4つの前奏曲 作品1
Four Preludes Op.1
I.Molto agitato
II.Lento-Recitativo
III.Allegro scherzando
IV.Molto allegro quasi presto

1955年10-12月作曲
1970年1月30日初演
ピアノ独奏


グレツキ21歳のときの、初めての出版作品。



デイヴィッド・アーデン;ピアノ
David Arden,Piano
1994年8月  KOCH
I.3:33  II.2:50  III.0:51  IV.0:58
まだグレツキっぽさよりシマノフスキみたいな印象もありますが、これはこれでいい曲。
演奏は単に堅実なだけでなく、貴重な録音以上のもの。
というのが以前の感想でしたが、近年新録が一気に増えたのであえてこれに手を出す必要もなくなってきました。
凄いね、この曲で聴き比べができるなんて・・・


ステファン・デ・プレッジ;ピアノ
Stephen de Pledge,Piano
2008年  Landor
I.3:26  II.2:24  III.0:55  IV.1:32
録音がちょっと遠くて微妙ではあるけれど、演奏はなかなかしっかりしてます。
聴かせる所は激しく、2楽章などは沈んで。
熱気があるわけではないですが、洗練された演奏で良いです。


マグダレナ・プレイスネル;ピアノ
Magdalena Prejsnar,Piano
2009年1月  DUX
I.3:05  II.2:40  III.0:50  IV.1:22
こうしてこの録音で聴くと、曲のごつごつとした輪郭が目立ちます。
演奏は音のメリハリが効いた硬めの音の演奏。もっさりしていなくてさっと聴けます。
録音はDUXらしく遠目ではありますが、技術的にも不安はなし。こちらの方が演奏としても上手かな。


Katarzyna Musial,Piano
2013年  Meridian
I.2:48  II.1:52  III.1:00  IV.1:09
最初期の作品なのにこれで録音がさらに多くなる。まあ数少ないピアノソロ作品だから…
演奏としては、やはり丁寧なタッチながらダイナミクスは程よくにつけてくれるので中々いい。
残響が適当についているので、以前からの盤に比較して聴きやすくなってます。
派手さはないですが、それを抜かせば勢いもあってかなりレベルが高い演奏。






トッカータ 作品2
Toccata Op.2

1955年12月作曲
1958年2月27日初演
ピアノ連弾





ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ、小林倫子;ピアノ
Harina Czerny=Stefanska & Rinko Kobayashi,Pianos
1995年1月10-12日  CANYON
3:10
たった3分の小品ですが、なかなか密度ある曲です。
作風としては作品1よりもさらに自分なりの技法が出てきているのでは。和音の強打が目立ちます。
最後らへんの盛り上がりなんか派手派手で爽快ですね。
このCDでラストを飾っているだけのことはあります。
演奏のほうは上手にソツなくこなしていて、十分満足できます。


ステファン・デ・プレッジ、エヴェリーナ・プザイテ;ピアノ
Stephen de Pledge & Evelina Puzaite,Pianos
2008年  Landor
3:37
この曲の珍しい新録。
音楽がきれいに見通せて良いです、構造が実に分かりやすい。
ただ、裏を返せばそこまで熱くも無く、崩しも無くてとてもあっさりしている感じ。
後半の巻きはなかなかなので、まあ可もなし不可もなし、みたいな辺りか。







三つの歌 作品3
Three Songs Op.3
I.To mother
II.What was this funeral bell
III.The Bird

1956年1月作曲
1960年初演
女声独唱、ピアノ

グレツキの母に献呈されている。



クリスティナ・ショステク=ラトコヴァ;メゾソプラノ、イェジ・ロマニウク;ピアノ
Krystyna Szostek-Radkowa,Mezzo-Soprano  Jerzy Romaniuk,Piano
1975年  Polskie Radio
I.1:39  II.2:38  III.0:27
普通の良い曲。ソプラノは初演者。録音はまあまあだけれど、演奏はしっかりしています。資料的にも価値は高いのでは。
2曲目などに初期グレツキらしい荒々しい和音が出てきますが、沈思的な落ち着いた曲調が主体。
短い曲ですが、なかなか印象に残る曲です。でもやっぱり全曲で5分ないのは短すぎ。
これ、ポーランドを代表するメゾソプラノであるショステク=ラトコヴァの放送録音集成としてPolskie Radioから出た5枚組み。
他は殆どクラシカルな歌曲やオペラのアリア。興味ないわけじゃないし良い演奏なんだけど、放送音源なこともあり音質よくないものも多い。
これで、8,800円。5分のために8,800円。叫んで良いですか。駄目ならお酒。


ロナン・コレット、バリトン  ステファン・デ・プレッジ;ピアノ
Ronan Collett,Baritone  Stephen de Pledge,Piano
2008年  Landor
I.1:47  II.2:03  III.0:56
世界初録音と謳ってますが、正確には上記のがあるので違います。なぜかバリトンでの独唱。
録音は遠いけれど、演奏はクールな好感持てるものでした。







変奏曲 作品4
Variations Op.4

1956年10月作曲
1958年2月27日初演
ヴァイオリン、ピアノ


序奏、主題(4度スケールに基づくポーランド音楽的旋律)、九つの変奏、フィナーレからなる。
バルトークの様な展開も見せる、新古典主義の影響が見られる作品。



タイロン・グレイヴ;ヴァイオリン  エレン・バーマイスター;ピアノ
Tyrone Greive,Violin  Ellen Burmeister,Piano
Albany
9:54
初期の作品ですが、前衛的要素は比較的薄いので気楽に聴けます。
演奏は模範的ではありますが聴き易い上、退屈にはならない良い演奏です。


トーマス・ケンプ;ヴァイオリン  ステファン・デ・プレッジ;ピアノ
Thomas Kemp,Violin  Stephen de Pledge,Piano
2008年  Landor
9:25
世界初録音とありますが、上記の録音があるので間違いですね。
なかなかあっさりしている演奏。気軽に聴けて良い感じ。
別の言葉で言えば、音の重みがあまり感じられない、とも。
悪くはないんですけれどね、悪くは。


キンガ・アウグスティン;ヴァイオリン  エフィ・ハックメイ;ピアノ
Kinga Augustyn,Violin  Efi Hackmey,Piano
2011年12月11日  Naxos
9:54
久しぶりの新録音。少々荒っぽい感はありますが
早めのテンポでノリ良く演奏してくれている点は評価できる。
変奏ごとの表情がはっきりと出ているのでわかりやすい。







ピアノ・ソナタ第一番 作品6
Piano Sonata No.1 Op.6
I.Allegro molto, con fuoco
II.Grave pesante e corale
III.Allegro vivace (ma non troppo)

1956年8月作曲、1984年5月・1990年11月編曲
1991年3月17日全曲初演
ピアノ独奏


パーカッシヴで躍動的な両端楽章、神秘的な第二楽章。
「第一番」とついてはいるが、現在の時点で第二番は作られていない様子。



デイヴィッド・アーデン;ピアノ
David Arden,Piano
1994年8月  KOCH
I.7:43  II.2:40  III.3:44
プロコフィエフのそれを連想させる重々しいリズムが聴いてて非常に心地よいですね。
演奏もなかなか熱い、それでいてしっかりしたもの。
録音はこれだけの様です。
聴いててなかなか楽しめる聴衆受けの良さそうな作品なんですがねえ。







単一楽章のソナチナ 作品8
Sonatina in One Movement Op.8


1956年11月作曲
初演年月日不明
ヴァイオリン、ピアノ




バルバラ・ヴァルス=ヤグラ;ヴァイオリン  イレネウシュ・ヤグラ;ピアノ
Barbara Walus-Jagla,Violin  Ireneusz Jagla,Piano
ONA DIGITAL
2:24
大雑把な印象はピアノ独奏曲や作品4と変わりません。
ポーランド風の旋律に独特の前衛臭を加えたような作品ですが、
溌剌とした曲想のお陰で比較的聴きやすいかもです。
にしてもホント短い・・・もう少しあっても良さそうなものです。


キンガ・アウグスティン;ヴァイオリン  エフィ・ハックメイ;ピアノ
Kinga Augustyn,Violin  Efi Hackmey,Piano
2011年2月3日  Naxos
2:24
音塊状の和声使用、快活でポーランド的な近代風旋律。
初期の短くも印象的な作品を手堅くしっかり演奏してくれています。
上記盤とどちらが良いか言われたら、たぶんこっちかも。










この頃の作品群はまだ東欧的な音楽の下地にグレツキの個性が乗っかっている感じで、まだ本領発揮とまでいきません。
とはいえ、若き頃の彼がどのような音楽を目指していたのか道標になる良い作品たちです。
これはというような掘り出し物もきっとあることでしょう。
「歓喜とリズムの歌」のCD化は、いや、せめて再販はいつ・・・




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