ショーロス第一番 作品20
Choros I Op.20
1963-4年作曲
1964年9月22日初演
弦楽オーケストラ
クラクフ・フィルハーモニー管弦楽団 ローランド・バーダー指揮
Krakow Philharmonic Orchestra Roland Barder,Conductor
1990年1月15-19日 Koch Schwann
17:01
題名から想起されるように、この曲においてはリズムもさることながらメロディー的・和声的な面も重視されます。
これらの要素をちりばめた結果、他曲のある種極端な対比的構造ではなく、要素が絡み合った「マルチカラー」的印象が強いです。
印象が以前の曲とちょっと違ったものになるでしょう。
前後に激しいクラスターな持続音風の部分を置きながら、中間部は(どこか民族音楽をルーツに感じる)リズムが湧き上がる。
この部分、チェロやコントラバスが活躍しているあたりが実に渋くてグレツキらしい音響。
過激さがない分普通な現代音楽の印象になりがちですが、ノイズ音響のほうは相変わらず(むしろ以前より顕著に)使われていますね。
・・・これ全部電子音にしたらそっち方面にウケないかなあ。
クラクフ・フィルハーモニー管弦楽団 ローランド・バーダー指揮
Cracow State Philharmonic Roland Barder,Conductor
1996年 Koch
17:05
後半の旋律的動機が現れてくるあたりからが、この曲の真価です。
一応、別録音・・・なんでしょうか。時間は大体同じだから表記ミスなだけ?まあ一応別記しとく。
クラスター的な弦楽器の音響が、こちらの録音はより豊かに響いてきます。
人間的に動く音が聴けるので、ある種ペンデレツキのあれを想起させる場面も。
渋い、鋼のような音を楽しめる良い演奏。ただ、鋭さはこちらの方が薄い感じでしょうか。
こちらは、この曲の音響に埋もれたい時用ですね。
リフレイン 作品21
Refren Op.21
1965年5-6月作曲
1965年10月27日初演
オーケストラ
[0.4.4.4 - 4.4.4.0 - ティンパニ(3)、打楽器(1) - 弦(24.0.8.8.8)]
緩-急-緩の構成をとる。
クラクフ・フィルハーモニー管弦楽団 ヤン・クレンツ指揮
Polish Radio Symphony Orchestra in Katowice Jan Krenz,Conductor
1967年 Olympia
16:57
両端部の緩除部分はこの頃のグレツキ特有のクラスターですね。
このころから楽曲におけるクラスターの支配が顕著になってきます。
中間部、パルス的なモチーフが徐々に音を増やし錯乱していく様に圧倒。
演奏は資料価値をはるかに超えて素晴らしいもの。
シレジアン・フィルハーモニー管弦楽団 ミロスワフ・ヤツェク・ブワスチェク指揮
The Silesian Philharmonic Symphony Orchestra Miroslaw Jacek Blaszczyk,Conductor
2011年 DUX
14:56
グレツキ初期作品の新録音とはなかなかやってくれますDUXレーベル。
何しろ、今までクレンツ指揮の1種類しかリリースされていませんでしたからね…
こちらはやっぱり録音が新しいだけあって動きがすごくわかりやすい。
両端のじわじわとのびるクラスター音響の発展がとても澄んで響くので、構造が把握しやすい。
クラスターに挟まれる金管楽器の小さな破裂音がスパイスになっていて緊張感を増す様子が手に取るようにわかる。
一瞬にも思える爆発部分は迫力はそこそこですが、やっぱりクリアに聴ける意義は大きい。
カンティクム・グラドゥム 作品27
Canticum Graduum Op.27
1969年10−11月作曲
1969年12月11日初演
オーケストラ
[4.0.4.4.サックス4 - 8.4.4.0 - 弦(24.0.8.8.8)]
語法が単純化してきた頃の作品の一つ。
単純なD音から徐々に和声・リズム的に発展し、収束していく。
ただし、展開はあくまでクラスターの状態でのみ終始している。
編成の面では、オーボエの代わりにサクソフォーンを導入している。
シンフォニア・ヴァルソヴィア アラン・アンティノクル指揮
Sinfonia Varsovia Alain Altinoglu,Conductor
2004年12月 naive
10:17
世界初録音だけに、この音源は貴重。
曲の雰囲気をうまく出せている演奏です。もっと硬い音を求めたい気もしますが。
この作品はクラスターが命。分厚い壁のような音階がぶつかってくる場面でびびるのが正しい聞き方(笑)
ひたすらトゥッティで音楽が進んでいくのはある意味壮観です。
当時のグレツキの音響への興味の方向が垣間見える一曲といえるでしょう。
音楽的小品第四番「トロンボーン協奏曲」 作品28
Musiquette 4 "Trombone Concerto" Op.28
1970年3月作曲
1970年4月15日初演
トロンボーン、クラリネット、チェロ、ピアノ
ニュー・ミュージック・オーケストラのメンバー
New Music Orchestra
Mateusz Konopka,Trombone Aleksander Fojcik,Clarinet
Piotr Janosik,Cello Tomasz Lupa,Piano
2003年4月 DUX
14:21
主に雰囲気が前半・後半で急緩になっていますね。
前半の基本的な曲のタッチは作品21や作品26と同様なものがあります。
点描的な面からは離れているものの短いモチーフがひたすら繰り返し演奏されるといった具合。
後半は交響曲第二番第二楽章に見られるようなピアノの和音を背景に、残りの楽器が長い旋律を奏します。
編成的にも作品53が連想できる曲調ですね。また構成的には交響曲第二番が非常に近いです。
演奏は十分満足できるもの。なんだか前衛的な曲に手馴れた感じが出てます。
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