その他
その他。ロックやジャズや民族音楽や、諸々。
Adebisi Shank
This Is the Third Album of a Band Called Adebisi Shank
2014 Sargent House SH122
ダブリン出身のスリーピースユニットの、名前の通りとしか言いようのないアルバム。
冒頭から単調ながらも強烈なビートに乗せた開始らしい開放的な音楽ががん鳴らし。
爽快テンポで程よく飛ばした後はビッグビートで強靭さをさらに倍増。
基本的には早いトラックと落ち着いたトラックを交互に。
ボコーダー使用の音声サンプリングの使い方から、印象は
極端にテンションの突き抜けたエレクトロか、マスロックの影響が強いレイヴ系サウンド。
とにかく鮮烈というか濃い音楽です。個人的にはトラック6から7にかけてがすごくお気に入り。
35分しか収録されていないのが何とも残念なこと。
聴いていて無理やりに体が揺さぶられているような有無を言わさぬ感覚は
その筋肉電球マンの頭がはじけ飛ぶジャケットですべてを表されています。このセンスはマジ秀逸。
Adolf Wolfli
Analysis of the Musical Cryptograms
Baudouin de Jaer,Vn.
Sub rosa SR312(CD+Book)
19-20世紀初頭スイスに生きた(生かされた?)アウトサイダーアートの代表格
アドルフ・ヴェルフリ(1864-1930)の作品は、不思議な魅力を併せ持ちます。
細部をよく観察していくとあまりにも稚拙なことがわかるのに、その全体図は奇妙なほどに興味弾かれるもの。
そしてたくさん書き込まれている楽譜。それも彼独自のちょっと不思議な書き方をした音符群。
この本についているCDは、その楽譜を実際に演奏してみたという、なんとも奇特なもの。
ヴァイオリンソロで再現されるその音楽は、確かに時代相応ではあるものの
とても真似できないような、民族音楽とクラシックの混合に稚拙さがアクを添えた
不思議なアクセントと言い回しがくせになるものばかり。
もちろん演奏者による編曲・解釈があるので完全ではありません
(そもそも条件もなしにいきなり6線譜で書いてある)が、それでも
オリジナルの音楽の魅力はこれ以上ないくらいよく伝わる。
というか、そのフィルターがないと、これだけ素直に聴けない気もしますが。
婦女暴行で罪を重ね、精神病院で半生を送りながら己の妄想世界にのみ生き、これらの作品群を
生み出した彼の異常な生き様は、その作品と並べてヘンリー・ダーガーと対をなす
アート・ブリュットの見本となっても差し支えないものだと思います。
ただ、この妙にくすんだ画は、本当になんとも表現しがたいものを感じますね…
Albert Mangelsdorff
Trilogue -Live at the Berlin Jazz Days
Albert Mangelsdorff,Tbn. Jaco Pastorius,b-g. Alphonse Mouzon,Ds.
1997 MPS POCJ-2517
ドイツのジャズ・トロンボニスト、アルベルト・マンゲルスドルフの、アル・ムザーン&ジャコ・パストリアスとのライヴ。
1976年の「ベルリン・ジャズ・デイズ」における、記念すべき演奏。一番有名な録音かな。
冒頭のソロ、重音奏法から聴かせます。この人は凄いや、こういう音がすんなり出せる人はそういない。
フリージャズの匂いが強いですが、あくまでももっとスタンダードなジャズの構成で進んでいます。
元来発散的なトロンボーンであっても、彼は極めて内向的。
丸く、輪郭をぼやかして、限られた機能の中で実に豊かなインプロが行われる。
難解ではないですが軽くも無いクールさが自分の趣味にうまく合いました。
Area
Event '76
Cramps CRSCD 007
「インターナショナル・ポピュラー・グループ」アレアのライヴ・インプロ音源。
ヴォーカルのデメトリオ・ストラトス追悼として発売されたものの再発。
これ以外の普通のアルバム、例えば「Crac!」とかの変拍子だけど普通のポップさが感じられる音楽を想像したら
30秒聴いて投げ出したくなるような、ど直球のインプロヴィゼーション。
いくつかのテーマが書かれたカードをメンバーが何枚か無作為に引き、それに従って90秒ずつ演奏を変えていく、というスタイル。
演奏者の提示する音楽は、それでも、彼ららしくどこかポップで激しく、グルーヴィー。
形式は完全なインプロですが、そこからの音楽はかなりキャッチーさを持って接することが出来ました。
録音はけっこう良くないですが、内容はかなりのものです。
Arthur Ganson
presents a few Machines created between 1978 and 2004
40 tooth(DVD)
キネティック・スカルプチャー作家Arthur Gansonが今までに作成してきた機械たちを紹介するDVD。
叉骨を使って奇妙な歩行をするもの、卵の殻が不規則に打ち鳴らされるもの、チェーンの塊がゆっくりうねっていくものなどなど
はっきり言って意味はないような作品ばかり。だけど、見ていてこの上なく惹きつけられる。
この歯車がさまざまに絡み合いながら、簡素になにかを形作っていくさまはどこか愛らしい。
というか、見てて笑えるものがとても多い。アーティチョークの花びらを使ったものとか、見てて吹き出しました。
また、これらの機械が発する音も楽しい。規則的に金属的な音を淡々とふりまいていくのが
ひたすら(BGMなしで)収録されているのは、この音までもが作品に含まれているのがよくわかる。
かたかたと針金の歯車が回る光景は、まるで男の子の持つ機械いじりの魂を揺さぶり起こすような快感をもたらしてくれる。
こういうのが一つ、部屋のオブジェにあったら面白いだろうなあ。
Arthur Russell
Calling Out of Context
2004 Audika AU-1001-2
初期はミニマル系チェリストとしても名を馳せたアーサー・ラッセルの1985-90年に録音された未発表作品集。
とにかく彼の音楽はふわふわしていてとりとめない。
彼の人生後半、その音楽性がディスコ音楽に直接関与した結果はお聴きの通り。
ぽこぽこした打ち込みドラム、ほわほわしたシンセやトロンボーン、耳につかないギターシンセ、
それらを取りまとめるのかさらに緩くしているのかわからないラッセルの歌声。
気の抜けた、けれど心地よい歌声がエフェクトも交えながらゆらゆらとふらつく。
一般的には「World of Echo」が名盤として名高いですが、個人的にはこちらの方が気に入ってます。
チープ具合はこちらの方が強めだけれど、5曲目とかのちょっとメロウな感じが大好き。
ちょっとアクの強い、けれどトリップ的な心地よさを感じることができる素晴らしい一枚。
Autopsia
Colonia(植民地)
2002 Staalplaat STCD 158
70年代後半にイギリスで結成、その後ユーゴスラビアやチェコで活動するユニット。
このCDは今までに出ていた音源からの、いわゆるベスト盤。
コンピューターのオーケストラ音源で奏でられる、なんともいえない音楽。
クラシカルではなく、かといってイージーリスニング的ではない。
パンクやインダストリアルといった音楽の影響が比較的強いようですが、
淡々と続く不可思議な音楽は奇妙なドラッギーさを備えています。
なんだろう、Laibach辺りと同じ匂いを感じます。活動的にも似たものがあるんでしょうか。
まあ音響とは別に、内容としてはStaalplaatから出ていることにも納得のもの。
Balkan -Mysterious voices of bulugaria
for the film Bunker Palace Hotel
Les Voix Bulgares de L'Ensemble Radio Sofia
1989 Virgin 2-91368
エンキ・ビラル(Enki Bilal)監督による、1989年製作のフランス映画「バンカー・パレス・ホテル」のための映画音楽。
フィリップ・エデル(Philippe Eidel)とアルノー・ドゥボ(Arnaud Devos)による作曲と、ちょっぴり民謡。
この映画、公開時はフランスの観客動員記録を塗り替えるほどの話題作だったようです。
音のほうも、1990年度フランス・セザール・アワード設定音響賞にノミネートされるほどですから、
音楽が映画に与えていた効果も(映画を見てないのでわかりませんが)なかなかのものだったのでしょう。
内容は、ブルガリアのミニマルな伝統歌唱を基にした、民族的な音楽。わかりやすい作りなのは、間違いなく映画音楽だから。
民謡のほうではメレディス・モンクみたいな女声の歌を存分に楽しめるけれど、
二人の作曲した部分はなかなかチープなコンピューター音楽になってます。これは評価が微妙だ。
曲によっては自分の趣味に合うのもあるけれど合わないものもある感じ。
歌唱メインの曲は民族音楽的だしなかなかいいんですが、シンセメインのトラックはちょっと・・・
ただ、映画の内容がアンドロイドを軸の一つにするSFファンタジーであることを考えると、また評価は変わってきます。
ちょっと映画を見てみたいなあ。この微妙な違和感も残る音楽が、アンドロイドの出てくる映画をどう色づけしてるんだろう。
ともかく、最終的な評価は映画が見れるまではおあずけ。
とりあえず、1、10、11、14曲目あたりが趣味に合った感じでしょうか。
Berlin Contemporary Jazz Orchestra
Live in Japan '96
1996 DIW/Disk Union DIW-922
ベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラのライヴ。
この団体、ベルリン市の協力で結成されているところが西欧的で、日本的な感覚離れしてますね。
日本ももうちょっとでいいから前衛に対して理解が浸透しないかなあ・・・
最初、エリック・ドルフィーのメドレーからして最高です。
この曲はこのバンドの性格を実に良く表した演奏ではないでしょうか。
譜面と即興の綺麗に入り混じった、素晴らしいコンテンポラリージャズ。
「モーロックス」のプリペアド・ピアノ主導によるごつごつしたミニマルノイズ音響は爽快。
勢いもあって、このCDの中では一番気に入っています。
高瀬アキの「詩情の哀」はなかなか聴きやすい前衛指向のジャズですが、それでも
中間の混沌具合は一筋縄ではいかない。
どの曲も即興だらけで鋭い音だけれど、決してフリージャズのような聴感上の難解さはなし。
BGM 1980-2000
2000 Muji M001~3
無印良品の初期店内BGMの集大成的な3CDセット。明らかに細野晴臣が聴きたかっただけ。
素晴らしいアンビエントを聞かせてくれます。1曲目、柔和で暖かい音が包み込んでくれる。
こんなたゆたうような癒し系音楽がBGMとか凄いよね。
2曲目はオルゴールなども加わり、素朴で愛らしい音になる。こういう素直な音楽は好きです。
新津彰夫の曲はシンセ系アンビエントの匂いをさせながら普通のゆるいBGMを書いてくれています。
モダンパストラルは、その名の通り牧歌的なサウンド。どこかチープだけどまあ聴ける。
Dr.Kプロジェクトの音楽も方向は似たようなもの。ただ思いっきりホームストア的方向のBGM音楽。
`島邦明もごく普通のムード音楽ですが、構造がちょっとそれまでと違って作りこみがかなりしっかりしている。
流石は「世にも奇妙な物語」のテーマ曲を作った人物、といったところでしょうか。
セラフィムはごくごく素直な民族調のBGM。ヴァイオリンののどかなメロディーが太鼓のリズムとマッチして良い感じ。
Byungki Hwang
The Best of Korean Gayageum Music
2007 ARC Music EUCD 2097
伽耶琴(カヤグム)はその名の通り伽耶国時代を発祥とする、韓国の代表的な民族楽器。
簡単に言えば琴のようなもので、12弦が基本だそうです。
ファン・ビョンギ(黄秉冀、1936-)はこの楽器の韓国を代表する大家であり、
この楽器の演奏を行うだけでなく作曲も精力的にこなし、教鞭や受賞の経歴も多くあります。
ここに収録された演奏では17弦のカヤグムが基本になっていて、
現代になるにつれ弦を増やしたくなるのは日本の琴と同じ感覚なんだなあと思いました。
彼はグローバルに活動していたのか前衛音楽も作っていて、一時期「聴いたら死ぬ」とか流言飛語の出るような
アヴァンギャルドなパフォーマンス作品なんかも作っていますが、
少なくともこのアルバムは落ち着いて伝統にのっとったスタンダードな音楽。
最初の「Darha Nopigom」を聴くだけでも、実に心躍る楽しいもの。
非常に簡素なメロディー構造と時折さしはさまれるJanggu(太鼓)のリズムのみから構成されているのですが、
はっきりとしたビートを絶えず根底から感じさせる音楽は日本の伝統的なものとはかなり毛色が違う。
やはり近くても文化ははっきりと違う特徴が出るものなんですねえ。
トラック13、Daegeum(笛の一種)によるソロ曲だけは前衛的な特殊奏法を思わせるものがあって、
作曲者の持つ音楽技術をうかがうことができました。
Captain Black
Light the Pipe
1998 Bake Records 002
Korm Plastcsのサブレーベルから出た、Frans de Waardによるリミックスアルバム。
原曲は全て、Zion TrainとDave RuffeyからなるPower Steppersというユニットの同名曲。
オリジナルは96年に出たコンピアルバム「All The World In An Egg」、で良いんでしょうか。
元のアーティストもダブからレゲエあたりの方面の方らしいですが、リミックスもダブの影響が全開です。
ミニマルなリズムがひたすら繰り返され、くすぶった響きの中でトライバルな空気が溜まる。
この大して構成の変わらないまま60分ずっとだらりと流れる暗いドラッギーさがたまりません。
超安値で買ったので期待してませんでしたが、かなり良かった。
ムスリムガーゼとか好きならこれも気に入るんじゃあないかな。
音の処理は彼と正反対だけれど。
Cellutron & the Invisible
Reflecting On The First Watch, We Uncover Treasure Buried For The Blind
creel pone #22
creel poneからの、ジャーマン・プログレ系らしい電子音楽ユニットのブート。
1曲目は電子音がぷよぷよ跳ね回る、スペーシーで躍動的な曲。
2曲目はギターの気だるげなソロにふよふよ電子音が纏わりつく。
3曲目は電子音、ガラスなどの具体音に声が絡む、実験的・前衛的な内容。
4曲目は1曲目と似た感じの、前半はより落ち着いたメロウな音楽。少しだけゲーム音楽チック。
後半はかなり自由な電子音のグリッサンドに。
んー、まあもともとプログレはそこまで、って人間なのでそんなに気に入りはしませんでした。
でもなかなか面白かったかな、聴きやすいし。4曲目とかはまた聴こうと思えた。
Charlie Alex March
Home/Hidden
2009 Lo Recordings LCD79
「イギリスの期待新人」、チャーリー・アレックス・マーチのアルバム。
すごくポップなエレクトロニカ、エレポップと言って差し支えない音楽。
宣伝文句にはいろいろと例えがありましたが、Aphex Twinみたいなメロディ性は納得。
「ライヒ」、まあ弦楽器が彼の近作みたいな感じもするけれど、これはそれよりずっとカントリー的なはず。
単純にテクノ的なループ/ミニマルさを持っているだけで、私としてはずっとエイフェックス・ツインに近いと思うし
ライヒやグラスのようなものは全く考えていないのではと感じます。
ただ、そのメロウではねるような音楽のノリをそのまま強調したかのような内容は、
デビット・ボウイが賞賛するだけある、たしかに楽しくて良い内容です。
うん、買って良かった。のんびり楽しく聴けるエレポップ的音楽。
choro azul
choro azul
2002 CV Recordings FRCD-006
日本人3人をメインに据えたユニットの1stアルバム。
1曲目、カリンバの軽快なリズムに乗せて渋い女声が歌を歌う。これだけでも十分いいですね。
それ以降もギターと、民族打楽器を中心にフォークな音楽が広がります。
ただし雰囲気はアフリカンだったりファンキーだったりボサノヴァだったり、いろいろ。
楽器編成の特徴から低音が無く、軽い音がして、気楽に聴けるのがとても良い。
あと、バラードでも歌えばマッチしそうなヴォーカルも素晴らしい。
ジミ・ヘンドリクスの編曲(Little Wing)もあったりします。
Congo Babembe::Bakongo::Balari
1999 Prophet 07 Philips 538718-2
コンゴ共和国南部の、首都ブラザヴィルにかなり近い地域、現地の民族音楽の録音。
テンション高いね、演奏もこういうものにしてはかなりしっかりとまとまっている。
特に1曲目のような、速いテンポでひたすらミニマルに畳み掛けられるとあっという間にトリップしてしまいます。
2曲目だけはnsambi kinzonzoloと呼ばれる撥弦楽器を用いたラメントの語りで、他の合奏とは違う感じ。これもまた良い。
だいたいは太鼓系がメインの伴奏だけれど、5曲目は楽器伴奏が金属打楽器と撥弦楽器。
そして、一番の見所・聴き所が最後7曲目。使っている楽器がやばい、ほぼ等身大の人の形をした吹奏楽器なのです。
地の底から湧き上がってくるような、とてつもなく低い音が響き渡る。凄いです。
ジャケットの写真などにこいつを抱えて演奏する様子が写されていますが・・・これはインパクトありすぎ。
思わず載せたくなったのでどうぞ↓
どうです、これ。う〜ん、生で体験してみたいものです。
録音は比較的古いものですが、十分に満足できる音質でした。演奏は言うに及ばず。
Cornelius
Point
2001 Polyster Trattoria Menu.241/PSCR-6000
やや不規則なビートの上で長く伸びていく独特のコーラス。絶妙な位置に配置されるギターや打楽器、効果音。
シングル「Drop」を聴いて(これは良いぞ!)といくつかアルバムを買ってみました。
この「ポイント」は上記の曲を含む、一般的にも個人的にもコーネリアスのベストだと思うアルバムです。
コーネリアスのアルバムはどれもアッタッカで一つの流れ・世界を確立しているので通して聴くのが断トツに面白い。
まあ裏を返せば単体で聴きにくいっていうことなんですが。
独特のリズム感覚と前衛性がミニマルさを伴ってインディーズ音楽を侵食する様。これがこのバンドの大きな魅力でしょう。
インプロまがいのおとなしい音楽からハードロックみたいなもの、9曲目はボーカロイドまで登場。その自在さが全て自家になっている。
現時点で最も気に入っている邦楽アーティスト。
Daniel Kobialka
Pathless Journey
Li-Sem DK 501
ダニエル・コビアルカ(1943-)は現代音楽も得意とするヴァイオリニストとしての活動がクラシックで有名ですが、
それ以外にも作曲家としていろいろと活動してたりしています。
ただ、作曲活動としての彼はクラシカルなものではなく、ニュー・エイジ的なものばかり。
というか、ヒーリング音楽界では大御所・代表格だというからびっくり。
このアルバムは、彼が長年師とあおいでいた武満徹を悼んでのもの。制作に8年をかけた大作です。
シンセによる淡く暖かい旋律がゆっくりと奏でられ、柔らかな風景がそっと描かれていく。
響きは明らかにニューエイジですが、その音楽的な構造の作り方はいろいろとクラシック由来の
ものと思しき場面が多く、そういった意味でも聴きごたえがあります。
ゆったりと流れていく、美しい風景。のんびりと聴いてゆったりとした気分に浸るだけ。
Dave Tarras
Yiddish-American Klezmer Music: 1925-1956
1992 Yazoo 7001
アメリカ・ユダヤ音楽の父と呼ばれるデイヴ・タラスの音源を集めたもの。
1897年にウクライナの小村で生まれ1921年にアメリカへ移民、そこで終生まで活躍することになります。
イェディッシュ・ジャズを本格的に行ない、自身もプレイヤーとして華々しい活動をしていました。
ここにおける録音はモノラル時代のLPノイズに満ちた音源。
インストや歌付き、ユダヤ色全開のものから行進曲風、スウィングジャズまでその内容は様々。
ですが、そのいわゆる「王道」のような内容は、彼が父と言われる所以が非常に納得いくもの。
クレズマー音楽といえばクラリネット、という図式は彼のクラリネットさばきによるものもきっと多分にあるでしょう。
それにしても、彼がクラリネットと同じくらいサックスに精通していたのに、サックスはバンドメンバーとしての活動がメインで
ソロ活動ではクラリネットがその大部分を占めていたという事実は非常に興味深いことです。
この古臭い音源から漂ってくる20世紀初頭の香りに当時の情勢を考えながら
時代に想いを寄せて聴くのも面白い聴き方です。
David Hudson
Rainbow Serpent
1994 celestial harmonies 13096-2
現代的なアプローチのディジュリドゥ演奏を行うデヴィッド・ハドソン。
彼によるディジュリドゥと打楽器のための音楽を集めたアルバム第2弾。
ディジュリドゥの低いうなりに乗せて、打楽器の落ち着いたリズムが入ってくる。
名前的にはアンサンブルを想像したんですが、基本的には
ディジュリドゥがメインでほかの音はまばらというか脇役なかんじ。
クールな輪郭で、リズムを落ち着いて聴き手に響かせてくる。
確かにコンテンポラリーな印象はありましたが、とっつき辛いイメージは全くなし。
どちらかというとアンビエント風味な感じでしょうか。
さりげなくSteve RoachやEckart Rahnがプロデューサー&解説担当。
David Hykes & The Harmonic Choir
Harmonic Meetings
1986 celestial harmonies 14013-2
倍音唱法で独特の世界をつくり、ヒーリング方面でも人気のあるデイヴィッド・ハイクスの2CD。
1曲目「Lines to a Great Load」。タンブーラのぎらぎらした、
それでいてあっさりとした響きに乗せて、Hykesが自由にホーミーを歌う。
2曲目「Harmonic Relation」。歌い手が二人に増え、さらにトリップ感増し増し。
三重唱の心地よい絡み合い、最後に一瞬の太鼓伴奏、「Foregather in the Name」。
どろどろと重く、でも美しく響く(比較的)大作の「Kyrie Fragments」。
重々しい歌唱の最後に太鼓と女声も入って救いの世界を開く「Halleluyah」。
そろそろ面倒なので割愛、まあとにかくホーミー的歌唱とドローンが伸びる神聖世界。
個人的にはタンブーラのある最初2曲とキリエ断章が気に入りました。
とくにこのあたりの曲は、デンプスターみたいなドローンが好きな人ならいけるはず。
宗教系な響きの瞑想音楽。
David Krakauer
Music From The Winery
Tzadik(Radical Jewish Culture) TZ 7196
1998年から毎週日曜日にトニック(NYの有名ライヴハウスのことか?)で行われていたライヴからの抜粋。
なのでデヴィッド・クラカウアーのクレジットではありますが、彼のクラリネットさばきが聴ける参加音源は半分足らずといったところ。
トラック1、軽快に即興を織りまぜながら展開するクラリネットが実にかっこいい。
ファンキーなビートを叩くドラムマシン、淡く入る声のサンプリングも実にいい。
少ない音だけで実に高揚できる音楽が出来ているからたまらない、ディスコ風クレズマー。
長い冒頭を過ぎてヴァイオリンとアコーディオンによる音楽が始まればトラック2もいい感じ。王道のクレズマー音楽。
トラック3、しばらくフリーな感じでしたが、その後現れるリズムはどこかタンゴ。まあその後さらに素晴らしく熱狂しますが。
その他トラック5のベースソロメインな曲、トラック7のタンゴなクレズマー(でも後半は普通に早くなる)
トラック8の70年代ロック、ユニゾンが次第に早くなっていくトラック10、フュージョンジャズなトラック13などなど盛りだくさん。
音源寄せ集めだけにさまざまなスタイルが多くて楽しかったです。
Dick El Demasiado
Al Perdido Ganado
Tomenota Records IBW 05 G06
ラテンアメリカのクンビアと呼ばれるリズムを元に作られた変態的な電子音楽のアルバム。
チープな音色とメロディーが聴いてて脱力感を誘います。短めの曲が次々現れては私をへなへなにしていきます。
ただ、体裁は相当ふざけていますが、作りこみ自体はなかなかしっかりしてます。
単なる脱力系ではないところが微妙に深い。微妙に。
ああ、俺なんでこんなの書いてるんだっけ、まあ良いじゃない、酒のもうよ酒。
Dominique Starck
Inner Movements
1993 claves CD 50-9216
スイスのギタリスト、ドミニク・スタルクによるアルバム。
アコースティックギターのソロによる、実に爽やかな音楽。ジャンル的にはイージーリスニングに相当するものでしょう。
ただ、ともすればチープで押し付けがましい癒し系の型にはめられたものではなく、
あくまでもスタルクの主観をさまざまな技法を利用して描き上げた素朴なものです。
チューリッヒのコンセルヴァトワールで作曲や民族音楽などを学んだという真面目な経歴がうなずける出来。
こういう音楽こそ、真のイージーリスニング音楽と言えるものでしょう。
さりげなくかかっているのが程よく心地よい、良い内容のアルバムでした。
さて、私の持ってるCDは日本語のライナーノーツが付属してますが、これを吉松隆が書いてます。
イージーリスニングについて語るのがいかにも彼らしくて面白かった。
Dots
10th Anniversary Box II -Dots plus Unreleased Material
2004 Rather Interesting RI 024 CL
ドイツのアンビエント〜チルアウト〜テクノ大御所Atom Heartの、レーベル10周年を記念する再発+ボーナス。
Dots名義で出ていた同名のアルバムと、その翌年の未発表音源で二枚組。
Disc1はIDM系を彷彿とさせるふわふわした音楽が存分に味わえる。
ダウナーな感じにさせてくれる、BGMにはちょうどいい感じの音楽。トラック7が好き。
Disc2、傾向は似ていますが、それまでよりもさらにとりとめなく淡い感じ。短いトラックがけっこう続きます。
限定900枚ナンバリング+サイン付き。ジャケデザインがクラシックの某レーベルのもろパクリ。
ちなみに、実は以前聴いたクラフトワークのラテンアレンジをしている
Senor CoconutのリーダーUwe Schmidtが同一人物でびっくり。これが本名なのね。
Douglas Quin
Antarctica
2002 Wild Sanctuary RFD-8004
Douglas Quinによる、フィールドレコーディング作品の超名盤。
コウテイペンギンの独特なダミ声の鳴き声が氷で割れる波間から聴こえてくる。
ウェッデルアザラシの、少々お間抜けでお下品な唸り声がそこかしこで響いてくる。
でもこれが水中の音波になるとサイン波みたいになるから面白い。まるでムーグとかのシンセのスペーシーな効果音。
下手な癒し系CDのような無意味な編集は一切なく、そのために本当に南極の光景が想起できる。
純粋に音響だけのミックス処理が行われているだけなので、内容も音響も素晴らしい。
フィールド作品としてでなく、実験音響作品としても十分に満足。
特に最後の、様々な動物が騒々しい水面下録音のトラックは必聴です。
The Ecstasy of Saint Theresa
Slowthinking
2002 Escape/EMI Czech Rep. 7243 5 38498 2 5
チェコのエレクトロニカ〜ポストロック系アーティストのアルバム。
非常に簡素なエレクトロニカ/ノイズサウンドに女性の歌が乗る。
ちょっとノイジーなエレクトロニカ風ポップビートの音楽。
初期はマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの作風に非常に近かったようですが、
この比較的最近のアルバムを聴くと、少なくともノイジーさはあまり感じられない。
でもエレクトロニカだからこそ、自分の好みに合っていた気がする。
特にトラック1、2は良かった。
Edgewater
We're not Robots...
2006 Forevergreen Records FG0604
テキサス州ダラス出身の五人組ユニットです。メロディアスなロック。
サビのメロディーがメランコリックで、結構変拍子な曲も多いです。
そこらが気に入ったので買い。一曲目とかは3拍子で面白かったです。
特に強烈な個性というものはありませんが、そもそもこういうジャンルで強い個性を求めるのは間違いでしょう。
気持ちよく聴けるならそれでよし。
エレニ・カラインドルー
トロイアの女たち
Eleni Karaindrou
Trojan Women
Antonis Antypas,Conductor etc.
2002 ECM New Series UCCE-2017
アントニス・アンティパス演出のエウリピデスの悲劇「トロイアの女たち」のための劇音楽。
ラウート、サントゥーリ、ダウーリなどの古楽器を使い、多くても3声部の簡素な音楽を奏でる。
けれど、その音楽がどれだけ心に浸み込んで残る事か。
戦争に巻き込まれ、平穏を恐怖に変えられた女性たちの怒りと嘆き。
明るい曲もありますが、基本は歌われる詩に沿った、どこかメランコリックで暗い響きです。
彼女の曲は初めて聴いたのですが、高い評価を得ていることが非常に納得できました。
映像が欲しくなる、あるいは広大な野外で聴きたくなる、素晴らしいCD。ECMの録音も+。
enitokwa
sl0wdive
Sonic Plate SONIC-016~17
水音から始まり、そこからゆったりとうねるドローン状のアンビエント。
だんだんディジュリドゥのドローンが入ってきたり、かすかなパルスと金属ドローンが絡んだり。
ふわふわ、ゆっくりと世界が移り変わっていく良質のアンビエント。
だんだんとリズムが出てきてくるので、意外と夢見心地感覚は味わえなかった。
Disc2の最初、スタジオサイドのほうはそれまでに比べると結構せわしない感じの場面が見れる。
これはこれでありかな。細かいリズムがせかせかと流れ、また一味変わったアンビエント。
Exodus Steel Orchestra
Happy Song
2002 JVC VICP-61964
トリニダード・トバゴといえばスティールパン発祥の地。
そこで活動し、世界を代表するスティールバンドのひとつ、エクソダス・スティールオーケストラ。
楽器ができて半世紀という比較的新しい歴史の中でも81年の発足は決して古くないですが、
その経歴は燦然たるもの。数々のコンテストで優勝をしています。
確かに、この録音を聴いていて凄いと思う。
数十人のメンバーが一糸乱れずに、ノリノリで叩いてくれている。
様々なスティールパンとドラムセットで聴けるこの豊かな響きは非常に洗練されたもの。
最後に収録されたブラームスの「大学祝典序曲」が不思議にマッチしている気がするのも、
このバンドのレベルの高さを裏付けるものでしょう。
響きもノリも非常に楽しめる、素晴らしい一枚。
そういえば、なぜ吹奏楽界では原曲の「ブラジルの水彩画」でなく単に「ブラジル」という名で浸透しているんだろう。
Eyeless in Gaza
Streets I Ran
1995 Ambivalent Scale Recordings A-SCALE 016
ロンドンのMartyn BatesとPeter Beckerからなるデュオユニット。
アコーディオンの寂しげな旋律に乗って、男性の澄んだ声が歌う。
ギターやベースの伴奏に乗って、声がふわふわと舞う。後半は伴奏もシンセ系の音ですが、
そのメランコリックな音楽性はなかなか面白い。実際ファンも多いようです。
日本語のファンサイトが出てきたときはさすがにびっくりしましたが。
それでもたしかに自分もこの作風は好きですね。陰鬱で簡素なロック。
Foday Musa Suso
The Two Worlds
2006 Orange Mountain Music 0053
ガンビア共和国出身のコラ(Kora、西アフリカの21弦ハープ・リュート)奏者、フォディ・ムサ・スソ。
フィリップ・グラスやビル・ラズウェルなんかとも共演してます。ハービー・ハンコックと共演した盤はとりわけ有名ですね。
コラの独奏による、リズミカルでどこか憂いを帯びた音楽。
トラックによっては自身の歌や、打ち込みと思しき簡素なドラミングも入る。
素朴でいてミニマルでありながら、よく洗練された民族的な音楽を聞くことが出来ます。
その音楽の響きからは、音楽のジャンルを超えて作られた自由な楽しさがある。
その開放的な面白さは、その共演歴を見ても明らかな多ジャンルの音楽活動によるものなのがよくわかる。
何しろ、記憶が確かなら自分が初めて彼の名を覚えたのは現代音楽関連のラジオだったはず。
クロノス・カルテットとも共演しているだけに、そちらの方も詳しいようですね。
民族音楽好きもそうだけれど、ミニマル音楽が好きな人間なら間違いなくはまる内容です。
まあそもそも、レーベル自体がグラス関連のものだしね・・・
Foster Manganyi na Tintsumi Ta Tilo
Ndzi Teke Riendzo no.1
Honest Jon's HJRCD108
オリジナルは2008年南アフリカでリリースされたカセット。
これや「Shangaan Electro」が大ヒットしたおかげで、こうして全世界での再発。
トラック1から、淡々としたリズムに乗せて、伝統的なアフリカの歌みたいなソロと合唱の応酬。
それぞれのパーツは民族音楽と安いテクノポップのそれそのものなのに、
それをそのまま合わせちゃってるもんだからすごく摩訶不思議な世界が出来上がっています。
けれど、そこがたまらなく面白くて病み付きになります。これ面白い。
こういうアップテンポ(まさにシャンガーン系統)なものがどちらかというとメインですが
何というかトロピカル的なほのぼの音楽もけっこうあります。
ただ、個人的な好みは間違いなくシャンガーンのほうだよなあ。
これは確かにヒットしてしかるべき楽しさです。
Francis Bebey
African Electronic Music 1975-1982
Born Bad Records BB039
カメルーン出身のシンガソングライター、フランシス・ベベイ。
フランスで活動しながら、自主レーベルであるOzilekaでリリースしていた音源などからセレクトされた作品集。
トラック1、ムビラの軽快なソロにブレイクビートや規則正しい民族楽器のリズムが入り、
70年代なロックシンセの音がアフリカンな音楽を奏でだす。
ボーカルも、70年代ロックのような装いが少しあるけれどそのミニマルな構成は
ルーツが完全にアフリカの土着音楽であることが疑いない。
トラック2もアーサー・ラッセルばりのディスコな音楽のはずなのに何かおかしいし
その後も音楽構成のどこかしらにアフリカンなものが紛れ込んでいるせいで耳にすごく残る。
なんというか、フォークトロニカのアフリカ版というか、
電子音楽を礎にした70年代ポップシーンとアフリカンスタイルが同居する強烈な音楽です。
一部マニアの間で人気を呼び、オリジナルLPが高値を付けているのも納得な内容。
The Fun Years
Life-sized Psychosis
2007 Barge Recordings brg002
バリトンギターを使うBen Rechtとターンテーブル使いのIsaac Sparksによるデビューアルバム。
ノイズやLP断片をループさせ、そこからバリトンギターのメランコリックなメロディループが響いてくる。
ディレイ音を伴いながら虚ろに響き、じわじわと盛り上がってはふと気がつくと収束している。
美しいけれど、安易に聴きやすくしているわけではない構成がとても好感が持てる。
音楽に紛れるノイズに美しさを感じることがわかる良いアルバム。
特にそのアンビエントなループを主軸とした構成はバシンスキを思わせます。
後年の作品はさらにそれっぽくなっているらしいので気になる。
Geoff Farina
Blobscape
2002 kimchee records kc015
ボストンの超有名バンド、Karateのフロントマンでもあったジェフ・ファリーナのソロアルバム。
エレキ・ギターによるソロ・インプロヴィゼーション。編集なし、即興そのまんま一発録りです。
とくにへんなところは無い、ごくごく普通、というか平凡に近い内容。
不協和音も多くなく、変な特殊奏法も見られません。
けれど、逆に言えば普通に聴けて楽しかった。良い息抜きになります。
1曲平均2分の曲を16曲収録。
George Lewis
Voyager
George E. Lewis,Trb. Roscoe Michell,Sp. & A. Sax.
1993 Disk Union / Avant AVAN 014
ジョージ・レウィス(1952-)による自作自演。
彼のトロンボーンとRoscoe Michellのサックスがインプロを行う。
そこにプログラムに従った電子音楽が同時進行で重なってくるみたいなんですが、
どうもあっているのかあっていないのかよく分からないちぐはぐさ。
それもそのはず、どうやらシステムを人間の演奏とは出きる限り独立したものにしたかったようです。
そのため、パフォーマーには大きくは制御できないようにしたみたいなのですが・・・
もちろん完全に違うことをやっているわけではないので流れが崩壊しているわけないのですが。
まあ演奏自体は普通のインプロ、ちょっとせわしない感じだけれど好きでもなし嫌いでもなし。
Gidon Kremer
Hommage a Piazzolla
1996 Nonesuch 7559-79407-2
ヴァイオリン奏者として活躍するギドン・クレメルがピアソラ。
翌年にはヨーヨー・マもピアソラを取り上げて、一気にブームが来ましたよね。
ピアソラ自身による演奏をまあまあ聴いてきた私には、まずこれはイージーリスニングに聞こえる。
なんというかマイルド過ぎて、あの自演のような迫ってくるようなものはない。
けれど、例えば自分の好きな「オブリビオン」などを聴いていると、これはこれで演奏者たちの目的は
ピアソラの音楽をクラシカルな響きで演奏して魅力をタンゴの外に押し出すことだったように思えます。
そういう意味では、後の動向を見れば成功だったのは言うまでもなし。
自分としては綺麗に聴けて可もなし不可もなし、といったところ。
さりげなくホイナツカのハープシコードが参加してたりする。
その曲が「ブエノスアイレス午前零時」とかいかにも。
あと、「ル・グラン・タンゴ」はグバイドゥリーナが編曲。たしかに他のアレンジとは一線を画す出来。
Gregor Samsa
27:36
Own Records OWN028
アメリカの5人組ポストロックバンド「グレゴル・ザムザ」、3曲いりEP。
バンド名の由来はまあ近代文学を常識程度に知ってる人なら分かるよね。
心地よいギタードローンに乗って、柔らかく暖かいメロディーが歌われる。
あくまでドローン的なドリーミーさが根底にあって、それが自分的にもたまらない。
こういう柔らかなポップ・ミュージックは非常に好みです。
メロディックな切なさも十分、普通の曲を聴く人間にも十分お薦めできる内容です。
とはいえ、構成が非常に娯楽音楽以外からの影響を持っていることは確か。
何しろ、普通のポップ&ロックなノリは中間部分の盛り上がりくらい。
曲の冒頭なんかは、ふつうのフォーク系やアンビエント音響と大差ないです。
前から気になってはいたけれど、買って本当に良かった。
にしてもCDタイトルのつけ方がこのサイトといい勝負。
Groove Rock compilation vol.1
on button down; 遠くへ
ハナレグミ&ナタリー・ワイズ; ナタリー
mount sugar; ぐうぜんと空間
カセット・コンロス; あわてないで
クラムボン; Re-雲ゆき
AMADORI; ガラス製電車
みなを; mon mon
veek; spangle call lilli line
clingon; バンカラ
ROCO; こわい夢
ASLN; ☆BURST
MERENGUE; ストロボ
2002 Discus co. DLCP-2001
グルーヴロックというジャンルは最近単語を知ったばかりなのでまだどういう音楽なのか全然わかりません。
もっともそれ以外も中途半端な知識なのは、ここ見た人ならわかると思うけれど。
ロックを元にしてジャズ、パンク、ブルースみたいな要素でデコレートした音楽、みたいな認識でいいのかな。
どの曲も癒される感じの、優しい(曲によってはあるいはどこか切ない)曲がさまざまなバンドによって演奏されます。
こういう感じの、ある種ムード音楽みたいな曲はけっこう好き。
特に作りがどうとか、そういった考えは持たないで素直に聴くと、こういう音楽のよさがわかる。
参加アーティストもクラムボンをはじめ、その筋では人気のある人が多いし、よくまとまった内容です。
素朴なジャケットも良い。
Hagans
Animation - Imagination
1999 Blue Note 7243 4 95198 2 4
54年生まれのジャズ・トランぺッターTim Hagansの名を有名にした一枚。
トランペットの淡くふわふわしたフリー演奏。
そこから次第に細かいビートが入りだし、いつの間にかドラムンベース風に。
エレクトロニクスと生演奏が激しく絡み合い、実に興奮できる世界が展開されます。
このトラック1を視聴した瞬間購入を速攻で決めました。
続くトラックもブレイクビーツ系の渋いテクノを底に置いた音楽で攻める。かっこいい。
似た系統だとニルス・ペッター・モルヴェルなんかもそうですが、
彼よりもクリスピーで直線的、そしてその分テンションが高い。
個人的にはこの方がノリノリな曲が多くて楽しめました。
モルヴェルもハイテンションな時はやばいくらいカッコいいんですが、
いかんせんあっちは頻度が少ないし、こっちはいろいろ聴ける。
トラック1、7、10、12の系統がやっぱり大好き。
Harold Budd / Brian Eno
The Pearl
1984 Editions EG EEGCD 37
ハロルド・ブッドとブライアン・イーノが組んだ、アンビエントの超名盤。
イーノの作る心地よい世界に、ブッドの美しいピアノが添えられる。
曲によって、リヴァーブのかけ具合など、慎重に変えて雰囲気が一辺倒にならないようにしているあたりにくい。
さらにどの曲も5分以内に抑え、長い曲に慣れない一般人にもさらっと聴けるように。
ああそうか、癒しとはこういうことなのか。
これを聴きながら本片手にまどろんでみましょう。微妙にスタイリッシュ(笑)になれますよ。
でも本当に音楽的内容は素晴らしい。
羽野昌二
本能的目覚め
羽野昌二ポリブレス・パーカッション・バンド
E・G・G Records E・G・G 89003
和太鼓二人と羽野のドラムを軸にサックスや能管が入ってくる5人編成のバンド。
1曲目、日本の太鼓囃子にジャズドラムが乱入してきた感じ。もっとも、単なる乱入とは違い見事に空間を一つにまとめています。
そこにジャジーなサックスがなだれ込んできてどんどんと盛り上がっていく。土俗的でクールな、けれど熱い音楽。
逆に2曲目はドラムのファンキーなリズムに和太鼓が入ってきているような曲。
聴いていて、ジャズなのか日本の伝統音楽なのか全然分からない新しい音楽がどのトラックでも展開されています。
むしろ、そんなカテゴリわけは意味がない。とりあえずテンション上げてノってこうよ、そんな気持ちになれる。
演奏者同士のアドリブでこういうそれまでに無い音楽を作れるのは凄いなあと思う。
素晴らしい内容だけれど、ピラミッドに雷みたいな、陳腐なジャケットだけは納得行かない。
Hans Joachim Irmler
Lifelike
2003 staubgold 44
Faustメンバーによる入魂の一作。
様々なノイズ・衝撃音が広い空間にじりじりと響き渡る。
優しげなドローンから輝かしくメランコリックなアンビエント調の混沌に。
曲によっていろいろとその姿を変える自在さは、彼の長いキャリアの集大成みたいに聴こえる。
アンビエントやジャーマンサイケを思わせるメロディもうっすら響かせながら
音像ははっきりとエクスペリメンタルなものに仕上げています。
なかなか面白かった。ただ、最初の実験音響バリバリからだんだん聴きやすくなっていく構成は、飽きてくると思う。
曲によって自分の好みは結構別れた。
Harold Budd
La Bella Vista
2003 Shout! Factory DK 30373
ハロルド・ブッドのピアノソロ演奏。やっぱり聴きたくなる時があります。
非常に美しく、メランコリックでゆるやかな音楽。ピアノで表現するアンビエントとはまさにこのようなもの。
深く沈んでいくような綺麗さが実に素晴らしい。
これを聴けばそこらのメロディアスな音楽が陳腐に聴こえる瞬間が味わえます。
こういう音楽がさり気なく流れていると、生活の中の音空間が実に綺麗に埋まりますね。
やはり生楽器系アンビエントならまずこの人。
Hauschka
The Prepared Piano
2005 karaoke kalk karaoke kalk cd 31
ピアノの弦にボルトやゴムなど、様々な物体を挟んで音を変えるプリペアドピアノの概念はおなじみジョン・ケージの発明。
ポップ・シーンには、80年代にFritz Schulz-Reichelが彼のラグタイム・ピアノに施したことがきっかけで使われるようになりました。
このホウシュカことVolker Bertelmann(フォルカー・ベルテルマン)というアーティストは、
この楽器の新たな可能性を探り、様々なポップ音楽への開拓を目指す人。
この1stアルバムでも、その手腕がいかんなく発揮されています。
素朴なリズムに乗せ、プリペアドされていない部分のメロディが美しく奏でられる。
ギターのような音を巧妙に出すテクニックは凄いと思う。まるでフォーク系ユニットの音楽。
ギター、リズム、さらにはシロフォンのような音まで全てピアノを使って表現してしまう。
そうして出てくる音楽はとても癒される、かわいらしい作品ばかり。
ノスタルジックに響く、素晴らしいアルバム。聴いてて、僅かだけの音以外は全てプリペアド・ピアノのみ、のはず。
現代音楽ファンも、プリペアドピアノの可能性を知るために持っていて損は無いです。
Hauschka
Ferndorf
130701/Fatcat CD1308
ハウシュカ、通算4枚目のアルバム。
チェロの美しいメロディー、ピアノのミニマルで流れるような伴奏。
数をこなしてきたからか、このアルバムでは完全にプリペアドピアノを自分のものにしています。
室内楽との絡みも全く違和感なく作り上げられている。
その結果出来上がった、この独特の温かい音楽は絶品です。
ちょっと最初の曲あたりはあんまりプリペアドしてなくて(なんだよ)って思ったけれど、
他の曲ではしっかり使ってますね。このリズミカルさをドラムなしで作れるのもこの楽器の魅力です。
音響的に幅があるという点でも、それまでのアルバム以上に勧めたい内容。
Heiner Goebbels & Alfred 23 Harth
Live a Victoriaville
Victo 04
ハイナー・ゲッベルスは現代音楽でも有名な御仁。Alfred 23 Harthもマルチ・プレーヤーとして活躍してます。
そんな二人の、フリージャズと現代音楽をカップリングしたような組み合わせによるライヴ演奏の音源。
音楽ベースとしてはそんなに前衛丸出しではなく、まだ普通に聞けるほう。
ただ、曲のいろんな所にフリージャズらしいソロのパッセージがあったり、現代音楽的な進行があったり。6曲目はかなりフリーです。
そしてゲッベルスおなじみの引用や肩透かしも満載。
最初3曲などはまだピアノとサックスのいかにもな編成でしたが、4曲目のシンセのチープなノリはヤバイ。
9曲目「Peking Opera」は彼らのバカなノリが一番楽しめますね。京劇の音源からいつのまにか生演奏に。
マウリツィオ・カーゲルばりの馬鹿馬鹿しい、音源との競演。爆笑ものです。
その後に、普通に良い曲の「At Last I Am Free」が来るあたり、盛り上げ方を分かってらっしゃる。
前衛的なパッセージやチープ/諧謔音楽に慣れていれば、すごく楽しめるアルバムです。
Himawari
mineral
2001 Rematter REM001CD
HimawariはNYで結成、現在は東京で活動するタケシとレナで構成された2人組ユニット。
1stのこのアルバム、エレクトロニカ〜エレポップ路線のボーカル曲が9曲。
まあトラック3は悪くなかった。あとトラック4とかはいろいろとPerfume的。
なんだろう、良いんだけれどまた聴きたくなる魅力が自分にはなかった・・・
歌声はまあビヨークみたいかな。歌の内容はかなり中田ヤスタカ風だが。
あれみたくビートがディスコなノリじゃない所が一番の違いかな。
ヒネモス
モリノダンス
compare notes CN 0013
東京を中心に、10人を超える大所帯からなるバンドで活動する団体の2007年作品。
その音楽の内容を簡単に表すならまさに「大人になった運動会の鼓笛隊」。
おもちゃの楽器、アコーディオン、リコーダー、ミュージカル・ソウなどなど、
様々な楽器をオリコンでリズミカルに跳ね回る自由な旋律たち。
人生も半ばを過ぎた人間が無邪気な少年時代を思い返す、そんな底抜けな音楽ばかりです。
まさにトイ・ポップな音楽。まだまだ自分は人生がある(つもりの)人間ですが、
それでもこれを聴くとタイムスリップした気分になってしまう。
既存の幅広い音楽記憶の片隅をくすぐられる、真に感情的な音楽。
ああそうだ、この文句も言っとかないと。
"栗コーダーカルテットとかが好きな方は是が非にでもお勧めします。"
The Hylozoists
La Fin du Monde
2006 Boompa Productions BPA013
「クラシカルでメランコリック」と書いてあったので(へぇ、どんなもんかな)と思って、買ってかけてみたらびっくり。
唖然とするくらい・・・普通の曲でした。確かにメランコリックではありますが、いかんせん編成や音の調子が普通のポップバンド。
ヴィブラフォンが終始目立ってる、っていう所が耳に心地よいですね。
でもどこがクラシック?アコースティック成分は確かに多いけれど。
イントロとか聴いてると普通に歌が始まりそう。でもこのCDはインストで成り立ってる曲が多いです。
個人的にはそこで大きく+でした。気軽に聞き流せるBGM用・・・って言ったら失礼かなあ。一応褒めているつもり。
IASOS
Angelic Music
Inter-Dimentional Music IDM 7001
いわゆるニューエイジというジャンルの先駆者的存在でもあるヤソス。
ここでは、非常に綺麗な、ニューエイジ・サウンドのドローン風音楽。
ふわりふわりと浮かんでは消えていく、癒し系の心地よい音の響きに身をゆだねる。
そうすれば、まさに絶好の天国気分。輝かしい光の世界です。
2曲目は生物的な(カエル?)声など環境音も絡み、さらに神々しさが増す。
ちょっとチープな音はご愛嬌。素晴らしい環境音楽。
ジャケットが微妙にチープで胡散臭いからって、遠慮はしなくて大丈夫!たぶん。
Icebreaker
Distant Early Warning
Aesthetics AST09CD
ポストモダンな活動を行う現代音楽系のアンサンブル
ではなく、ロンドン発の2人組ユニットによる1stアルバム。
北米にあるNATOの施設をインスパイア元にしているようです。
メランコリックなメロディーがアコースティックのドラムの上に鄙びてかぶさる。
ドラムの音色のためかあんまりエレクトロニカな印象はないし、
そのいかにもシンセな音色はむしろロックの外縁をなぞっている気もする。
けれど、全体的な音楽の指向は、やっぱりエレクトロニカやアンビエントの方面だと思う。
後半は具体音をマテリアルとした素材を効果的に使いながらドローン風味にも。
飯島晃
コンボ・ラキアスの音楽帖
1990 Puff up puff-102
フレッド・フリスらとの交流もあった(解説は彼が担当)、飯島晃(1957-97)の名盤、再発。
彼が演奏のために作った、メンバーの一定しないいろいろな編成になりうるアンサンブルのことを
コンボ・ラキアスと名付け、これはその活動の一部分を切り取ったようなもの。
素朴とも内省的ともいえるような微妙な感情の起伏を持った、美しく短い音楽。
その時々で少しずつ表情を変えて、ふわふわと旋律が過ぎていく。
篠田昌已のソプラノサックスを初めとした演奏陣のふわふわした感触がまた
このアルバムの輪郭を確固たるものに変えています。
アコギ、サックス、ヴァイオリン、ハーモニカなどの紡ぐ響きはちょっとカントリーなものも見せて、
けれど何にも似ないまま、気が付くともう過ぎ去ってしまっている。
何とも言えない、けれどなぜか心地よい音楽。
Im Jahrtal
Reprisen und Instrumentalstuecke
2009 Sloow Tapes Moon(Cassette)
80年代から活動を続けているアーティストのカセット作品。
シタールのような楽器が爪弾き、テープで歪んだオルガンドローンにやや不気味な民族楽器が鳴り響く。
ギターの心地よい伴奏に、カットアップ編集されたコードやバンジョー、エレキギターが入る。
ほのぼのとしているのだけれど、どこかおかしいフォーク系音楽。
B面はまだ素朴なんですが、A面は最後以外はちょっとアブナイ雰囲気が漂ってます。
限定70部。ちなみにこのレーベル、番号じゃなくて「Moon」とかの単語でカタログ分けしてます。
Isabelle Morelli
Les Mondes Paralleles
adami / Melodie 08599-2
なんか似た名前のハーピストがヒナステラの協奏曲とかやってたよなあ、
とかどうでもいい所感を持ちながら、結局それ繋がりで購入してみた。(あっちはMorettiだけれど)
フレンチボッサ系統のアルバムになるんでしょうか。
トラック1はタンゴ、それ以降はボサノバだったりラテンだったりブルースだったり。
そして基本バックはジャズバンド。ラテンなノリのビックバンドが強い印象。
ただ、そのお陰でポップ特有の軽い感じじゃなく、
フランスらしい洒脱さと気品が漂う味わい深いアルバムになっています。
ただ、この一枚をフレンチかラテンかと問われたら、俺は間違いなくラテンと答えると思う。
声、独特ではあるものの癖があるとまではいかない、ちょうどいい耳の残り具合。
これ、多分ラテンジャズが好きな人が聴いた方が楽しめるんじゃね?
Ivo Papasov
Dance of the Falcon
2008 Messechina Music 450004
ブルガリアンウェディングバンドの形式を作り上げ有名にしたクラリネット奏者イヴォ・パパゾフによるアルバム。
ブルガリア民謡独特の音階に、あの独特の変拍子が激しく絡みつく。
激しいリズムに彼のクラリネットの歌が延々と踊り、現代的な感性の中に民族音楽が編みこまれる。
その融合性を確認する意味でも、トラック3のピンク・パンサーのテーマをもとにしたアレンジは
この彼らのバンドの音楽性をとても確認しやすい1曲だと思う。一番ジャジーだし。
BBCのRadio3(クラシックやジャズなどを流す部門)における2005年のオーディエンス・アワードを受けているだけある
実に聴きごたえのある音楽が聴ける。やはりブルガリア出身なことも大きいでしょう。
オリジナルの舞踏音楽にジャズロックのような感覚を盛り込んだ、実にスムーズに聴ける一枚。
Jack Johnson
In Between Dreams
2009 Universal Music UICY 60069
腕の立つサーファーでもあったギタリスト、ジャック・ジョンソンの3rd。
いわゆるサーフ・ミュージックの中ではビッグ・ネームらしい。
バンド的な音楽ではあるけれど、あくまでギターの音が前面に出ている。
そして、グルーヴィーだけれど気楽なノリ。確かに海辺で聴くのがぴったりの音楽だ。
この楽天的な感覚は、彼がハワイ・オアフ島の出身である点も大きいでしょう。
ハワイアンであることのルーツが、彼の音楽にもしっかり現れていると思います。
ちなみに彼の出身である北海岸の大波はジオグラフィックの特集で見たことあります。
あれは凄いですね、あんなものが来るんじゃサーファー歓喜だ。
Jan Garbarek
Ragas and Sagas
1992 ECM 1442 511263-2
ノルウェー出身のジャズ・サックス奏者によるアルバム。
この方はなかなか個性的な活動をしている上、ECMリリースが多いというなかなか私好みな感じ。
が、このアルバム、作曲は4/5がサランジでゲスト出演してるUstad Nazim Ali Khanが担当。
ちょっと、ガルバレクの曲5分しかないじゃん!
そんなわけで、最初に聴くにはすごく不向きなアルバムでした。
まあどっちだろうが異国情緒たっぷりないい曲揃いで良かったんですけれどね。
インド、中国などの音楽をイメージできる音楽にサックスがさりげなく入り込む。
J. Hanson
Boolean Blues
2010 Digitalis Recordings ACE031
自作のモジュールシンセを用いポートランドを拠点に活動する人物。
正確にはDigitalisのサブレーベルArts & Crafts Editionsからのリリース。
パルスウェーブが伸びる中、じりじりと電子音が絡みつき、ふわふわと音が舞う。
基本的にはミニマルシンセとサイケプログレの世界。トラック5は+少しラーガ。
そっちが好きなら響きも良いし楽しいのだろうけれど、ちょっと趣味に合わなかった。
混然とせずに、簡素にきちんと響かせている。
ジム・オルーク
Jim O'rourke
Harfway to a Threeway
1999 P-Vine Records PCD-4256
いろんなジャンルの曲を集めまくり、自身も幅広い傾向の曲をリリースする音楽オタク、オルーク。
その中ではこれを一番良く聴きます。
他のものは長いものが多い上、一番気楽に聴ける内容だから、というところが大きいのでしょう。
「Happy Days」とかも好きだけれどいかんせん長すぎ。あとかなり音響よりですね。
ポップで落ち着いた4曲が入ったシングルですが、どの曲も心地よく聴けます。
アコースティックな音が目立ち、抑えられた音響が温かみを出してます。
2曲目が特にお気に入り。やっぱり自分はインストの曲がいいなあ、ヴォーカル入ってるのは1ランク下がる傾向がある・・・
Jinmo
Live at the Knitting Factory
Knitting Factory Works KFWCD 129
日本のギタリスト、Jinmoのソロ・ライヴの録音。
聴きやすい、柔らかい音によるふわふわした音楽。
中にはインプロなものもあるけれど、そこまで特異なものでもない。
普通に聴けてよかった。そこまでギター好きでもないから、何度もは聴かないと思うけれど。
あと、ライヴなのは良いんだけれど、音源が最後ぶつ切りになるのはちょっと・・・
J.J.Johnson
J.J.'s Broadway
2003 Verve V6-8530
ジャズ・トロンボニストの超大御所J.J.ジョンソンのアルバム。
メインの編成が彼のソロとトロンボーンアンサンブル、ドラムとベース。もちろんJ.J.アレンジ。
選曲としてはブロードウェイのナンバーを取り上げたもの、「私のお気に入り」とか入ってます。
やっぱりJ.J.のナンバーは変なくせが無くてすっと聴けますね。
自分はスイング物はあまり好まない傾向があるんですが、少なくとも彼の参加するスイングは趣味に合う。
凄い昔に別のアルバムを聴いて、今回久しぶりに彼のアルバムを買ったんですが、いろいろ集めたくなったこのごろ。
このアルバムを収録した63年よりだいたい前のものに名盤と言われているものが多いようですが、
それに関わらずいろいろ聴いておきたいなあ。
Jonathan Kane
February
2005 Tabe of the Elements TOE-CD-88
ラ・モンテ・ヤングやリース・チャタムと共演し、スワンズの創設メンバーであるドラマー、ジョナサン・ケイン。
彼自身のドラム、ベース、ギターによる(一部Igor Cubrilovic参加)ソロアルバム。
ノーウェイブ・ロックが、大きな変化なしにひたすらミニマルで突き進む。
聴いていてだんだんテンションが上がりながらも、思考が単純化してくる感覚が味わえます。
音楽嗜好は違うながらも(ああ、やっぱりヤングとも通じていたんだなあ)と納得できる出来。
そして、TOEからリリースされていることも納得。良いアルバムです。
5/13
Jordan Belson
5 Essential Films
Allures, Samadhi, Light, Fountain of Dreams, Epilogue
2007 Center for Visual Music(DVD)
実験映像作家でありアブストラクト・シネマの作り手としても有名な
ジョーダン・ベルソン(1926-)の代表作を集めたDVD。
初期の円形モチーフや幾何学的な万華鏡、それらに合わせた自作の電子音楽。
近作の星空のようなイメージや幾何学模様を超えた幻想的なシーンを、リストやラフマニノフに乗せて。
音は新作を除いて質がひどかったけれど、その内容にはとても満足。
この電子編集では出せない微妙な質感の変化が、こういった抽象的な光景にはたまらないです。
(特に初期のものに関して、)本来は仏教観念に基づいた宇宙的なイメージを想起しているようですが、
それを抜きにしても素晴らしく幻想的で美しい。
代表作の「サマディ」における、宇宙(外宇宙)から地球(内宇宙)への帰還を示唆するような
モチーフの移り変わりは、異常なまでのメッセージ性と抽象美に溢れています。
また、「エピローグ」でのラフマニノフに乗せた光景のなんと非現実的なことか!
これらの光景を創造する術を未だに全ては公表しない彼の秘守主義も、その作品の幻想性に拍車をかける。
一度は見ておくべき傑作です。
Juniper Meadows
Jacaranda Twilight
2006 Deserted Village dv21
Brad RoseとChris Skillernからなる2人組の民族系ユニットのアルバム。
バンジョーの心地よいソロでアルバムは始まり、
ムビラとアコーディオンが共演しているかのような怪しい二重奏などなど、
ほのぼのした音楽とちょっとあやしい音楽とがだいたい交互にやってくる。
ほのぼのだけでいいじゃないかよと思う反面、この怪しい感じがアングラらしくていい気もする。
最後の長尺トラックはそれまでの2つの雰囲気が混合されたような楽想で、
ああ多分こんな感じなのが彼らの中核になる音イメージなのかなあと想像してみたり。
Kadri Gopalnath
Wind Excellence
2008 Kosmic Music KMDA051
インド出身、音楽家の父親に幼少期から手ほどきを受けながらも
子供のころに見聞きしたサックスの音に惚れてマスターしてしまったという
なかなか面白い経歴のカドリ・ゴパルナスによるアルバム。
非常にシンプルだけれども強靭なドラミングに乗せて、サックスのフリーながらも
ものすごくアラビックでかっこいいソロが延々とラーガを熱っぽく唄う。
ゆっくりとヴァイオリンなんかも加わりながら、あくまで元来の伝統音楽そのものの
感覚を全く壊さないままアクの強い音ですんなりと入って音楽をドライヴしていく感覚が凄い。
あくまでもジャンルはワールドジャズなのですが、かなり限りなくインド音楽に近いのが良いです。
ぼーっと聴いていると、なんだかズルナか何かで演奏しているような錯覚まで覚える。
簡素ながらもこれだけストレートにビートが激しく聴けるアラビックジャズは稀有。
国内では知名度がかなり低そうなのが残念。
録音スペック皆無なんですが、なんとも微妙な状態を鑑みると80年代くらいでしょうか。
観世流謡曲名曲撰 1
鶴亀、吉野天人、紅葉狩
観世清和、ほか
2004 コロムビア COCJ-33045
資料として、また日本人としても聴いておかなきゃな、と購入。
やはりこういうものは能として観ないと、初心者では面白さは半減ですね。でも、収録された声だけでも十分理解は出来ます。
謡曲独特の歌いまわしは西洋に慣れた耳からするととても新鮮。
ヴィブラートとは異なる声の抑揚、音価と音高の変化における極端な変化の少なさ。
そこに音響の幅広いヴァリエーションを聴こうとすると、謡曲の意義は理解できなくなってしまいます。
普通の会話とは異なる言い回し、発声、音節の決定に耳を傾け、その韻のような効果に日常とは異なる芸術性を見つけるもの
・・・と、今のところ自分なりに考えてみました。合ってるのかかなり怪しいよこれ。
あと、個々人の歌いまわしの差によるヘテロフォニー(西村朗さん大好きですよねこれ)がトリップ感を誘います。
こういう音程のゆらぎが読経などによるトランス状態を引き起こしやすいんでしょうね。これもちょっと違うけれど魅力の一つ。
観世流は最も大きな流派。観阿弥世阿弥もここだし。いつか舞台を見てみたいものです。
Kingdoms of Elgaland-Vargaland
National Anthem No. 1
1996 Ash International ASH 3.3
The State of Elgaland-Vargaland(K.R.E.V.とも)と言う名前は、正確にはバンド名ではなく、
Leif ElggrenとCM Von Hausswolffという二名によって設立されたバーチャル国家のことを指します。
世界に数百人のアーティストがいるらしいこの団体が96年に出したCD。
もやもやしたディレイの中で、国家的な啓蒙音楽がひたすらミニマルループ。
トレモロのようにずれまくった無数のスネアに弦だか電子音だか判別不能な音が小気味良く入ってくる。
聴いててとても楽しいけれど、それが音楽のためなのかトリップ感によるものなのか、もはや判別不明。
ものすごいドラッギーなミニマル世界、ミニマル好きのみならず音響リスナーにも発見があるはず。
63分1曲、ちょっと微妙に大きい紙ジャケ。
久下惠生
Kugged
Bunblebee Records BBCDE-026~7
CD1はドラマー久下惠生のソロアルバム「KUGE」の曲をいろんなアーティストがリミックス、DJ klockがエディットしたもの。
Riow Araiはなかなかハードなビートのテクノ、moyunijumoはへなへな系カットアップ太鼓囃子。
久下昌三はノイジーな部分と間の多い部分が交互に現れる。後半の曲はもっとノイジーなボイスパーカッションの短い曲。
関島岳朗リコーダーらは自身の演奏と混ぜて不思議な和楽世界に。15分の長丁場。
テニスコーツはいつもののんびりした音楽にドラムを絡ませていてアンビエントな感じ。これも10分。
マヘルシャラルハシュバズは声の絡んだ混沌とした音楽。DJ klockによる3つの間奏も珠玉です。
CD2はテニスコーツと久下惠生のセッションが収録。その名も「Kuge'scoats」、まんまだ。
細かな激しいドラムとギターに不思議な声がほわほわ入ってくる。
さらにテニスコーツお得意のシンセオルガンとかも入ってきて、
ほのぼのなんだか激しいんだかよくわからないけれど楽しいという凄い空間が広がります。
Laraaji
Enlighten
Gaiam SKU 140-9133
Laraajiはコンピレーションなんかのよりこういった長尺の曲が収録されてるやつの方にいい曲が多いですね。
ツィターのゆったりした爪弾きが支配する「Concentration」はやや内省的な印象。
「Circulation」はあの名アルバム「Day of Radiance」に似た、アルペジオが印象的なのびのびした曲。
心地よい、アルペジオの長いリヴァーヴから作られる和音に声のドローンが加わっていきます。
三曲目の「Activation」はその名のとおり、伴奏がいきなりリズミカルに。
メロディーはツィター以外にJorge Alfanoによる尺八が入ってきます。ちょっとフォークなムードがふりかかってる感じ。
どれも気軽に聴ける曲たちで安心しました。まあララージだし。
Lard Free
III
Spalax Music 14224
Gilbert Artman(ジルベール・アルトマン)率いるプログレ団体の77年3rdアルバム。
アルトマンはフリージャズ系のアーティストですが、ここで展開されている音楽は
ジャーマンサイケとかクラウトロックの臭いぷんぷんで、フリージャズとはちょっと遠い。
心地よいリズムに乗せて、シンセ、ギターやサックスが自由に飛び回る「Spirale Malax」はとても楽しい。
「Synthetic Seasons」のほうはそれに比べると幾分実験的な要素がありますが、
ミニマル的な展開は全く変わってません。明るいか暗いかの違い。
うん、期待しないまま適当に買ったけれど良かった。
こうした後ラード・フリーは解散、アルトマンはアーバン・サックスへと進んでいくのです。
これ、2008年にCaptain Tripから他の全作品とまとめて紙ジャケ再発されていますが、
自分のこれはそれ以前(たぶん90年代前半)、Spalaxからの方の再発。
Larsen
Rever
2001/2 young god records YG19
イタリアのポストロック・バンド、そのデビューアルバム。
ロックでミニマルな音楽に、ちょっとづつ味付けをしていく。
時にノイジー、時にメランコリックな音楽がさらさらと流れていって心地よい。
声はあくまで味付け程度、あまり出てきません。
Current 93のDavid Tibetなんかが褒めてるみたいですが、なるほど納得。
Lietterschpich
I Cum Blood In The Think Tank !!!!!!!!
2007 Topheth Prophet/Heart & Crossbone TP010/HCB 013
2003年から活動をしているイスラエルのポストパンク〜インダストリアル/スラッジ系統の
アンダーグラウンドユニットによるアルバム。
ギターノイズから、ほとんど聞き取れないシャウトと強烈な重いリズム。
うむ、なかなかインパクトの強い冒頭で楽しいです。
その後はちょっと衝撃が薄い感じですが、ハーシュに近いノイズの響きとかは良い感じ。
ただ、似たような音楽が多すぎじゃないかな…正直、15分で飽きたことは否めない。
後半は生ドラムとか聴こえたり音響が新鮮に感じる瞬間もあるけれど、気休めか。
というか、たぶん真ん中の長尺が合わなかったんだろうな。トラック11とかのげちょげちょ加工は良し。
Liquid Metal Dreaming
What is Music Volume 1 - Liquid Metal Dreaming
2008 musicnow MNCD010
コーネリアス・カーデュー率いるスクラッチ・オーケストラの参加者であったLaurie Scott Bakerという作曲家と、
古楽器の復元などを手がけるRobert Evansによるデュオ作品。
普通のベースなどに加え、タンブーラ、フィドル、さらにはクルス(Crwth)という6弦の楽器まで使ったものですが、
音楽自体は非常に瞑想的。「アボリジニの瞑想」とか書いてある解説がしっくりくる。
弦楽器のハーモニクスによる夢見るようなドローンに、ベースの爪弾きとクロテイルやシンバルのきらめきが降り注ぐ。
ハーモニクスに支配された弦の唸りが静かに響き渡る。素朴な弦のメロディーが古楽器で味付けされる。
時に美しく、時に現代音楽のような暗さを持って、けれど素朴に歌いかけてくる音楽たち。
古楽とフォークロアとインプロが瞑想空間で組み合わさったような、そんなアルバムです。
Look De Bouk
L'acre hymne aerait Rome
IN POLY SONS / Novel Cell Poem IPS0201 / NCP-10006
代表的なフレンチ・アヴァン=ポップ・トリオ、ルク・ド・ブクの1stアルバム。
ハモンドオルガンのふわふわした和音、オルゴールのような音色のころころした可愛らしげな旋律。
軽やかだったりメランコリックだったり底抜けに明るかったりいろいろな楽想が目まぐるしい。
そんな展開の意味不明な所が実にダダイズムの流れを汲んだアヴァンポップらしい。
実験音響的なノイジーポップとか声のサンプル加工&ループ(Tout come Bach)とかよかったです。
でもってその直後にちょっといい感じにかっこいい音楽とかくるから侮れない。
ただ全体としては、聴いていて何だか全てがどうでもよく思えてくるくらいの脱力感が満載。
たまに現れる、どこかシニカルで裏に何かを含んだような微妙な深さが侮れません。
Mahmoud Fadl
The Drummers of the Nile in Town
2003 Piranha CD-PIR1791
ヌビア地方に生まれカイロの代表的なドラマーとなったマームード・ファドルの音源。
長くても5分ほどの短い録音が23収録されています。
タブラやコンガなどのドラムを使って自由に演奏を繰り広げるその音楽からは
自信に満ちたプリミティヴなビートがはっきりと響いてくる。
まさにミニマリスティックなその流れが好きです。
曲によってはさまざまなコラボ音源があって(トラック2、8など)、それらは聴いた感じも派手で楽しい。
たまに普通のスネアなどを使った曲もあって(トラック9、10など)新鮮。
いかにもなアラビア・エジプト臭。アラビックな民族ビートを聞きたい時に。
あ、でも最後のトラックはKushなる人物がテクノリミックスしたもの。いかにもな。
おかげで、いい悪いでなく、何と言うか、このアルバムの趣旨がうまくつかめない・・・
Mark Templeton
Standing on a Hummingbird
2007 Anticipate 001
ディレイやエコーがかかった世界の中で、エレキと生のギターが物憂げに爪弾く。
ぷつぷつとしたノイズに混じりながら、具体音やアコーディオンなどがふわりと聴こえてくる。
細かなカットアップを施しながらも、音の輪郭はなめらかになるよう努められている感じ。
4つ折ジャケットの抽象的なペインティングがいい味出してます。
ただ、もはやこの手のアンビエント作品は探せば沢山出てくるのが惜しいかな。
特にこれじゃないと、というほどの魅力は感じ取れませんでした。
Maroc -Hadra des Gnaoua d'Essaouira
1993 harmonia mundi / Ocora HM83 / C560006
こんな民族音楽の採録がharmonia mundiから出るんだね。そういった側面を全然知らなかった自分。
アルバムタイトルは英語で「Morocco - Hadra of the Gnawa of Essaouira」。
つまりは、このCDはモロッコのエッサウィラにおけるギナワの演奏を採録したもの。
黒人音楽をルーツとしながらも、それを現地の民族性と融合させながら現在の形になった、
今となってはモロッコの代表的な民族音楽。
このCDの録音地であるエッサウィラが発祥らしく、また中心地でもあるようです。
アフリカ音楽的なベースを持ちながらも北部アフリカ特有のベルベル人的な気質が強く絡んだ、
まあざっくばらんに言えばアフリカ×2+アラビア、みたいな音楽。
ちなみにここでアラビアとかの単語を出した理由は音階の使い方が独特だから。
なんというか、応唱を初めとして音楽の展開はかなりアフリカ寄りなのだけれど、
メロディがかなり構成的で、即興的かつ短めの応唱向きでないパッセージも目立つ。
あと、音階の定まった弦を用いる楽器が前面に出ることも多い。詳しくは聴いてないが音階自体も違うはず。
それにしても、このごった煮風味なのにナチュラルに感じる民族音楽は面白い。
モロッコと言う地理的・歴史的な背景がここまで多様な音楽を直接混合させるきっかけになったんですね。
とりあえずシンバル系統の金属打楽器がひたすらがちゃがちゃ鳴らされる時点で音響的には十分に騒々しい。
本来ギナワはそこまでど派手はものではないけれど、この騒々しさは十分に祭典的。
Masahiro Sugaya
The Bush of Ghosts
1994 SAI Inc. PAD-8012
現代音楽以外にドラマやダンスのための音楽を製作している菅谷昌弘(1959-)による、
舞台芸術活動を行うパパ・タラフマラの公演用に書かれた音楽。
ほのぼのした、気だるげだけれど軽快なリズムの電子オルガンにのせて、伝承歌のような歌。
それを受けてPCとシンセによる硬いリズムが跳ね、時に重苦しく、時に舞い上がっていく。
エレキギターがふわりと浮かび、エフェクトが鋭い輪郭を放つ。
単なるシンセ音楽では聴けない、鋭い音響が聴けたのでそれだけでも聴く価値はあったかな。
トラック6の抽象的な美しさが個人的には良かった。
これを聴いていて本当に思うことは、これを舞台の演出やダンスと一緒に観たいということ。
何しろ、音楽だけを聴いていると明らかに中核になるものが存在しないんです。
やっぱり、これは舞踏という芯に肉付けを行うものであり、そこに舞台が色付けと輪郭を作っていくべき物。
これだけで真価は測れないとは最初から思っていましたが、これほど「何か足りない」感じがするとは…
Matthew De Gennaro
Doings (Recorded Music)
2009 Epigonic Recordings #8
Matthew De Gennaroはミシガンの演奏家。サイケ系レーベルから作品も出したことがあるみたい。
Epigonic Recordingと言うレーベル、正体が全然分からないけれどDiscog見る限りじゃ
この人の作品オンリーなので、この人による自主レーベルの可能性が大。
1曲目、どこかクラシカルな暗さの漂う、ヴァイオリンによる前半とリードオルガンとバグパイプが遠くに伸びて聞こえる後半。
2曲目はバンジョーやギター・バグパイプの、ラーガともフォークともアイリッシュともハワイアンともつかぬ不思議空間。
3曲目はアコーディオンによる民族風コラール。憂いのある音楽で、個人的に大ハマリ。
これ以後の4曲は、ギターによるフォーク系の短いトラックがぽろぽろ。
8曲目はバロックなヴァイオリンソロ。9曲目は冒頭後半みたいな感じ、より遠い。
CDRにハンドメイドジャケ、いかにもな自主制作臭。録音もテープ、結構ノイズが入ってる。
まあこういう演奏だと、こういうノイズのあるほうが逆に風味があって悪くないけれど。
Melissa St. Pierre
Specimens
2008 Radium(Table of Elements) TOE-CD-814
プリペアドピアノの音がメインの、奇妙でちぐはぐな音楽の数々。
明るいのか暗いのか。嬉しげなのか怒っているのか、なんだか表情が重なりすぎて読み取れない感じ。
プリペアドピアノだけでドラムパートも全てこなしているところは結構斬新な響きで好き。
そこにミキシングされた音が絡んでくるから凄い凄い。土俗的などろどろ世界が広がってます。
ジョン・ケージの「トーテム・アンセスター」あたりのプリペアド・ピアノ作品を想像してくれればかなり近いのでは。
CDにはガムランやロックンロールの方向性にどうだの、ブードゥーのドラムと何だの書いてありますが、確かにそんな感じも。
そして、ジャケットの、やけに派手な色使いでちょっと気持ち悪い刺胞動物類のジャケットに聴いて納得。
たった16分ちょっとの収録ですがとても面白かったです。
.mov形式で8曲目のヴィデオクリップ付き。これが○チガイすぎる。
ジャケットみたいな生物的幾何学模様がうにょうにょごそごそ、せわしなく動き回る。
これだけで3分間は軽い洗脳体験になりますよ。ただここまで奇妙でグロテスクだと逆におもしろい。
Merlino
Temples of the Himalayan Masters
2008 Aquarius International Music AQ 12091
Merlinoなるニューエイジ系アーティストの2008年作。
いかにもな心地良いシンセドローン・アンビエントにきらきらときらめく音がふりかかる。
ピアノやシンセの気まぐれなメロディがふわふわと浮かび、聴き手を頑張って天上世界へといざなってくれます。
2曲目冒頭はシタールと歌がもろに入ってきます。「ヒマラヤ」とつくだけ?随分インディアな雰囲気が。
長尺の3曲目も冒頭は怪しげですが、その後はすぐに良い感じに。
意外と雰囲気はコロコロ変わる。まあでも基本はヒーリングサウンドなのでよし。
妖しげ・・・というか宗教的胡散臭さがぷんぷんではありますが、
十分癒し系ドローンとして聞けるからこういうニューエイジは好きです。
Mice Parade
Mokoondi
2001 bubble core bc-033
マイス・パレードはNights Wave EPを聴いて以来ずっと気に入っているアーティスト。
フォーク風味だけれど柔らかい、温かみのある音楽は聴いていて落ち着きます。
このアルバムでは疾走感ある曲も多いし楽しい。あと、一番ノスタルジックなメロディーが多いアルバムでは。
切ない感じの曲が好きな自分としては趣味に合ってうれしい限り。12曲目とか良いですね。
ヴィブラフォンの活躍は何時もどおり。ムビラ(かな?)を初めとする民族楽器が雰囲気づけに役立ってます。
アダム・ピアースの世界観は素晴らしいですね、多くの楽器を自分で演奏している点も含めて。
Mickey Hart / Taro Hart
Music to be Born by
RYKO Disc RCD 20112
グレイトフル・デッドなどのドラマーとして有名なミッキー・ハート。
彼の息子Taro Hartがまだ胎児だったころ、その心音を録音して音楽にしてしまった、というもの。
プリミティヴでリズミカル、だけれど怪しげなミニマルリズムに乗って、ギターがぽつぽつとつま弾かれる。
スルドやギターの虚ろな音が延々とループして、時折フルートが亡霊のように入ってくる。
70分ある大曲ですが、変化は非常に少ない。ていうか、ほとんどない。
異常なまでに瞑想的な音楽、でもそれがたまりませんね。
のっぺりした高揚感が味わえる、という意味では狂気のアルバム。
なんでも、彼はその後も息子の誕生日ごとにトラックを加えてプレゼントしているそうな。
うーん、それ全部聴いたらどんなことになるんでしょう。
Midwest Product
World Series of Love
2003 Ghostly International GI-16
テクノ寄りの三人組ポストロックバンド・・・なのかな?それともエレクトロニカ方面なんだろうか。
軽めの音だが鋭く、そして落ち着いたドラムが電子音のメロディーと絡みます。
声はあくまでもおまけ、いや、音の一要素として扱われていて個人的にうまく音が相関していると思いました。
ビートは結構はっきりした洋楽なんだけれど電子音メインなので、テクノ感覚でも大丈夫。
というかキャッチーなエレクトロニカといって差し支えない。ああ、エレポップって言えば良いのかな。
なかなか楽しめました。引き出すタイプの紙製特殊ジャケ。
Mother Mallard's Portable Masterpiece Co.
Like a Duck to Water
Cuneiform Records RUNE 147
1969年からDavid Bordenを中心に活動しているシンセサイザーのアンサンブルによるアルバム。
解説では随分とケージやカニングハムへの思いに紙幅を割いていますが、
たしかに現代音楽の流れを強く組んだ内容ではあるものの、むしろ非常にミニマリスティック。そして70年代の音。
トラック1、淡いシンセドローンに簡素なシンセの音型がミニマルに繰り返されながら変形していく。
トラック2ではミニマルな音型がちょっと古いロックやテクノみたいな展開に。ライヒ+クラフトワークみたいな感じか。
トラック3はなんかライリーを思わせるような神秘的な展開。
かと思えばその次はElodie Lauten風。短い音型が爽快にどんどんと重ねられていきます。
トラック5「C-A-G-E Part II」は20分かかる意味でもこのアルバムのメイン。
メランコリックな旋律がひたすらゆっくりとループ展開していくこのトリッピーさがたまりません。
トラック6、ちょっと明るい感じの表情が(比較的)コロコロ変わる音楽。
最後はやたら普通の、劇伴みたいなライトな短いナンバーでおしまい。
ちなみにこのトラック、ゲームのEDかよと突っ込みたくなるくらい底抜けに通俗的で明るい。
聴感上はライヒやグラスの指向が強いミニマルミュージックでした。音はチープだけれど内容は良い。
Movietone
Movietone
Planet punk 010 cd
ブリストル出身のサイケ〜ポストロック系のバンドの1st。
ギター2本+ベース+ドラム+つぶやき系の女性ボーカル。
たまたま見た売り文句は「アコースティック・バンド」とのことでしたが、
ギターは1本がアコギっぽい音を出してるだけで、実際は半分以上の曲でどちらもエレキ。
でも音楽は普通に面白かったです。ちょっとメロウな感じで美しさがある。
ちょっとノイジーな展開が乱入するトラックもあるけれど、基本ソフトなロック。
元はいいんだけれどその周囲が騒がしい感じのアーティストなのかなと邪推な妄想をしてみたり。
なにせ、中身は悪くなかったけれどレビューなんかと全然印象が違ったので。
音響系にしても、こんな中途半端なのはちょっと・・・
村上ユカ
はなうたち。
1999 Think Sync Records TSCA-009
1997年から活動しているシンガーのミニアルバム。
「待ちぼうけ」、ぴこぴこせわしない、けれど楽しいテクノポップ。ふわりと崩した歌い方も気に入った。
「安里屋ユンタ」「お嫁においで」もテクノポップ調。こちらはのんびりした正統派ポップ。
「砂山」もテクノポップなんですが、もうちょっとグリッチーな感触に。
「小さな空」はシンセストリングスなどを伴奏にしたアレンジ。まあ武満作品だし。
「プリオシン海岸」、アカペラやパソコン編集を使った、幻想的で非常に美しい音楽。
細野晴臣と関係が深いだけあって、最後にこれをもってくるのは正解。
のびのびした柔らかい声は確かに心地いいです。
声にあった、ぽこぽこしたアレンジも楽しくて良い。
流石は自分で編曲・ジャケットデザインを手がけただけある。自分の特徴をよく捉えてます。
MV & EE with the Bummer Road
Green Blues
2006 Ecstatic Peace E#109
MV & EEはサイケ・ロックの大御所ですが、このアルバムはサイケ色は強くない。
また、ラーガのような雰囲気も和らぎ、今回はフリーフォークな感触がメインです。
ぎらぎらしたサイケ感はエレキギターくらいかな。
けっこう普通に聴けるのでよかった。彼らの本領かと言われると悩むが。
ふりかけ程度のサイケ風味もこれはこれでいいけれど・・・まあ俺はこっちの方が聴きやすいけれどさ。
妙花 -能楽囃子 静と動の世界
寺井久八郎/一噌幸政、笛 敷村鉄雄、小鼓 亀井忠雄、大鼓 小寺佐七、太鼓
1989 DENON CF-3506
能楽における、観世流の伴奏器楽を収録したもの。
この伴奏は打楽器三種と笛が一本という、まさに和製の四重奏。
こうして聴くと、西洋の四重奏とは全く異なった構造を持っていることがよくわかる。
拍子と間で造られていく骨組みに、歌いまわしの変化を基本とする掛け声や笛の旋律要素。
変奏とはまた違う展開が、劇としての舞の盛り上がりを示してくれる。
「乱序」の緊張感ある掛け声と笛の音は鳥肌もの。
そこらのぬるい前衛音楽なんかすっ飛ばせるほどの力を持った、獅子の舞です。
これを聴けば、掛け声が本来観客や演者への脳の内容に対する甘えを拒む効果を持っていることが実感できる。
1回聴くだけでも、日本の伝統的な音楽の観念がよく分かる。録音もいい。
Namaste Band
Himalayan Feelings Vol-2
2005 Sac Music SMI CD 1022
ネパールの、いわゆるニューミュージックの代表的存在の一つ、ナマステ・バンド。
シンセによるチープな密教的持続音を背景に、即興的な学区。
やがてタブラが入ってきて、のどやかなメロディーが流れ出す。陽気でリズミカルな音楽集。
なんというか、インドのリズムと音階にチベット仏教の観念の下で旋律が歌う、
ネパールという地の歴史に元づく宗教観・世界観が垣間見える音楽。
それがニューミュージック特有のヒーリング的なチープさの中で響く。
ネパール現地盤。印刷の精度やら紙質やらが、下手したら曲以上にエキゾチックな思いを感じられる出来。
まあそんなこと言い出したら録音自体も微妙にくぐもったローカルさを出してるんですけどね。
Nils Petter Molvaer
Solid Ether
2000 ECM 1722
ノルウェーを代表するジャズ・ペッター、ニルス・ペッター・モルヴェルのアルバムを今更購入。
高校のときにラジオで1曲だけ聴き、(こりゃやべえ!)と思いながらも、何で今まで5年以上放置していたんだろう。
トラック1とか特に最高ですね。暗く熱いドラムンベース・ビートに乗せてモルヴェルが朗々と寂れたソロを歌う。
激しいブレイクビーツサウンドに乗せて繰り広げられる、熱くもクールな音楽たち。
そんな中に中休みとしてSidsel Endresenが歌うバラードな曲もあったりして、アルバムとしての流れも秀逸。
要素としては非常にテクノ的なのに、全体を統括してみるとやっぱりジャズであるところが非常に巧いです。
Eivind Aarsetのギターを初めとする他メンバーも欲しいところを上手くリードしてくれていて実に良い。
おそらく彼のアルバムの中でもかなり上位にくるものではないでしょうか。
Olthuis & van Veenendaal
Stripes & Spikes & Strikes
try tone TT 559031
オランダで活躍する、サックスEsmee OlthuisとピアノAlbert van Veenendaalによるインプロ系のジャズ・デュオ。
冒頭はサックスの旋律的ながらもかなりきついフリー演奏ですが、
その後は様々な展開が待ち受ける。ピアノと絡むリズミックでかっこいい音楽が現れたりと
フリージャズになじみがない人間にも割と耳あたりが良い内容。
ただ、即興を軸にしている演奏らしい展開の急展開は確実にある。
とはいえ、フリー演奏が入った普通のモダンジャズ、という印象が強いか。
フリージャズ好きには唾吐ものであろう反面、自分には予想だにしないヒット。
わりと曲ごとで方向を変えていますが、トラック4の流麗なピアノにサックスの
フリー演奏と旋律的な掛け合いが交互に加わるあたりとかこのバンドの色をよく現している。
あとトラック8、10はノイジーさが程よく緊張感に融合されてて超クール。
たまにトラック6や16みたく普通にジャズしてる曲があってずるい。
Otaru〜nami
2007 Otaru Records ORMH-4031
この前友人がいきなり私の部屋を訪ね、「小樽にいってきたお土産」と差し出してきたもの。
なんであいつこんなものを・・・と思ったら「坂本龍一トリビュートアルバムにも参加〜云々〜
〜「UNpro by hideki」が監修」とあって納得。ああ、坂本ファンでしたっけ。(それ以外にも理由はあるそうですが)
内容のほうは、いたって普通の環境音楽。波の音に、いろいろな小樽の音が重ねられる。
汽笛や鳴き声など、それらをもとに浜辺をそぞろ歩く自分を想像してみましょう。
残念なのは、やはり生音のままではないこと。間違いなくかなりの手が加えられています。
まあ頑張ってフィールド音響作品と考えればいいのだけれど。どちらかというとイージーリスニングの方になるかなあ。
トラックタイトルは寿司の絵だったりトラック全部の長さが7'03"(ナミ)だったりと、
ネタでも一般ウケはするしこれで良いんじゃないですかねえ。
あと一言、「オタルレコーズ」って名前はちょっと微妙・・・
Pedal
Pedal
2008 staubgold 83
Chris AbrahamsとSimon James Phillips、2人によるピアノデュオ・アルバム。
前者の方はThe Necksというフリージャズ系のバンドメンバーとしてけっこう音源がありますが、
後者は参加してる録音がこれくらいしかない上、公式サイトはあるものの情報は少ない状態。
曲の方は・・・現代音楽のような妖しげな1曲目、ぱらぱらと淡い散音が広がる3曲目。
様々な音程間の不安定なトリルから始まり、美しく切なげに広がる長尺の2曲目は素晴らしい。
4曲目は3曲目を低音メインに激しくした感じ。いくぶん簡素にしてまどろむような5曲目。
3-4曲目と一緒だがいくぶん不安げな6曲目、ぽつぽつと広がる非常に美しいラスト、7曲目。
ピアノの音の美しさが素朴に感じられるアルバムです。淡いピアノで癒されたい方におすすめ。
Percussion Session Lesson.1
Naoya numa,Drums Kosuke Tsuji,Perc. Daysuke Takaoka,Tuba
basis records bss005
確かビレッジ何ちゃらで見かけて(おっ)って思ったのがきっかけだった・・・はず。こいつはかなりの当たりでした。
50分間叩く叩く。ひたすらドラムセッションのソロが続いている勢い。
中にはチューバをゲストにして、どっしりとしながらも勢いを失わない長尺トラックが展開されたり。
どこを取ってもポップなリズムが満載で楽しめました。こういうポップは聴けるのになあ。
あとドラムセットにはシンバルが一切無いところも凄い。
少ないセットであるにも関わらず、それが全く気にもかけない曲展開が進んでいきます。
辻コースケさんの打楽器テクニックは素晴らしいですね。他のソロ作品もカッコイイ。
Polaris
Polaris
2001 Famillysong MTCA-5001
ポラリスの記念すべき最初のCD。
邦楽シーンのアーティストですが、意外と電子音好きとしても聴けた感じ。あと自分のお気に入りではMice Paradeとかも。
1曲目はかなり電子音楽。アンビエント・エレクトロニカって言うのが一番近いかなあ。
Mille Plateauxから出ていてもおかしくなさそうな心地よさ。ギターと電子音の爪弾きと下降音階が印象的。
後半は電子音がだんだん歪んで、悶えながら消え行く。
2曲目は右のギターエフェクトが印象的な(これ何て言ったっけ、リヴァーブで良いの?ビブラートかけるやつ)アコースティックな曲。
メロウだけれど、独特のエコーがかった音響具合がどこか電子音楽的で良い感じ。
3曲目、涼しげなギターに導かれて落ち着いたビートが紡がれていく。この曲が個人的には一番好きです。
ふわふわと浮かぶヴォーカルやギターがとても気持ち良い。ジャンルは違うけれど、Chas Smithのギターを聴いている感覚に似てる。
4曲目は幾分ビートの重い、ちょっぴりだけファンクなリズム。でも声の浮遊感は変わらず。
ミニアルバムとはいえ、1曲1曲も長めだし、存分に楽しめました。
Popol Vuh
Affenstunde
1992 Tempel 14025
1971年に発表された、ポポル・ヴー最初のアルバム。
電子音がふわふわと変調し、あたりを自由に飛び回る。
やがて次第に民族打楽器があらわれ、エスニックでプリミティヴなリズムを作って行く。
ムーグ・シンセと打楽器によるこれらの音楽は、当時のドイツ音楽シーンでは大きな新鮮さがありました。
ちょっと古い録音からもその時代の音楽であることがわかる、今となってはどちらかと言えば古典的な響き。
けれど、独特の浮遊感は聴いていて心地よい。
The Prom
Under the Same Stars
Barsuk Records bark25
使われている楽器を見てみましょう。ヴォーカル、ドラム、ピアノ、トランペット、フルート、ヴァイオリン、チェロ、オルガン、その他。
ギターが基本的に存在せず、ピアノが大きな存在感を示している辺りが音の響きとしても非常に個性的。
おかげで、楽曲のメランコリックさ、あるいはノーブルな面が前面に出されます。管弦楽器があるトラックとかも聴きどころ。
ライブハウスでなく、バーの雰囲気が似合うような曲たち。1曲目、ヴォーカルなしのトラックはまるで映画音楽か何か。
今までにない感覚のポップさでとても良いです。
こういう響きは聴いたことがあってもメジャーではないので、それをメインに持ってくるところが良い。
厚紙の、独特の温かみを持った素朴なジャケも気に入りました。表はピアノの絵、やっぱりね。
6トラック目は自動音声のサンプリングあり。
・・・ん、ちょっと待て、今「さいたま新都心」って言ったぞ、ああー今度は「けやき広場」とか聞こえるよおい。
思いっきり知ってる場所で吹きました。懐かしいなあ。しかしなぜさいたま新都心・・・
まあこのトラックだけエンジニアに日本人が参加してますけどねえ。予想だにしてなくてびっくり。
Quintessence Saxophone Quintet
Best of 10 Years Live
2003 cpo 999 990-2
ベートーヴェンやバッハを初めとするクラシックをメンバーのLettermanが編曲したもの。
いろいろイージーリスニング風味にアレンジされているものが多く、そのため演奏はともかくそんなに気に入ってはいないのです。
じゃあなぜこれを昔買ってからよく聴いているか、それはチック・コリアの「La Fiesta」が凄いから。
これはかなりオリジナルそのままの編曲である上、演奏も速いテンポでノリノリ。
何回も聴きたくなる素晴らしいもの。演奏レベルはこの曲に限らず素晴らしいのですが、これは編曲が良かったです。
これだけでもこのCD買った甲斐がありました。
ジャズ曲はこれしか収録されてませんが、この人たちのジャズアルバムを聴いてみたいものだ・・・
どうでも良いけどcpoってこういうのも出してるんだ。現代音楽のイメージが強すぎる。
Ravi Padmanabha - Daniel Carter
Nivesana
なし
サックス、トランペット、フルートを自在に操るDaniel Carterとドラムやタブラを叩くRavi Padmanabhaのデュオ、プライベートリリース。
ジャンルとしてはフリージャズでいいのでは。
4曲目、「Takadhinna Ta Ka」という掛け声がミニマルに繰り返される中
サックスとドラムの即興演奏が長々と乱舞する様はなかなかドラッギーで楽しいです。
特に変哲の無い即興演奏系アルバムですが、上記のような民族音楽感なんかが楽しく聞けました。
The Residents
Petting Zoo
Bomba Records BOM 9501
レジデンツが結成30周年を期に、今までのアルバムからセレクトしたコンピアルバム。
チープな電子サウンドのイメージに包まれた、ソフトなパンクというか
サイケロックというかニューウェイヴ・プログレみたいな、そんな音楽。
この「インテリ(by解説)」というかストレンジな音楽、ああ確かに先鋭的だなあと思う。
何しろこういった音楽を1970年代から作っているんだから。
自分の好みとしては、まあ楽しいんじゃない、といったくらいですが聴く価値は確かにあった。
この目玉おやじ軍団を知るには丁度いい内容でした。
Resonance
Organic Dance Didjeridu
1999 なし
Jeremy Cloake(ジェレミー・クローク)をメインとした、ユニットの1st、自主制作盤。
バスドラム、トーキングドラム、シェイカーといった楽器の小気味いいリズムに乗せてディジュリドゥーが踊る。
決して派手ではないけれど、チープな電子音みたいなのが入らない分構成に好感が持てる。
それによってプリミティヴな音楽世界が自然のまま聴くことができる。
クロークのディジュリドゥーは、アボリジニと交流を持っただけあって実に手馴れたもの。
独特のドローン音が十二分に活躍する、民族的な祝祭気分に浸れるアルバム。
Richard Crandell
Spring Steel
Richard Crandell,mbira Cyro Baptista,Percussion
2007 Tzadik TZ 8041
ニューヨーク出身。若い頃は社会学と共にジャズギターやピアノを学び、コーヒーハウスで実験音楽を演奏しながら
Thomas Mapfumoのバンドについていろいろ旅をしたそうです。
ムビラ奏者であるNgoni Makombeと出会ったことがきっかけでムビラを学び始め、今に至ります。
解説が短かかったので、なんとなく訳そうと思ったものはテキトーに翻訳。
「Inner Circle」。「2小節からなるフレーズの繰り返しによる即興演奏。ドリア旋法。このトラックはCyro Baptistaが
どれほど信じられないパーカッショニストであるかを見せてくれる。私はCyroと演奏することが本当に好きであるし、
このブラジリアン・マスターと活動することの更なる可能性を楽しみにしている。」
ムビラの哀愁漂う柔らかいメロディに、太鼓やマラカスといった民族楽器が自由に、爽やかに広がっていく。
「Etude in E」、「C.P.E.バッハを思わせる短いエチュード。」ムビラソロ。
「Zen Dagger」、ムビラとマラカスによる心地よいリズムの音楽。
「Japanese Lullaby」、日本の5音音階を使った穏やかな曲。日本的なんだけれど、(カーゲルのエキゾチカ的な)異国風。
「Spring Steel」。「この題名は、Thomas MapfumoとBlacks Unlimitedが私にくれた楽器の先端部分から思い起こしたものである。
彼らは38footのモーターバイクで5万マイルもアメリカ本土を旅して楽器を私にくれた。
この曲は本来、Jackie Robinson以来のお気に入り野球選手にちなんで”Ichiro 51”という名前がつけられていた。」
意外とミーハーだなこの御仁。小気味よい、スネアとの短い共演。これも日本音階を使っています。
「Beckoning」、打楽器がさまざまな音を出す、何か具体的な情景を連想させるような音楽。
「Seven」、クラッピングも入る、一番ノリが民族音楽な曲。でも短い。
「The River」。「ライヴのとある1テイクで演奏された反復音形を基にした即興演奏。この川は長い。」
メランコリックな美しいループが続く、最後に相応しい逸品。
ムビラ(親指ピアノ)の澄んだ音色が高音質で聴ける、極上のアルバム。ミニマル好きも是非に。
Richard Youngs
May
2002 Jagjaguwar JAG 43
ギターの簡素なメロディーとユニゾンに、ヤングのハスキーな歌声が響く。
短いコード進行の繰り返しに歌がぽつぽつと絡む。
どの曲も素朴で聴きやすい、実にキャッチーでミニマルな弾き語り。
何気なくBGMにかけても全く違和感がない、そんな40分足らずのアルバム。
意外と彼のCDはこういうのが多いから面白い。自分は凄く気に入りました。
フォーク系のポップやロックをいろいろ聴く人間なら楽しめるかも。普通の弾き語りと大差はないです。
Ricardo Capellano & La Organizacion del Fantasma
Cartas al Espectro
1995 Melopea Discos CDMSE 5080
リカルド・カペジャーノを中心とした、アルゼンチンの4人組の団体による2ndアルバム。
ギターアンサンブルの心地よい重なり合いの中から、滔々と歌が現れてくる。
淡く即興的なイメージの強い、けれど一つのまとまりを感じさせる音楽は絶妙にもつれを見せながら美しく伸びていきます。
トラック2で見せるサックス多重録音の切ない歌やトラック5のピアノソロも素晴らしい。
エグベルト・ジスモンティを引き合いに出されていますが、たしかに系統は似ている。
けれど、あれよりさらに淡さと渋さがあると思う。
落ち着いた雰囲気のアルゼンチンなギター音楽を楽しみたい時なんかは良いですね。
ジャケットにも書かれている通り、上質な'SouthAmerican Contemporary Music'。
トラックによっては朗読のあるものも。
Rings of Uranus NASA-Voyager Space Sounds
1990 Brain/Mind Research
NASAが打ち上げたボイジャー探査機のシリーズは、未だに太陽系の貴重な資料として
天文学の間では用いられているほどの大きな存在。
何しろ、未だに天王星以遠を直接訪れたのがボイジャー2号のみという事実が凄い(2010年現在)。
さて、そんなボイジャーのデータを使用して創り上げたというのが当アルバム。
天王星の輪から発せられる電磁気を音に変換したものです。
低く震える虚ろなドローンが伸び、ゆっったりとした周期でうねりが寄せられる。
鐘のような音が長く伸び、エコーの波に飲み込まれていく。
なんというか、中身は凄く良いんだけれど、何もこんな製作方法をとらなくても。
しかもその宣伝がちょっと神秘主義的な文章なので無駄にアヤシイ。
ちなみにこれ、同じような製作方法でかなりシリーズあります。集めてみるのも面白いかもよ?
やらないけど。(とか言いつつ集めだしたらどうしよう・・・)
P.S.とか何とか言ってたら10CDボックスバージョンの存在を発見。こいつぁ・・・
Robbie Basho
Bonn Ist Supreme
Bo'Weavil Recordings WEAVIL29CD
ジャック・ローズをして、12弦ギターは彼とBlind Willie McTellに始まり彼らで終わる、
と言わしめたロビー・バショーことダニエル・ロビンソンJr.。
もちろんバショーとは松尾芭蕉のこと、かなり傾倒していたようですね。
アルバムタイトルの通り、ドイツはボンにおける、1980年11月24日のライヴ録音。
カントリーな小気味良いリズムが颯爽と流れていくトラックばかりで実に心地よい。
北米の先住民的な観念や、名のごとく芭蕉からくるようなあの俳句的な素朴な景色の表現、
そういったものを感じることができるアメリカン・トラディショナルなカントリー音楽。
実は、本来の彼の作風はもうちょっと東洋思想が色濃く出ているような感じらしいけれど、
自分としてはこれくらい軽やかでしっかりした足取りの音楽の方が気楽に聴けてうれしい。
正直録音の方はお世辞にもかなりよくない。ヒス混じりの音質。けれど、
その音楽に込められた独特の熱気やバショー自身が歌う渋い声、さらに
頭ごとに曲のタイトルを言いながら進めていくところまで収録されている臨場感が実に良いです。
Rod Poole
The Death Adder
1996 Win Records WIN021
Rod Pooleはイングランド出身、LAで活動を続けるギター奏者。
アコギによるインプロ演奏の95年ライヴ録音。美しい単音の爪弾きが響く。
それはやがて流れるようなミニマルメロディーに変わり、ふわりふらりと漂いだす。
繰り返されるメロディーは絶えず変化して、せわしなくなったり立ち止まってゆらめいたり。
後半はボディを叩いたりと言った様々な奏法も現れる。
とくに前衛的・実験的な要素はありませんが、どちらかというと内向的な音楽。
Ronu Majumdar & Tarun Bhattacharya
Natural
2007 sense world music 087
ラヴィ・シャンカールやフィリップ・グラスとの共演経験があるバンスリ(竹製の笛)奏者ロヌ・マジュムダールと
サントゥール奏者として有名なタルン・バッタチャリヤの共演アルバム。
サントゥールがきらきらと輝き、バンスリがふわふわとメロディーを奏でる。
のんびりとした残響が淡く空間を埋めるトラック1とかなかなか良いです。
ゆったりした時間感覚の遅さをいつのまにか作り上げられている。
アッタッカでちょっとリズミカルなトラック2以降に入っても、基本的な音楽の輪郭は全く変わらず。
タブラなどが入って盛り上がっても、やっぱりどこかクールな感じ。
トラック5とか、これだけ爽やかなのにすごいテンション上がれるのも凄い。
実に涼し気なインド音楽。出来も非常に素晴らしいものだし、全く文句はない。
夏のうだるような暑さの一日にどうぞ。
Sagor & Swing
Orgelplaneten
Hapna H.16
現時点では最新アルバムのはず。かなりポップさが強調されています。
最初聴いてびっくり、なんだこのどこかうきうきする音楽。
1stのイメージで聴いてしまうと口があんぐりして閉じれない。
ただ、オルガン・シンセとドラムをメインとした聴きやすい作風であることには変わりません。
ジャケット自体は幾何学模様(これ何て言ったかな・・・忘れた)でシリアスそうなのに。
まあどちらにせよ、かなり親しみやすくなったのは事実。
The Sea and Cake
Two Gentleman
1997 Thrill Jockey thrill 048
シカゴ音響派といわれるアーティストの代表格なポスト・ロックバンド、ザ・シー・アンド・ケイク。
そのシングル。5曲中前3曲は他人のミックスという不思議構成。
最初2曲はエレクトロニカ・アンビエントな感じのリミックス。
3曲目のジム・オルークMixは彼風のポストロックなリミックスでこれもまた良し。
2曲のオリジナルも、その流れを汲んでか、とてもエレクトロニカなイメージが強い。
ちょっとふわふわとした、ダウンビートでメロウなインストナンバー。
これはこれで良い。というか、自分の感覚としてはこちらの方がはまるかも。
Sean McCann
Sean McCann
2011 Ekhein EK49(cassette)
2007年からアンビエント系の作品を主にカセットで多くリリースする
カリフォルニア出身のアーティストによる、セルフタイトル作品。
躊躇いがちに、途切れながら入ってくる音が次第に自分をさらけだし、輝かしく開放的に重なり合っていく。
このきらめくような音のうねりあいが、思わずにやけそうなくらい綺麗でかっこいい。
このA面の最初のトラックだけでも、買ってよかったと本気で思える。
以降も、低いうねりを効かせたエレキギターのぼやけた音像、
アコーディオンやオルガン風の電子音がゆるやかに波を持って重なり、
重苦しいうめきが、淡く美しいドローンの下で悲しげに響く。
地面から響くような低い音は、それでも優しく空間を包み込んでいく。
実にすばらしい内容です。カセットなのがもったいないくらいだけれど、
おそらくのこのテープ独特の柔らかいノイズを含めてアンビエント音楽にしているであろうことも
そのカセットリリースの多さから想像する。
Senor Coconut y su conjunto
El Baile Aleman
2000 EFA/multicolor 56008-2/MCR 108.2
テクノポップの始祖、クラフトワークのリミックスやアレンジはこの世にごまんとありますが、
彼らのナンバーをラテンミュージック・アレンジしたというのはなかなか聞かない。
というか、何をどうしたらそんな考えに至るのか。恐るべきは人の発想力なり。
チャ=チャやクンビア、メレンゲといったアレンジを施した中身は実に予想通り。
やたらムーディーな「ショールーム・ダミー」とかどこかコミカルな「ロボット」とか。
こんなほのぼのしたTEEの旅が・・・ノリノリの「ホーム・コンピューター」が聴けるなんて・・・
でも「ネオン・ライト」を聴いて、凄く納得しました。ああ、これは確かに発想できる。
まるでこのアレンジがオリジナルだったみたいにしっくりくる。やべえ。
最も、他の曲もびっくりするくらい違和感がない。一曲づつ感想を全部書きたくなるくらい面白くて笑える。
面白いくらいに原曲の構造を保持しながらラテンなノリを加えてくれてる。
下手なリミックスを聴くくらいならこれを探して聴く方がずっと楽しいです。
クラフトワークのファンは絶対に見つけ出してみて。そうでなくとも是非。面白いから。
あ、ただし100%生演奏ではなく、むしろシンセ音&編集バリバリな感じなのでそれだけはお間違えなきよう。
Sheriff
Sheriff
2001 Hapna H.4
中庸テンポでとても簡素なビートを叩くドラム。そこにギターやヴォーカルがやはり単純な構造を繰り返す。
まるでミニマリズムをそのままロックに持ってきてぼこぼこに穴を開けたみたい。風通しがとても良い。
けれど、音自体は単純でも音楽は決してつまらなくない。
一つ一つの音をかみ締めるように進んでいく音楽にはどこか素朴さと深みを感じずにいられません。
ミニマル音響とロックが合体した残滓のような曲たち。
Shumai
Tastes Like Summer
2004 abcdefg*record a-g017
バンド名見た瞬間脱力するねこれ、なんだよシューマイて。メンバー名も「Don Shumai」「Wasabi Shumai」。笑うしかねえ・・・
解説に没になったジャケアートがありましたが、個性あふれる寿司に混じって魚が入ってます。
何だこれ、どう見ても寿司じゃないぞおい。最終的に傘のジャケになって良かった気がする。
そんな突っ込み所満載のバンドですが、音楽のほうは気楽なものですごく素直。
さわやかでポップな伴奏に控えめな女声ヴォーカルが歌う、帯の言葉どおりまさに「青春」してる感じ。
気楽に聴けました。限定500枚、何故か帯にナンバリング。
Simon Fisher Turner
Riviera Faithfull
2000 Lowlands LOW 014
ふわふわと、シンセのような比較的軽めの音質でドローンが伸び、そこにくぐもりから響く鐘のような音。
やがて、そのくぐもりから、ぼやけた軽快めなビートが出てくる。突如の金属質ノイズで次の曲へ。
この13分に及ぶ1曲目「A Mistaker」は、温めのドローン好きな自分としてはかなり良かったです。
ただ、それ以降は曲ごとで結構変わります。2曲目は、先ほどの刺激音から導かれた、ドローンよりは音響に近い曲。
3曲目は普通にアンビエントな趣があるだけのテクノだし、
他もエレクトロニカと音響とアンビエントを足して3で割ったみたい。
7曲目以降はダブ系テクノが混じったファンキーな音響系音楽。
曲はアルバム全体でだんだんテンションが上がっていく感じでした。自分の好感度はその逆。
Smegma
Rumblings
Hanson HN122
フリーノイズというか、インプロと言うか、スカム系とも言うか、そんな超有名バンドSmegmaを初めて聴く。
ぐっちゃぐっちゃのどろどろ。やりたい放題の無法地帯な即興演奏。
使う楽器も演奏方法も全くフリー、曲によってロックみたいだったりフォーク?だったり現代音楽もどき?だったり。
楽器の音に、ターンテーブルや電子音、果てはおもちゃや環境音を紛れ込ませるからさらにカオス。
あまりにも飛ばしすぎた奔放さゆえに、ただその響きに埋もれることで楽しめる。
ただ、そこまでフリースタイルではなく、演奏者たちはある程度勝手に周りの雰囲気に合わせて合奏してるみたい。
だから流れだけはちょっとだけまともな音楽に聞こえる。
・・・ここまでインプロ前提で考えたけど、よく考えたらそうじゃない可能性もあるよな。それはそれでやばいが。
Souvaris
A Hat
2007 gringo WAAT 031
ちょっと前、安売り籠の中から完全にギャンブル買いしたもの。
ふわふわした電子音から、落ち着いた涼しげなインストのセッションが始まる。
シンセの暖かい音をふんだんに使用した、長尺の素晴らしいトラックばかり。
とても心地よくなれます。いやあ、これは買ってよかった。
Spaceheads and Max Eastley
The Time of the Ancient Astronaut
2001 BiP_HOp bleep 04
ローファイで静かなトムのドラムに、トランペットが優しく歌うように入ってくる。
弦楽器や声など、音たちが激しく変調され、奇妙な発声で荒漠なドローンの上を動く。
だいたい曲の中盤から最後、ドラムやエレクトロニクスが静かに激しく揺れる。
トランペットなどのメロディ系楽器があくまで主体になっている、アンビエントがかった音響作品。
ただ、まん中は激しいところが少なくなく、フリージャズ風味がする。
そんな聴きやすいアンビエントではないけれど、よく練りこんで作られているのがわかる、良いアルバムでした。
細かいビートが絶えず切迫してくる10・11曲目が自分の好み。
ただ11曲目、これ絶対アンビエントじゃなくてジャズだよね。
まあ、アーティストの方々はそれぞれ、結構いろいろなジャンルに詳しいみたいだからねー。
Stereolab
Dots And Loops
1997 Elektra EW 851
オルタナティヴ系ロックで知らないものはない有名バンド、ステレオラブ。
1曲目、絞られたノイズからセンチメンタルなメロディーが浮かび上がり、内向的でふわふわした歌が入る。
ヴィブラフォンやドラムの涼しげな音運びは、自分の聴いた中ではMice Paradeとかに似てる。
それ以降は、ちょっとフランクだったり普通の洋楽の雰囲気を含みつつエレクトロニカな音楽になっている感じ。
普通に楽しく聴けてよかった。ちょっとクールに飲みたいときのBGMに使える(というか使った)。
Stock,Hausen & Walkman
Organ Transplants Vol.1
1996 Hot Air QRM CD101
こういうコラージュ音楽はどう繋ぐかでそのアーティストの技量・好みが丸分かりな気がしてしまいます。
ストック・ハウゼン&ウォークマンのこのアルバムは、どれもくぐもった音響の中で温いポップ音楽とかがだらだら続いていく。
殆どは自然な流れ、あるいは聴いていておっと思わせるような楽しい展開になっていて最後のノイズ系絶叫以外気軽に聴けますね。
カットアップというと私はケージのテープ作品が思い浮かんでしまうので、こういうジャンルは新鮮。まあ面白いです。
ただ考えるのは、低俗さの芸術的価値感について。裸体の写真なんかはどれくらいの難易度で芸術になりうるんだろう。
こういうのって人によって印象が凄くばらつくと思うんですよね、現代音楽における調性感とかよりもずっと。
つまり言いたいことは、CDに入っていた裸の女性と男性を半身づつ繋げた写真たちの判断に迷ったということです。
・・・どうやら自分はスカム的な音楽感覚が備わっていないようですね。
そうそう、どうでも良いけれど皆さんはシュトックハウゼンと言えばこの人たちですか?それともオリジナルの現代音楽作曲家のほう?
Stone Breath
Lanterna Lucis Viriditatis
2000 Hand/eye H/E006
アメリカはペンシルバニア州を拠点とするアヴァン系のフォークユニット、その三作目。
バンジョー、ギターや笛などがメイン伴奏。そこにのんびりした声が明るくはない歌を添える。
切なげと言うよりは寂しげな音楽。聴いてて確かにアヴァン系のカテゴリではあるけれど、前衛的ではないです。
ちょっとサイケな雰囲気だけれど、そんなに支配的ではないので気楽に聴ける。
というかむしろ、普通に民族舞踏してる曲もあったりして楽しいです。
女性が男の生首持ってたり手が動物の頭骨持ってたりといったちょっと物騒なジャケですが、中身はかなりまとも。
Sunrise People in Sunset Days