終わる。
クレジットは7曲しかないのになぜか8曲入っている不思議。8曲目だけ録音が明らかにライヴじゃない。
どうやら4曲目、「Dream From Above Houses」の録音版みたいですね。
限定50部、ジャケット色はバリエーションあり。思いっきり手作り。



Monos
Generators

Die Stadt  DS74

Darren TateとColin Potterによるユニット、モノス。
1曲目「Sleep」から、輪郭をなくした、けれど芯のあるドローンが伸びる。
そこに、微かに電子音が響いてきて、変化を作る様子からもう素晴らしい。
それは、最初は気づかないようなものだけれど、次第にはっきりと聴こえるようになる。
2曲目、タイトル曲「Generators」は、ふわりと漂う電子音のサイクルに、オルガン風ドローンが入ってくる。
それがふっと溶解して景色が変わったりすると気持ち良い。基本的にはさっきと同じ音内容が続く。
3曲目の「Slowly Fading」は、これまでよりかなり動きがある。音階でのゆったりした下降/上昇がとてもメロディアスに響く。
夢見るような、何ともいえない心地よさ。それが溶けていく中、稀なシンセ音のアクセントがどれだけ意識をはっきりさせることか。
4曲目、Disc2をまるまる使った「The Black Sea」は、暖かいふわふわした音に、ギターのような音色がうねりを持って入ってくる。
オルガンのようなドローンが徐々に響いてくるところは最高に気持ち良い。
CD1よりは茫洋とした、ちょっとシリアスな空間。少しずつギター的な音が溶解していくと、
その中から別の音が、今度は少し変化をもって見えてくる。
どの曲も、最上級のドローン音楽。もう素晴らしすぎます。やっぱりこの方々は凄い。



Monos
Above the Sky

2009 Integrated Circuit Records  ICR 71

あのMonosが2005年の「Generators」以来の新作をついに発表。
重々しい金属の引きずり系の音を冒頭に、それをマイルドにした電子音ドローンが始まる。
広い空間を感じさせる相変わらずなドローンを軸に、ギター系のノイズなどがぱらぱらと響いてくる。
やがてギターのメランコリックなメロディーが高音にまとまったドローンから聴こえてきて、
それは騒々しいまでの鳥の鳴き声に変貌する。
さまざまにその様相を変えながら鳴り響く、素晴らしい持続音による物語。
決してドローン一辺倒になることはなく、環境音の導入やさまざまなエフェクト・動きを交えながら進んで行く。
限定135部のSpecial Editionを入手。ボーナスCD「Below the Earth」(ICR-72)がついてきます。
こちらはPaul Bradleyが参加。ドローンがゆっくりとフェイザーを伴う冒頭から、
次第にリズムが顔を現してはやがて冒頭のようなドローンに戻っていく。
本編と負けず劣らず素晴らしい、似た様な内容。
やはりMonosは素晴らしい音響美を聴かせてくれます。



Monos
Sunny Day in Saginomiya

2001 Edition . . .  Edition xxiv

Darren TateとColin Potterに加え鈴木大介がフィールドレコーディングで参加。
鳥のさえずりに、少しづつフェーザーのかかったノイズドローンが加わっていく。
やがて、徐々に湧き上がるような電子音が出てきて、そのサイケな倒錯感を増して行く。
2曲目はさまざまな金属系物音がからからと電子編集にまみれながら響き渡る。
特にドローン的なわけではないけれれど、その過度のリヴァーブにトリップさせられます。
徐々にリヴァーブが残響ドローンへと変わって行く様が凄い。
ジャケがゼラニウムかなんかの綺麗なジャケだったので美麗ドローンかなと予想していたんですが、
見事なまでに大外れでした。でも内容的にはやっぱり素晴らしい。



My Cat is an Alien
Through the reflex of the rain

2004 Free Porcupine Society  FPS11

スタジオの窓からマイクを出し、そこで得られた音をそのまま使用している39分1曲。
電子音のドローンを中心にして、フィールド音が空間に充満していく。
その中からギターの爪弾きが徐々に現れてくるところははっとする。
そこから金属音や太鼓のような音も参加していろいろと微妙に様相を変えていきます。
最後に猫みたいな声が入るのはご愛嬌。彼ららしいサイケなドローンでした。
楽器名の修飾が"cosmic""galactic""astrotoy"と、やたら宇宙関連。
君たち宇宙が好きなのは分かったからもうちょっと落ち着きなさい。



O
Say Ying I Say Yang You

COmmA  なし

アーティスト名は、実際には長音表記がくっつきます。詳細不明。
エレキギターらしき芯のある音が柔らかに揺れ、輝きを持って響く。
まるでゴングのような響きに似た密度でゆらゆらと揺れる音は恍惚です。
そこに次第にノイズが浮かび明かり、フィールド音なども入って
さらに音楽はトランスと忘我の世界へ迷い込んでいく。
けっこう東洋的というか、あの密教みたいなアヤシさが面白いスパイス。
トラック2は低音のドローンで開始、こちらはストイックにじわじわ攻めます。
この方が正当なドローン音響らしいけれど、前半の個性的な響きを聴いた後だとちょっと弱い気も。
でも、普通に聴くときはこっちの震えるような瞑想世界の方が良いかも。



Oren Ambarchi and Johan Berthling
My days are darker than your nights

2003 Hapna  H.10

Oren AmbarchiのギターとJohan Berthlingのハルモニウムによる、柔らかくはないが心地よいドローン音楽。
ぎらぎらした電子音ドローンが少しずつ絡みうねり合い、混じりながら変化します。
絶えずその身を震わせながら佇む音は、それでも自分を発散させながら、暗く、でもどこか明るく輝いていく。
そこからパルスが顔をのぞかせてくればもう興奮間違いなし。
パルスとぎらぎらが混ざりながら、聴き手をさらにテンションの高みへ連れていってくれます。
やがてドローンが消えてパルスだけ残り、それも徐々に消えうせていく。
ただのドローンとは一線を画した素晴らしい音楽作品。1曲30分の収録。



Organum
Sanctus

Robot Records RR-35

自分が音響系とかアンビエントとかドローンとか、そういうのを聴き出したのはいつだっただろう。
このCDはその一番最初のものの一つであることは覚えています。
神聖という言葉を音に描いたような神々しいトラックが続きます。
ってか4つあるトラックの区別がつきません(笑)
これを聞いた後、他の初期の作品を聴いてこうなったのが最近であることをようやく知りました。
まあその頃のヘンタイじみた音作りも面白いと思いますが、さすがに聴きやすくは・・・
それでも、音素材をこれほど綺麗に混ぜ合わせるアーティストは少ないでしょう。



Organum
Omega

Die Stadt  DS101

オルガヌムの三部作最後を飾る作品。
聴く前から前2作と同じような感じで期待通りだろうなと思ってましたが、本当にその通り。
Ellen FullmanやStephen Scottみたいなシタール風の幻想的擦弦音がふわふわと響き、
その下に低くどっしりとした落ち着きのあるドローンが流れる。
そして、合間に鳴り響く荘厳な和音の塊が神々しさを強調する。
この素晴らしく心地よい響きの空間がたまりませんね。
徐々にオルガンドローンが泰然と浮かび上がってくるところなんかまさに昇天もの。
やはり美しいドローンといったらこのシリーズは外せませんね。
今回は3トラック同じ?ものが収録されてます。曲間の長い間なんかも何時もどおり。



Organum & Z'ev
Tocsin -6 Thru +2

2004 Die Stadt  DS77

「Tinnitus Vu」に続く、ノイズ大御所の共演アルバム。
金属ノイズが激しく偏重されながら、ピアノや声などのマテリアルと絡み合う。
Z'evの激しいジャンクノイズがOrganumの重厚音響世界に見事に溶け合っている。
ささくれたノイズのはずなのに、どこか角が取れて繊細さを帯び、
美しさを併せ持ちながら包み込むように響いてくる。
長さ的にはメインとなる8トラック目「Tocsin +1」パート以降なんか極上の美しさです。
ピアノのゆらめきが前面に出された裏で、金属音とドローンがふわりふわりと影をつける。
後年の「Amen」のシリーズにつながる音響も聞き取れるのが興味深い。
Organumのノイズを使いながらこれだけ艶やかな世界を表現出来る手腕は流石としか言えない。
そして、それに耐えうる立派な音を作るZ'evも素晴らしい。
限定600枚。



Pale Blue Sky
Apricot

2010 Ekhein  EK45(Cassette)

アメリカのMike Pollardによるソロプロジェクト。
テープ独特の靄がかった音響の中で、温もりを持ったドローンがゆったりとたなびく。
ふわふわと震える独特の、雲のようなぼやけた輪郭の柔らかい響きに、
様々にメロディーの断片が浮かび上がってくるような錯覚を覚える。
浮かぶような旋律の反響から、長いスパンのメロディーがこだまする。
ぼやけながらも精一杯輝いて伸びる、淡いドローン。
そのトリップしそうなくらいに夢見心地を味わえる、暖かい音楽が聴けます。
19分カセットという短い収録なのがとても残念。



Pentemple
Sunn O)))Presennts...Pentemple

Southern Load  sunn 95

Sunn O)))のたった一晩だけの別名義Pentempleの音源。
ダーク・ドローンはこれでもかという圧倒的な強い力を持った音。そこに低いわめきが絡んでくる。
やがて狂ったようにドラムが入ってきてさらにカオスな空間に。わめきは真っ黒な嗤いに変貌していく。
声やドラム、ギターがサディスティックに暴れまわり、それすらも押しつぶすように重苦しいドローンがたちこめる。
最後のほうはギタードローンが他を圧倒し、高らかに空間を押しつぶします。
非常にロックな曲調ではありますが、ノイズ系ドローンとしても素直に楽しめました。



Peter Wright
Unvarnished Untreated Unzipped

Pseudo Arcana / Seedy R!  R!014

聴きやすい作風が多い著名な実験音響アーティスト、イギリスツアーのライブ音源。
非常に小さい音量から会場ノイズのような声が聴こえてくる。
次第に音量をあげながら、ゆっくりとドローンやフィールド音などが顔をのぞかせ、
気がつくと音楽はギター系の美しいドローンに変わっている。
ちょっとフィードバックが激しい感じがささくれ感も出してますが、
ふわふわと広がっていくこの音響は、彼の作品中最も聴きやすいものの一つと言えそう。
後半は蒸気機関のようなリズムに乗って展開します。
トラック2は鳥の鳴き声とハウリング系ドローンが淡く絡み、
次第に音が重なりながらフォークな感じのドローンに育っていく。



フィル・ニブロック
Phill Niblock
Four Full Flutes

1990 XI XI 101

ニブロックの作品は過激です。
どれもこれも展開が非常に薄い。フェルドマンよりもっと時間の経過が遅くなる。
ひたすらドローンを作る彼の作曲姿勢は見事な一貫性を持っています。
私が最初に聴いたこのアルバムも、4曲80分フルートやバスフルートの持続低音が全て。
英文流し読み&スコアの一部から察するに、元の単音を録音してからそれを貼り合わせていったんですかね。
フルートのドローンは冷たさが強調されます。息がそのまま音になるので、寒風のイメージが容易です。
これがKontradictionaries(mode 131収録、コントラバスフルート・コントラバスサックス・バスチューバの編成)
とかになると激重の胃もたれのようなドローンになるわけですね。まさに字面どおりのドローン。



Rafael Flores
Nubes,cometas,rumores y orugas  -Selected Works 1994-2004

2005 Monochrome Vision  mv05

スペインのアンダーグラウンド界隈で活躍しているアーティストの、初のCD作品集。
モノクロで無機質な世界が延々と続きますがドローンだったりリズミカルだったり飽きはきません。
最初の「Minono 1」ではひたすら、ささくれた高音の目立つ電子音ドローン。次の「Oidoor 1」に入るとその音がくねり出す。
かと思えば続く「Sanzoot」は激しいハーシュノイズだったりと表情はころころ変わります。
全体としてはハーシュノイズとミュージック・コンクレートを足して2で割った感じ。
「Antinoe 1994」では雷鳴などのフィールド音も使ってますが、全体的には音のバリエーションは大きくないです。
ただし、硬派な電子音楽を彷彿とさせる音作りは渋くてとても良いですね。
電子音楽のファンなら是非聴いてみてください。



Rafael Toral
ハーモニック・シリーズ 倍音連鎖
Harmonics Series 2

2004 vectors  vector 1/Headz 24

ラファエル・トラルのようなギタリストによる作品は好きです。
この作品でも顕著ですが、音響実験のような作品群はどれも優雅なドローンサウンドに仕上がっている。
もちろん、近作のものなどドローン以外の作品も沢山あるけれど、自分にとっての魅力はそこ。
このCDの解説に取り上げられていたように、音楽はルシエの代表作を聴きやすくした感じ。
サイン波の心地よいうねりが、ふわりと漂い空気をまんべんなく震わしていく。
彼のドローン作品は、独特の響きへのこだわりが感じられて素晴らしいです。



Randy Greif & Robin Storey & Nigel Ayers
Oedipus Brain Foil -three compact discs

1999 Soleilmoon Recordings  SOL 66 CD

古くから実験音響シーンを牽引する大御所Randy Greif、
イギリス出身の実験音響家でシュトックハウゼンからアフリカ音楽まで手中に収めるRobin Storey、
Nocturnal Emissionsとして超有名なNigel Ayersの三人がコラボするという
とんでもない3CD企画がソレイルムーンからリリース。後に個別でリリースされるくらい。
先ずはRandy Greif & Robin Storeyによる「Nail Of A Pious Bride」。
やや暗くスペーシーな、音響的に深みをもってそこから響いてくるアンビエントドローン。
けれどどこか儚さのようなノスタルジックな要素を持っている。
Robin StoreyとNigel Ayers「Perfidious Albion」は
ぼやけたビートが絡みつく不思議なアンビエントのサウンドスケープ。
さっきよりは若干明るくポップさもちょっと感じられる雰囲気でゆったりと音楽が広がっていく。
最後はRandy GreifとNigel Ayersの「Build a Poison Fire」。
今までよりもさらに不定形にふわふわとしたふるまいで、時に深く沈み、またあるいは儚く輝く。
素晴らしいドローン・アンビエントが聴けました。限定500部。



Richard Lainhart
White Night

2007 Ex Ovo  EXO1974

長年アンビエントドローン作家として、あるいはDavid BehrmanやPhil Niblockなど
多くの作家のサポートを行ってきた重鎮の、Moogシンセによる1974年作品。
幻想的な美しいドローンがゆっくりと微かな波を打って押し寄せ、
和音の中の構造を少しずつ変えながら音が淡く光っていく。
わずか30分ほどのトラック1つ収録されているだけですが、実に鮮やか。
とても70年代の作品とは思えない新しさ、そして素晴らしさ。
美しいドローンが聴きたい時に強くお勧めできる音楽です。
あとはこれがフルに1時間とかあればなあ、と思うばかりなのが残念すぎる。
まあ仕方ない、たっぷり聴きたい時はXIレーベルから出てる二枚組を取るしかないか。



Robert Rutman
1939

Robert Rutman,Buzz Chime/Single String Steel Cello/Chant/Bow Chime
Carsten Tiedemann,Tabla/Bow Chime  Danny Orlansky,Tibetan Horn/Bow Chime/Steel Cello
1998 Pogus  P21017-2

ロバート・ラットマン(ルットマン)は密教系のドローン音楽を書いてくる、摩擦系ノイズやドローンマニアには知られた人物。
1曲目「Tabla and Buzz Chime」、ブザー・チャイムのぶんぶんといううなりにタブラのプリミティヴなリズムが絡む。リズミックで聴いててノれる。
「Steel Cello and Bow Chime」はどちらも持続音を作るのでいきなり秘教的。摩擦音が響くドローン、動きはあるけれど。
「Chant,Bow Chime,and Horn」は地の底から響くようなドスの聴いたドローン。凄いけど、5分と短い。
「Three Bow Chimes」も雰囲気は変わらず。重苦しい雲が押し寄せるかのような音の持続が16分。
絶えずゆっくりと音の構成が変化する、素晴らしいドローンです。
元のLPからCD化する際にボーナスで付いて来た5曲目「Song of the Steel Cello」は思い切り金属摩擦音。
ドローンともメロディともつかぬ音が動いていく。徐々に音が絡み合い、うねるような憂いを持った金属音の叫びになっていく。
おどろおどろしい光景が妙にマッチしてしまう(特に後半3曲)けれど、出来は非常に良い。



Roger Winfield
-Windsongs-  The Sound of the Aeolian Harp

Saydisc Records  CD-SOL 394

エオリアンハープって「ああ、あれね」っていう方どれくらい居るんでしょう。
自分の答えは(こ、古代のハープですか?)でした。何のネタにもならないですね。
日本語では風鳴琴と言えばいいんでしょうか、風によって音を鳴らさせるハープのようなものです。
このアルバムはそんな楽器をもとにしてリミックス処理を行ったもの。
Roger Winfieldがスペインを訪れた際に録音したものが主な音源らしい。
前半各曲の題が「North Wind」「East Wind」て具合でマテリアルもだいたいその方面の風なのが思わず笑いました。
どのトラックも茫洋とした音がゆらゆらうねりながら独特の感触を作り出します。
ぎらぎらともふわふわともつかぬ、そんな音風景が広がる8曲1時間。
ジャケットにあるこのエオリアンハープは氏が作ったんだろうなあ・・・すんごい形してるや。



Soriah
Chao Organica in A minor

2006 Beta-lactam Ring Records  mt105

アメリカ・オレゴンの、古代民族音楽や自然/精霊崇拝を研究するちょっとカルトなアーティストによる、
ポートランドの古い教会での2003年のライヴ・レコーディング。
オルガンのマイナーな和音の、宗教的な趣を感じさせるドローン。
そこに、呪術的で原始的なヴォイスパフォーマンスが入ってくる。
まさに恍惚とした、美しいオルガンの音色が素晴らしすぎる。パレシュタインやギブソンの名作を連想します。
もちろんあれらのように直線的なドローンではなく、全面的にカルト的な超自然的宗教色が色濃く表れていますが、
逆に、音に抑揚をもって聴き手に揺さぶりをかけてくる、くらいに思えばとても楽しめる。
そんなおどろおどろしくないのでメランコリックな音楽として楽しめます。
中盤はさすがにオルガンの薄い、リチュアルに過ぎる場面もあるけれど、それを差し引いても
良いアンビエント風ドローンです。限定700部。



Sostrah Tinnitus
Nebra

Cold Current Production  C.C.CDr010

2000年ごろから活動を行っているアンビエント系のユニットが、2004年に99枚限定で出したアルバムの再発。
ギターやオルガン系の切なく漂うドローン。
はっとするような、非常に美しく幻想的な世界が広がります。
ふわりふわりと、個々の音が現れては消え、絶えず和音が変化して音楽がたゆたう。
トラックによってはドローンだけでなく、やはり幻想的なドラムや打楽器、加工されてぼやけたオルゴール系の音などを使ってます。
あくまでアンビエント系らしく、音の主張が少なく音量が小さめ。
その奥ゆかしさが、音楽にさらに儚さを与えてくれています。
小型DVDパッケージの粗い作りですが、内容は非常に素晴らしい。



Stars of the Lid
Avec Laudenum

2003 kranky  KRANK059

krankyを代表するアーティストの、オリジナルはsub rosaからの再発盤。
ホルンのような柔らかい音と、ふわふわと取り囲む電子音がほの暗い空間に響き渡る。
ゆらゆらと淡く、炎のようにゆれる音が、音以外の空間をじわじわと暖かく照らし出すよう。
アンビエントの趣きが強い、とても美しいドローン作品です。
睡眠のお供にももってこい。よく寝る前に聴いてます。
以前たまたまkrankyのコンピを手にしたときからずっと気になっていたんですが、
こうして今回聴いて改めて(聴いてよかった)と思いました。



Stars of the Lid
The Ballasted Orchestra

kranky  KRANK015

ぼやけたドローンが空間を満たすように空ろに響く。
ギターの音が果てなく伸びていっては、その上にさらに幾重にも音が重なっていく。
じわりじわりと音の内容が変わっていきながら、その心地よいドローンさは変わらない。
相変わらず、落ち着いて聴けるアンビエント系のドローン。
落ち着いた、余計な音の無い地味な構成がドローン好きとして好感持てます。
個人的にはトラック6、8のようなものが特に素晴らしいと思う。



Stars of the Lid
And Their Refinement of the Decline

2007 kranky  KRANK100

Adam WiltzieとBrian McBrideによる人気ユニット、2CDの大作。
今回はチェロやトランペット、合唱をはじめとするさまざまなアンサンブルが参加してます。
アンサンブルの音色に導かれて始まる、穏やかで温もりのある音楽。
ふわりふわりと押し寄せる波のような、絶妙の揺らぎがとても心地いい。
ぼやけた輪郭の中でおとがゆっくりとこだまする。
はっきりとアンビエント的な聴きやすさを持ちながらも、うまくドローン音楽の流れに乗せている。
生楽器の音色と電子音の編集が素晴らしくマッチした、彼らの作品の中でもかなり上位にくる出来。
というか、個人的には文句なしに一番の出来。なんせ、コンピで聴いて
(こりゃチェックするしかない!)と思わせた決定的な1曲(CD1の8曲目)が入ってますから。
アンビエント好きなら間違いなし、ドローン好きでも決してハズレにはならないはず。
個人的に、CD1のトラック8以外にはCD1のトラック9、CD2のトラック7とかが印象的。



Stars of the Lid & Jon McCafferty
Per Aspera Ad Astra

1998 kranky  krank 028

コラボしてるJon McCaffertyなる人物がどういう活動をしているのかよくわかりませんが、
ここでペインティングとテープを担当しているということは実験音響に強い御仁なのか。
虚ろに響くドローンに金属音などが遠くこだまし、音の亡霊がそっと過ぎ去る。
その中からゆっくりと音が入れ替わり、Stars of the Lidらしいドローンが見えてくる。
間の長い中で美しく幻想的な音がぽつぽつと響いてくる。
まあ初期のStars of the Lidももともと甘さは控えめな感じでしたが、
これはおそらく、結構Jon McCaffertyのテープ操作による実験音響的な響きが
加味されてこのようなアルバムに仕上がっているのではないでしょうか。
終始淡いサウンドスケープに浸れる、ビターな味わいの彼ららしいアンビエント・ドローン。
個人的にはトラック2-3あたりの幻想さが素晴らしいと思う。



Stroma
(Untitled)

2009 Razors And Medicine  r&m 18

詳細不明なアーティスト、アメリカ・ボストンのレーベルから。
これ以外にはわずかにカセット作品があるのみのようです。
茫洋とした、虚ろではないんだけれど深く沈んでいくようなドローンの響き。
ゆがんだドローンのうめきは、とらえどころがないながらもはっきりと芯を持っていて、
それがどこかMirrorなどの実験音響に通じる気がしないでもない。
明るくもないけれど、どこか聴いていて落ち着く瞑想的なドローン。
非常に良い内容で満足でした。限定100部。



Taiga Remains
Ribbons Of Dust

2006 Root Strata  Root Strata 32

輪郭を微かに残しただけのギターが、ゆっくり染み渡るように広がっていきます。
柔らかく漂う音たちがとても素晴らしい。作者がAndrew Chalkを敬愛しているだけあって非常に流麗なドローン。
どの曲も儚げで、ふと消えてしまいそうな感覚を覚える。どのトラックも良いですが、特に20分超の最後の4曲目がお気に入り。
暗さというか翳りのある感じ背景の上、ゆらゆらと切なげにふるまう音がなんともたまりません。
それが徐々に明るさを持ってゆく展開なんかはまさに恍惚。
こんな良い曲が限定300枚とは。アンビエント系ドローンとしては最高の部類なのに。
Root Strataは本当に良い曲を出してくれます。



throuRoof
Whale Bones

Sentient Recognition Archive  SRA006

Part1"Humpback Cemetery Blues"、空ろにぼやけた視界の中で、金属音、あるいは鯨の鳴くような反響が聞こえてくる。
そこから、やがて古代の太鼓のような、プリミティブな音のビートが重々しく響き渡る。
が、やがてぎらぎらしたドローンの支配する上でピアノのような音がディレイして聴こえる美しい場面へ。
それは次第に不協和音とクラスターを伴いだし、音響処理の狭間に巻き込まれていく。
Part2"Sing the last Dream"は心地よいドローンの応酬から始まり、それが厚く広がったり、薄く切なげに伸びる。
やがて、そのややかすれた輪郭のドローンに影がおしよせ、美しさと暗さの同居した素晴らしい音楽に変貌していく。
そのドローンが落ち着くと、鯨の鳴き声と思える音が聴こえてきて静かに全曲を終える。
限定100枚。



Tidal
The Four Rivers

2001 Alluval Recordings  ALL 010

NYのサウンドアーティストDavid Brownsteadによるソロユニットの作品。
彼は666 Volt Battery Noise名義の方が幾分有名のようですね。
三島由紀夫の影響を受け、また彼に献呈されているだけあって、各曲タイトルもそれにちなんだもの。
ちなみに各トラックの川は、彼が肉体と精神の関係を知るために作り出したキーワード
(これを題に冠した評論も晩年発表してます)、「書物の河」「舞台の河」「肉体の河」「行動の河」のことをそれぞれ指しています。
微かに空気が漏れ出るような、非常に淡いノイズドローンが時間をかけて現れ、
そこに低音やシロフォン風の小さな音がループしながらこちらにゆっくりうねってくる。
くぐもったノイズの流れに、時折弦をはじくような深い響きが加わる。
どのトラックも、深く深く思索していくような静謐なドローン。
曖昧で抽象的な、落ち着いた響きがなかなか良かったです。



Tony Conrad
Four Violins(1964)

Table of Elements

トニー・コンラッドの代表作。
ささくれたヴァイオリンの音色が空間にどんどんと割り込んでいく。
まさにヒルビリーという言葉が似合うサイケデリックなドローン音楽。
このヴァイオリンとは思えないノイジーな音楽がひたすら30分続くのはやわなハーシュを聴くよりきつい。
でもこの強烈な音に圧倒される感覚が好きで聴いてしまう・・・ってなんだかマゾみたいだ。
まあこういうのを聴く時点でそういう人間なのかもしれないけれどね。
エンハンスドCD仕様。質はよくないですがライヴの様子やインタビューなどがmov形式で見れます。
LPは普通に情報あるのにこのCD盤のカタログ情報が簡単には出てこないなあ、何でだろう。
わかった、こりゃあれだ、「Early Minimalism」のDisc1だけばらけちゃったやつだな。
オリジナルのBOXセットも買ったから後でレビュー書こ。



Troum
Objectlessness

2008 Faria Records  FAR-16

2005年にCDRで出ていたものの再発。
荒野のような寂れたドローンが響き、それがゆっくりと力を増しながら忍び寄ってくる。
時々はっとするような展開も織り込みながら、ギタードローンも入り少しづつ音を広げる。
儚く引いてはまた夢のように押し寄せる、実体のないかのような音たち。
ふと途切れたかのように音が消えると1曲目終了。
2曲目は音が全体的に高くなり、ややノイジーな印象で開始。
けっこう力を持った出だしですが、こちらはふと彼ら独特の切ないドローンへと切り替わる。
ダークな面と儚く嘆く場面が絶えずぶれて表裏一体に歪み合う。
このTroumらしいノスタルジックな盛り上げ/終わりかたはやっぱり大好きです。
限定750部。



Troum & All Sides
Shutun

Old Europe cafe  OECD 089

ブレーメンを拠点に活動する2人組ユニットと、やはりブレーメンのNina KernickeことAll Sidesが組んだアルバム。
彼女の協力を得て行ったライヴパフォーマンスのスタジオ版、とのこと。
まるで呪文を呟いているような、恍惚状態な声がドローン状に響いてくる。
徐々に、茫洋としながらもどこか暗い情景を表すようなダークドローンなアンビエントに成長する。
シンセやサンプラー等の機材を使わずに制作しているアナログな音響が、
この音世界にセピア色のイメージをつけていて、それがたまらなく素晴らしい。
中間はダークな実験音響のイメージが強い不明瞭なパルスが奥から響きますが、
最後に上記2種の音楽が同一に奏でられるところは構成の妙を感じました。
丸いメタルケース入りの特殊ジャケ。



Ubeboet
Spectra

2007 Twenty Hertz  TH 017

マドリッドを拠点に活動をするアンビエント系アーティストUbeboetことMiguel A. Tolosaの初アルバム。
Paul Bradleyのレーベルから出たのが納得できる出来。
広く響き渡る、漠然としたドローンによる短めのトラックが9つ。
時には楽器音などのマテリアルを用いながら、展開をつけて様々に聴かせます。
特にずば抜けて凄いわけではないけれど、気楽に聴ける、スタンダードなドローン作品。
だいたいはノスタルジック系だけれど、ちょっと実験系の暗さが垣間見えるトラックも。



Un:
The Final Question

2012 ICR/Twenty Hertz  ICRTH 1/ICRTH 1

Colin PotterとPaul Bradleyというビッグネーム二人によるユニット。
正直言って、もうその時点で内容とそのやばさは何となく予想がつく。
低い落ち着いた音と、高音の金属質な音が絶妙に混ざり合いながら、次第にゆっくり押し寄せてくる。
ゆるやかにうねりながら、次第に音域の多くの帯で音が鳴りだすようになり、
その中から次第にややクラウトロックも連想させるパターンも多く飛び出してくる。
それらは現れてはふと力をなくして消えていき、次の持続音に押しつぶされていく。
その音に揺さぶられる感覚がいつもの彼らのような絶妙でソリッドな音響で繰り広げられるから倒錯的。
旋律的な要素をしばしば前面に押し出すので、はっきり音楽として認識しながら聴きやすい。
それでいて、いつものドローン作品のような陶酔感が味わえるのは良いですね。
個人的には最後10分の畳み掛け方がたまりません。…まあ33分しか収録ないですが。
レーザーカットの波打ち模様ジャケがまたいい味。



VCV
The Star of the King of the Dead

2008 Second-Sun  SSRCD-06

Brian GraingerとDavid Taggによるデュオ・ユニット。
ぼやけかすれ、ささくれたドローンが、どこか切ないパッセージを持って展開する。
ギターなどの音が、比較的加工されずに使用されていて、そこまで音自体が柔らかくは無い。
けれど、ドローンの中で多めに見られるその振る舞いが、いちいちノスタルジック。
だが、それはやがて力を増し、アンビエントというよりノイズミュージックに変貌をとげる。
最後にはそのノスタルジックなノイズも途切れがちになり、儚く沈黙に消えていく。
濃密な1時間1トラック。限定100部はグレインジャーにしては多いなあ、と思った。



VCV
VCV

2007 Second-Sun  SSRCD-02

Brian GraingerとDavid Taggによるデュオ・ユニットの2nd。
「Valley Drone」、ギターとベースによる、もやもやとしたドローンが続く。
暗くはないけれど明るくもない、表情の輪郭さえも失ったような音楽。
「Crater Drone」、さっきに比べると攻撃性・ノイズさを増した音が伸びていく。
「Volcanic Drone」、さらにノイジーな、ホワイトノイズ状の音が加わったドローンに。
不安を煽るような暗さが素晴らしい。だんだんノイズになるのはVCVのくせなのか。
どのトラックも非常に起伏に乏しいところが、いかにもグレインジャーのドローンらしい。
枯れ木の写真を使ったプラ製の二つ折ジャケが良く似合う。
それが黒い紙袋に入ったパッケージ。限定50。



Vhom
Borley Rectory

2008 Milieu Music  MML044

ブライアン・グレインジャーの数ある名義の一つ、Vhomの音源をまとめた2枚組みアルバム。
荒漠とした持続音の響きに不規則に鼓動のような音がこだまする。
無神経なドローンに、ぶちぶちしたホワイトノイズや微かなノイズのきらめきが響く。
短音にどんどん靄がかかっていって、輪郭が全く見えなくなる。
とにかく、出てくるトラック全てがハードなドローン。まるで実験音響です。
本名名義やMilieu名義の音楽とはかなり違う音世界。
7トラック目はぽこぽこしたラーガみたいなリズムがぼやけた中に聴こえてくる。
CDは替わってDisc2、いきなりのノイズドローン、びびるなぁもう。
その後も、Disc1とは傾向が違うノイズ系のじりじりした音。
6とか8曲目とかもう、普通にぐちゃぐちゃのハーシュノイズ。
ソフトプラケース、限定38部。相変わらず少数限定なんだからもー。



ヴィッキー・ジャックマン
静かなる頁
Vikki Jackman
Whispering Pages

Faraway Press  FP 14

ヴィッキー・ジャックマンの2ndアルバム。チョークのレーベル、ファラウェイ・プレスから。
ピアノが、薄く伸びるドローンの隙間を埋めるように聴こえてくる。
輝くような、簡素だが重いドローンの上に響くギターのきらめき。
ギターの音が加工されて、心地よい和音に包まれて切なく響く。
アンドリュー・チョークを思わせる構造ですが、彼のような厳しい侘び寂びの感覚よりは、
ふくよかな女性的輪郭で音楽が形作られています。
やはりこの界隈の人たちの音は素晴らしいとしかいえません。
ドローンとも言えない、けれどその感覚に近い快楽をもたらしてくれるアルバム。
1stよりも更に洗練された、独特の暖かい音風景。
厚紙で作られた、独特の紙ジャケとアートワークも幻想的な雰囲気に合ってる。
限定300部、うち250部のレッドカバーのもの。日本語版。



William Basinski + Richard Chartier
(Untitled)

2004 spekk  KK: 002

バシンスキーとリチャード・シャルティエのコラボ。
低音が微かに押し寄せ、そこから静かなドローンが浮かび上がる。
広い空間の中を音が空ろに響き渡り、鳥の声のような電子音が絞り出される。
夢見るような、輝かしい音が妖しくゆらめく。
非常に沈思的で美しい、翳りのある1時間。特に2曲目は儚いドローンで気に入りました。
やはりコラボ、普段のバシンスキー単独とはちょっと趣きが違います。
詳しい話は本人たちの言葉が見れるのでそちらを。



Willits + Sakamoto (Christopher Willits & Ryuichi Sakamoto)
Ocean Fire

2007 Overlap  RZCM-45672

坂本龍一とクリストファー・ウィリッツのコラボ・アルバム。
ギターの音を主なマテリアルとして、細やかなゆらぎがかかった、浮かぶようなアンビエント・ドローン。
海原、あるいは炎のゆらめきを見ている時のような、ちょっとセンチメンタルな感覚を見せてくれる。
変わらないようでいて、絶えず揺れ動く音楽たち。
劇的というか、音楽の中にきちんと物語性があるのが聴きやすさに加わっている。
極上のギター風味のアンビエントです。さすがは坂本龍一、音響よりの音楽になっても聴きやすい。



Yann Novak
In Residence

2008 Dragon's Eye Recordings  de5014

このレーベルのデザイナーでもある人間の作品。
細かく震えるような電子ドローンが暗く伸びる。淡いノイズがふりかかる。
茫洋とした風景の中で、空ろに空間を震わせて音が響き渡る。
あまり展開があるわけではないですが、ジャケットを併せて統一感・一貫性が出ていて良い感じ。
暗くぼやけたジャケのセンスも良い、良質なアブストラクト系ドローンアルバムです。
限定250部。



Yermo
Yermo

Last Visible Dog  LVD 004

重々しい金属のドローンが空ろに響き渡る。
それがやがて幾重にも重なり、混沌としていく最中にいきなりぶった切られ低いうねりだけになる。
それはやがて上の方に移動していき、大きな残響の中でゆっくりとうねっていく。
時間がたつと、徐々にその中で音が力を持ってきている。そして、また冒頭の金属音が蘇ってくる。
50分の大きなスパンの中で、サウンドが微妙に変化していく様がいいです。
前作のCDにボーナスで入っていた曲がこちらに正規収録、これも30分かけてじわじわ迫ってくるノイズ系ドローン。



Yoshi Wada
Lament for the Rise and Fall of the Elephantine Crocodile

2007 Em Records / Omega Point  EM1074CD / OP-0004

フルクサス、永久劇場、ハリー・パーチ、などから多大なる影響を受けて、
彼らとの共演なども多く行ってきたヨシ・ワダこと和田義正の代表作。
自らの声とバグパイプを改良した楽器のみを用いて、空の水泳プールのなかで行われる瞑想的な音楽。
トラック1は声のみ。地の底から響くような低いしわがれ声。それはゆっくりと浮かび上がり、
その倍音的な音の広がりに残響がかぶさって見事なまでに魅惑的な音響を作り出す。
トラック2のドローンは、元がバグパイプと言ってもほとんどハーディガーディか何かのような響き。
2台の、ワニを模した作りの楽器から分厚い雲のようなドローンが伸びる中から
いつしか倒錯的な声のうねりが遠く聴こえてくる。
うーん、実にすごい。これは確かに持っていて損はない実験的なドローン風瞑想作品です。



Yui Onodera
Rhizome

2007 Gears of Sand  GOS33

サウンドアートやアンビエントを得意とする小野寺唯の2007年作品。
儚く切ないドローンが、パステル画か薄い線画を描くように伸びていく。
そこに微かなクリック音に近いビートが絡んで、時間間隔をつなぎとめてくれる。
静寂の中、微かな音たちが、自分を覚ましてくれるかのようにひそやかに、けれどはっきりしたものを持って響く。
素晴らしいドローン作品。



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