雑記

という名のCD紹介。
だいたい最近買ったもののレビューです。



11/30

Richard Toensing
Concerto for Flutes and Wind Ensemble,
Fantasia (of Angels and Shepherds), Concerto for Flutes and Orchestra

Leone Buyse,Fl.  Carol Ou,Vc.  John Kinzie/Scott Higgins,Perc.
National Symphony Orchestra of Ukraine  Theodre Kuchar,Cond.
2001 Composers Recordings Inc.  CRI CD 883

レスリー・バセットらに師事したアメリカの作曲家リチャード・トーンシング(1940-2014)の作品集。
比較的晩年は正教会にわりと傾倒していたようで、それ関連の作品が多い様子。
「フルートとウインド・アンサンブルのための協奏曲」、
フルートの神秘的ながらもひらめくようなソロから次第に楽器群に動きが伝播していく。
7つの部分からなりますが、ピッコロを持ち替えながら音楽は絶えず緊張感を増しながら動いていきます。
最後は薄くなっていって締め。緊張感と構成は悪くない。
打楽器とチェロのための「ファンタジア」はロシア正教で歌われる聖歌とコラールを題材にした作品。
弓引きビブラフォンの非常に淡い響きに乗せて、チェロが聖歌の変形が歌われる。
そこからマレット楽器と独奏の動きの派手ながら輝かしい一節など
全てで6つの部分からなりますが、全編通して散文的ですが聴きやすく、とても綺麗な音楽。
最後はバロックの舞踏曲を意識した音楽が現れて終わる。
「フルートと管弦楽のための協奏曲」もロシア正教などの殉教者に捧げられたもの。
フルートの輝くような動機が現れる第1楽章も悪くないですが、
オスティナート音型に支えられた重くも美しい第2楽章が個人的には素晴らしいと思う。
第3楽章は管弦楽の重いマーチ風のリズムを奏でながら非常に綺麗な音楽を踏襲する。
特に後半2曲は想像以上に綺麗な音楽が聴けて良かった。
演奏も初期〜中期ナクソスでは抜群にトップレベルだったコンビ。まるで問題なし。



11/23

Herman Berlinski
Return, Sinfonia No.10 for Cello and Organ

Donald Boothman,Br.  Lori Barnet,Vc.  Herman Berlinski,P.& Org.
2000 Composers Recordings Inc.  CRI CD 839

ポーランドに祖を持つユダヤ系作曲家ハーマン・バーリンスキ(1910-2001)作品集。
ライプツィヒに生まれ、フランスでブーランジェらに学んだ後大戦もあってアメリカに移住、
そこからメシアンにも師事したことがあります。
なかなか変遷ある経歴ですが、最終的にバーンスタインらとの邂逅もあって
アメリカに終の地を見出したこともあってCRIからリリースが。
バリトンのための歌曲集「帰還」(1950/85)は彼が故郷であるライプツィヒに
半世紀近い不在ののちに戻ったときの印象を基に書かれた作品。
音楽としては基本的には近代の中にぎりぎりはまっていますが、
その躍動感にあふれ変化にとんだ楽想はかなりエキセントリックなものが。
全体的には追憶を深めるような流麗な展開の範疇に収まっています。
「シンフォニア第10番」(1977)は親友だったカバラー、ユダヤ教指導者Milton Feistに捧げられています。
聴いていて、編成のせいもありますがなんだかメシアンに似たものを感じてしまう。
彼のキリスト教に対する敬虔さを見てバーリンスキも自身とユダヤ教のそれを意識したらしいので
もしかしたらそれが音楽上の共通の感性に現れているのかもしれません。
この音楽はユダヤ教に深く関連した動機を持っているので、余計にその類似性を想起させるのでしょう。
瞑想的で前述したようなイメージの強い第1楽章に対し、
第2楽章冒頭は19世紀からあるアラブ風旋律を主題にした音楽が展開されます。
ただ、祈るような音楽なのはどちらも同じ。

ピアノがかなり達者だったようで、この録音でもそれは堪能できる。



11/14

Mary Howe
Stars, Sand, Castellana: Romanesca on Spanish Themes, Suite for String Quartet and Piano,
Interlude Between Two Pieces, Three Pieces after Emily Dickinson, Spring Pastoral

Celius Dougherty/Vincenz Ruzicka,P.  The Vienna Orchestra
Members of The Chamber Arts Society of the Catholic University of America
The Imperial Philharmonic of Tokyo  William Strickland,Cond.
1998 Composers Recordings Inc.  CRi CD 785

ヴァージニア州リッチモンド生まれ、キャリアの初期は主にピアニストとして活躍しながら
40歳を過ぎてから本格的に作曲を始めたメアリー・ハウ(1882-1964)の作品集。
短期間ですがナディア・ブーランジェの教えも受けた様子。活動はワシントンDCが主でした。
なお、ピアニストとしてはリストの孫弟子だったようです。
管弦楽作品の「星」(1927)「砂」(1928)はストコフスキーも演奏した彼女の代表作。
星降る夜をイメージした、非常に美しく壮大な「星」と
波打ち際でもてあそばれる粒子を描いたような軽妙さの「砂」。
どちらも4分/2分という短さではありますが、非常によく纏まった流麗な音楽です。
「カステラーナ -スペイン風主題によるロマネスカ」(1930/34)は2台ピアノを独奏に据えた作品。
混沌とした冒頭から次第にはっきりとしたいかにもスペイン風な旋律が流れ出す。
音楽としては露骨なまでのスペイン風ですが、そのためもあってか聴きやすい。
ただ、時代的にこの辺りの曲からロマン派のみならずモダニズムも取り入れていたのがよくわかる。
「弦楽四重奏とピアノのための組曲」(1928)は比較的初期のものもあってか、直接的にロマン派の内容。
第1楽章のロマンスの美しさは凄い。同時にシューマンあたりに似た響きも凄い。
フルートとピアノのための「2つの小品に挟まれた間奏曲」(1942)は元々
彼女の息子らの演奏するアルトリコーダーとハープシコードのために書かれた作品。
旋律のリズムなどにやたらとブルース風なものを感じる1曲目、簡素で流麗な間奏曲に
どちらかというと新古典みたいなリズミカルさの3曲目。
「エミリー・ディキンスンの3つの小品」(1941)は弦楽四重奏作品。
名前の通りの影響を受けた、これはかなりロマン主義が前面に出た音楽。
ただ第2曲や第3曲の一部を聴くと良い感じに近代よりの和声が心地よい。
「春の牧歌」(1938)は弦楽メインによるディーリアスばりの芳醇な響きが聴ける。

録音はどれも50年代の歴史的なアナログ録音(「カステラーナ」はこのCRIプロジェクトの最初の録音)のため
時折ノイズが入ったりする上、演奏もそこまで巧くなかったりする。
ただ、これらの音源はどれも初演だったり関係の深い人物による演奏だったりするのは留めておきたい。
なお、最後の曲を演奏しているインペリアル・フィルハーモニーは60年代に存在していた東京の団体。
近衛秀麿が当時結成していた団体に不満を持って脱退したメンバーらが設立したものらしい。



11/5

The Scott Chamber Players
Jan Swafford; Midsummer Variations, They Who Hunger
Glenn Gass; Piano Quartet, String Trio

1993 Composers Recordings Inc.  CRi CD 633

インディアナ州で主に活動しているアンサンブルによるアルバム。
ハーバード大やエール大でドラックマンらに師事したジャン・スワッフォード(1946-)の
「ミッドサマー・ヴァリエーションズ」(1985)はコラールを主題にした幾分メランコリックなピアノ五重奏。
特殊奏法も時折使いながら長調と短調を揺れ動くようなところで気だるさのある流れに
時折はっとする美しさを出してくるのが憎らしい。やっぱりその綺麗さが引き立っている。
中盤から次第に盛り上がっていき、溌剌として明快なクライマックスはとてもいい。
最後はまた冒頭のような重さのある静けさに戻って終わる。
ピアノ四重奏のための「They Who Hunger」(1989)は増加するホームレス達に捧げられたものですが
作曲する契機の一つには天安門事件も入っているらしい。政治参画が好きな人だ。
淡い序奏ののち華やかに展開する主部。ピアノのアルペジオなどが多く、きらきらした印象。
インディアナ出身、現在はインディアナ大で教鞭を執っているグレン・ガスの作品が後半。
何でもロックやポップスの歴史を授業で教えたりしているようです。
「ピアノ四重奏曲」(1987)は重厚さをもって激しいダイナミクスを見せる第1楽章、
ちょっとロックなシンコペーションリズムの印象的な静けさのある第2楽章、
スケルツォ風の輪郭が伺える第3楽章、アップテンポな所からベースがロック風に聴こえなくもない第4楽章。
ロックの影響が見え隠れする内容からすると、「弦楽三重奏曲」(1983)のほうはかなり古典的。
どの楽章も半音階的なモチーフを展開する手法で書かれていて真面目な作風です。

演奏は、地元で展開している団体としてはかなり高水準。



10/27

Ahmed Adnan Saygun
Yunus Emre -Oratory for Soli, Choir and Orchestra
in three parts with an intermezzo after the second part

Birgul Su Aric,S.  Aylin Ates,M-S.  Aydin Ustuk,T.  Tevfik Rodos,B.
Osnabrueck Symphony Orchestra  Osnabrueck Youth Choir  Naci Ozguc,Cond.
2012 dreyer gaido  CD 21074

トルコに生まれダンディらに学び、トルコ西洋音楽の初期世代として活躍した
アフメト・アドナン・サイグン(1907-91)の大作オラトリオ「ユヌス・エムレ」。
中世トルコで活躍した詩人・神秘家であるユヌス・エムレ(1240?-1321?)の
トルコ文化に根差しながら愛と人道主義を説いた創作内容に
当時第二次大戦が始まっていた中のサイグンは共感を感じ取ったようです。
30年代から書き始められ、1943年に完成されたトルコ初のオラトリオが46年初演という流れは
人間性を歌った内容と平和を希求する潮流とがシンクロしていて面白い。

雄大さを感じる冒頭からトルコ民族音楽を強く感じさせるモチーフが現れる。
この作品での重要なテーマの一つに、彼のルーツであるトルコを初めとするムスリム系と
非ムスリムである西洋との共存があり、それはトルコ素材を
西洋オーケストレーションで彩る手法に主にあらわされています。
音楽としては当時の穏健な作風止まりではありますが、そこに潜むトルコの強いリズム感と音階がとても新鮮。
個人的にはAgitatoの部分なんか派手で良かった。
あと、長さも15分を超える主部のようなVivoがやはり聴きどころ。
この部分は(コルサコフのシェエラザード終楽章よろしく)特徴的なリズムが現れ
さまざまな楽想が入り乱れながら絢爛に展開するので一番派手。
その最後で思いっきり終わると思いきや、最後に短いコーダのコラールがついているあたりが
全体のテーマをまた物語っていて良い。
演奏は流石に一流と比べるわけにはいきませんが、
同郷の人物勢のみによる演奏はやっぱり来るものがあります。
ただ、それでもこの曲を超一流のメンバーで聴いてみたい気もする。



10/24

P.Q.Phan
Banana Trumpet Games
Banana Trumpet Games, Beyond th Mountains, Rough-Trax,
Unexpected Desire, My Language, Rock Blood

Pamela Decker,Org.  E. Michael Richards,Cl.  Kazuko Tanosaki,P.
Samaris Trio  The University of Illinois Percussion Ensemble  William Moersch,Con.  etc.
2000 Composers Recordings Inc.  CRi CD 849

ベトナムのサイゴン出身、LAなどで勉強しローマ大賞受賞歴もあるアメリカ作曲家P.Q.ファン(1962-)の作品集。
出自のように、東洋と西洋の音楽を混合させるような作風です。
オルガンのための「バナナ・トランペット・ゲームス」とは何とも凄いタイトルですが、
内容はアジア的要素も幾分含んだ、基本的にはトッカータ風の音楽。
そこにクラスターみたいな和声も入れてかなり刺激的な響きになっています。これ面白い。
「山を越えて」はクラリネットとの四重奏。冒頭の爆発はかなり前衛的ですが、
中間部はわりと東洋的な歌いまわしが随所に見られる。
アルトサックスとオーボエのための「ラフ・トラックス」は
木管楽器の激しい掛け合いが聴ける。ここでもリズムの鋭さは印象的。
ピアノ三重奏の「Unexpected Desire」はこの中で一番東洋的なイメージが直接的に出ている曲。
ゆったりとした序奏から次第にリズミカルに発展していく音楽はなかなかかっこいい。
クラリネットとピアノの「マイ・ランゲージ」は様々な変容を見せてくれる、
ある意味では折衷的音楽を目指している彼らしい音楽が聴けるもの。
性急な部分での勢いはこの曲が一番激しいので悪くない。
打楽器アンサンブルのための「Rock Blood」はかなり直接的に東洋音楽。
太鼓ばかりの編成なためかなり和風な作品ですが、なかなか楽しめた。
「バナナ・トランペット・ゲームス」「Unexpected Desire」「Rock Blood」が聴きやすいし楽しいところかな。



10/20

20th Century Harpsichord Music
Arnold Rosner; Musique de Clavecin, Sonatine d'Amour
Daniel Pinkham; Partita for Harpsichord

Barbara Harbach,Harpsichord
2012 MSR Classics  MS 1443

アメリカのマイナーどころをこれでもかと感じる一枚。
前半は、NYに生まれロマン派等の古典的な作曲方法で音楽を制作していた
ユダヤ系の作曲家アーノルド・ロスナー(1945-2013)による2作品。
「クラヴサンのための音楽」作品61(1974)、最初のロンドはむしろサラバンド的。
アルペジオを多く使ったなかなか迫力ある響き。2曲目の踊りは明快かつ溌剌としていてテンション上がる。
3曲目の非常にダイナミックな和声の応酬はとても爽快。
4曲目はどうやら過去作品から抜粋改訂したらしい、短い音楽。
終曲のパッサカリアは一番荘厳さが現れながらも、冒頭のような路線に戻って終了。
これは演奏も相まって、バロックの概形が伺えながらも派手に鳴らしてくれる刺激的な面白い作品でした。
「愛のソナチネ」(1987)は上記作品を見事に弾くBarbara Harbachからの要請で作ったもの。
第1楽章はコードの上に自由な旋律が流れるバロックらしい音楽ともいえますが
拍子が意外とおかしいあたりが印象的。第2楽章は幾分テンポの上がった舞曲風の歓喜的な音楽。
マサチューセッツに生まれハープシコードを学んだ経験もあるダニエル・ピンカムの
「ハープシコードのためのパルティータ」(1964)は彼の代表的な作品と言ってもいいでしょう。
現代美術のドキュメンタリーの伴奏を依頼され、その際演奏会作品にも使えるようなものをとして
制作された30分の大作です。バッハを初めとするバロックの影響を強く受ける構成ながら
音の響き自体は技巧的というか割と不協和な和声も多く使っている。
このあたりは「クリスマス・カンタータ」なんかの印象だった綺麗な響きとはまた違う側面が見れて新鮮でした。
もちろん、たとえば第5曲のスケルツォなんかには華々しい音楽があってそちらの魅力もしっかり聴ける。
演奏録音ともに臨場感があって素晴らしかった。



10/9

Bernadette Speach
Reflections
Trio des Trois III, When it Rains,Lleuve, Chosen Voices,
Les ondes pour quatre, Angels in the Snow, Woman without Adornment, Viola

Anthony de Mare,P.  Lois Martin/Rozanna,Vla.  David Heiss,Vc.
Jeffrey Schanzer,G.  The Arditti Quartet  Bernadette Speach,Toy P./P./Con.  etc.
2002 mode  105

ニューヨーク州出身、フェルドマンとレジャレン・ヒラーに作曲を学んだ
女性作曲家ベルナドット・スピーチ(1948-)の室内楽作品集。
「Trio des Trois III」ではピアノのややエキゾチックな趣もある伴奏音型に乗って
ヴィオラとチェロが息の長い旋律を奏でる。短いユニットの反復を基本に音楽を作っていくやり方は、
師のフェルドマンをすごく髣髴とさせる。ただし響きは完全に調性的でとても聴きやすい。
「When it Rains,Lleuve」はイヴァ・ミカショフの思い出に捧げられています。
プエルトリコを旅行した時の印象をベースにしているため、音楽構造も
ラテンのリズムと旋律がベースになっている。素朴で反復的な、美しいピアノソロ曲。
冒頭では本体を叩いたり、後半は奏者が歌ったりと、演奏は意外とせわしない。
プリペアド・ギターとトイ・ピアノのための「Chosen Voices」はジョン・ケージに献呈。
なるほどケージ作品でよく聴くような音響でスピーチ作品が演奏されてる。なお、ギター奏者は亭主さんとのこと。
「Les ondes pour quatre」はアルディッティの委嘱作品。
だからというわけではないでしょうが珍しく半音階的な音楽構造を基につくられています。
「雪の中の天使」はこの後の作品への前奏曲のようなものとして作られた付随的作品。
淡い冒頭から次第に輪郭がはっきりしていく、ジャズナンバーにも聴こえる流麗な曲。
その「飾らない女性」は、ここでも語りをしているThulani Davisの小説をテキストにした作品。
フュージョンジャズを意識した編成と音楽は、聴いていてサロンかどこかの音楽みたい。
ただ、その独特の反復的構造と簡素な響きは彼女の作風にしっかりと組み上げている。
後半は特に淡さの引き立つ曲が多い。個人的には、3曲目のベースがメインになる音楽が好き。
「ヴィオラ」は楽器であると同時に、捧げられている母の名前でもあります。
瞑想的な雰囲気も持つ、スピーチなりのロマン的作風ともいえそうな作品。

基本的にはポストミニマルに近い作風と言える。
演奏、悪くないけれどもうちょっとな感じ。録音もmodeの中では微妙な方かも。



10/5

Otto Ketting
Symphony No.3, The Light of the Sun

Jill Gomez,Soprano  Radio Symphony Orchestra  Otto Ketting/Kenneth Montgomery,Cond.
1990 BVHaast  CD9105

オットー・ケッティングの管弦楽作品2つ。
「交響曲第3番」(1990)はラヴェル作品のイディオムを意識した作品。
ラヴェルの和声を想起させる流麗な響きが、ケッティングらしい重厚な作りの作品に組み合わさる。
まさに交響曲と言いたくなるようなポリフォニーの連続と鋭い動きが心地よいです。
そこから時折あらわれる、一気に流麗で壮大な音楽へ変わる瞬間なんかが本当にたまらない。
20分以上の長さを持つ第1楽章は、それだけでも大ボリュームです。
第2楽章はいわゆるアダージョ楽章、弦楽の長い響きにピアノの和音が打ち込まれるのも彼らしい。
そして、その響きは同時にアンドリーセンのそれともやっぱり近似している。
第3楽章は、それまでのコード的進行に第1楽章のような動きが再開され、
それらの共演が高揚した頂点でさっと終わる。
「太陽の光」(1978/83)は古代エジプトの詩をテキストにした、6楽章の大作。
独特の死生観に惹かれたケッティングによる、彼の音楽が持つ躍動感を十二分に生かした作品に仕上がっています。
1曲目の、どこかグロテスクな低音の動きとそこから導かれるオーボエの呪術的なソロはとても印象的。
第2曲では金管が激しい掛け合いをするあたりが、まさに彼の音楽。
第3-4曲は比較的落ち着いた緩徐楽章、第5曲のちょっとアラビックで不可思議な旋律捌きは面白い。
終曲は異常な落ち着きを見せた、死と生を描く音楽のラストには相応しいと思える美しい楽想。
第1,2,5曲の激しさがやっぱり好みには合う。でも、そこで考えても声楽まで含めて面白いと思えたのは凄い。



9/27

Adebisi Shank
This Is the Third Album of a Band Called Adebisi Shank

2014 Sargent House  SH122

ダブリン出身のスリーピースユニットの、名前の通りとしか言いようのないアルバム。
冒頭から単調ながらも強烈なビートに乗せた開始らしい開放的な音楽ががん鳴らし。
爽快テンポで程よく飛ばした後はビッグビートで強靭さをさらに倍増。
基本的には早いトラックと落ち着いたトラックを交互に。
ボコーダー使用の音声サンプリングの使い方から、印象は
極端にテンションの突き抜けたエレクトロか、マスロックの影響が強いレイヴ系サウンド。
とにかく鮮烈というか濃い音楽です。個人的にはトラック6から7にかけてがすごくお気に入り。
35分しか収録されていないのが何とも残念なこと。
聴いていて無理やりに体が揺さぶられているような有無を言わさぬ感覚は
その筋肉電球マンの頭がはじけ飛ぶジャケットですべてを表されています。このセンスはマジ秀逸。



9/23

Jacob ter Veldhuis
Postnuclear Winterscenario No.3, De Zuchten van Rameau,
The Laws of Silence, Lucebert -Van Grote en Kleine Vogels, The Storm

Groningen Guitar Duo  Annelie de Man/Thora Johansen,harpsichord  Djoke Winkler Prins,Soprano
BVHaast  CD 9606

ヤコブ・テル・フェルトハウス(1951-)の古い作品集を偶然ゲット。
「核の冬構想第3番」、これは幾多もあるこの曲の編成種類によって番号が変わるだけみたい。
彼の曲としては異常に簡素な、単音の旋律が重なっていく憂鬱な音楽。
これ、間違いなくグローニンゲン・ギター・デュオのCDに収録されてるのと同じ音源だ…残念。
「ラモーの溜息(The Sighs of Rameau)」はソロ楽器にテープ再生とプロジェクションが付随する彼お得意のパターン。
ラモーのクラヴサン組曲を基に構成された、バロック音楽の構成要素を再構築して見出していく試み。
まるでフリージャズのような淡いテープにハープシコードがアルペジオを重ねていく。
中盤になると次第にエコーからリズムが現れ出し、ポップながらもハープの舞のような綺麗な音が乱れ打ち。
後半にはロックのリフもサンプルに現れながら混沌としていきますが、最後は冒頭のような静けさに回帰する。
「The Laws of Silence」はテープ作品。「車椅子の物理学者」として有名な
スティーヴン・ホーキングの使う人工音声に興味を持って、これをサンプルに音楽を組み上げた模様。
彼の本領発揮、ポップに壮大に、楽しくてリズミカルだけど変てこな、サンプリングの醍醐味が味わえる。
なお、ここの音源は後年編集された短縮版で、本来はもっとあるらしい。
「ルチバート(Lucebert -On Birds Large and Small)」は1987年、比較的初期の作品。
オランダの芸術家であった彼の詩にテープ伴奏と歌唱を付けた、ポップ色の薄い作曲です。
ただ、そのテープ音響自体は近年の彼らしいところもあるので、ポップというかチープに聴こえなくもない。
3曲目なんかは、そのリズミックというか反復的な構成が近作を連想させる出来。 「嵐」は「ラモーの溜息」で使われなかったスケッチを再利用して作曲されたもの。
これらの作曲中に滞在していた友人作曲家宅の留守番電話などをサンプリングしています。
なんというか、ライヒの音声サンプリングみたいなことをしているけどインパクトはない。
ただ、その分バロックの残滓と一緒くたに淡々とミックスされていく感覚はこの上なく彼らしいポップさ。
2,3曲目が期待通りのアヴァンポップしてて最高でした。



9/10

John Rutter
Requiem

Justyna Stepien,S.  Musica Sacra Warsaw-Praga Cathedral Choir  Pawel Lukaszewski,Cho.Mas.
Lomza Chamber Philharmonic  Jan Milosz Zarzycki,Cond.
2011 Musica Sacra Edition  034

ジョン・ラターの代表作「レクイエム」を総ポーランド勢で演奏。
2010年にスモレンスクで起きた、ポーランド空軍機墜落事故の追悼1周年として行われた演奏会からのライヴ録音。
「Requiem aeternam」、ティンパニの弱いリズムに始まる音楽は
どこか葬送行進を思わせながらも、音楽は非常に美しくラターらしい歌いまわし。
「Out of the deep」はチェロ独奏が重要な役割を果たす、暗めの音楽。
替わって「Pie Jesu」はとても穏やかで甘い、ラターの歌いまわしが炸裂した有名な楽章。
クラシックを超えてヒーリングに近い聴きやすさを兼ね備えています。
「Sanctus」はグロッケンや木管の響く、短くも輝かしい楽想。個人的にはラターはこういう部分が一番好み。
「Agnus Dei」は重苦しい葬送行進が鳴り響く、最もシンフォニックな楽章。
その意味では、一番ステレオタイプのレクイエムに近い音楽を聴けるともいえる。
「The Lord is my shepherd」はオーボエが旋律を奏でる点が、同じく詩編からの引用をしている
第2楽章との対応をしています。こちらもなかなか旋律美が光る綺麗な音楽。
「Lux aeterna」は最後に相応しい、穏やかなコラール風の旋律で終わる。
演奏は予想をはるかに超えて良かった。まあ、背景事情としても
大統領含む全員が死亡した第二次大戦以降のポーランドで最悪とも言われた事故の追悼式典ですから
演奏にも感情が籠っているのはよく分かる。録音もライヴと思えない良好さ。



9/3

Marc-Henri Cykiert
Capriccio Hassidico
Capriccio Hassidico, Phapsodie Herschel Grynszpan, Danse,Danse,Danse ,
Ta Mere Ne Reviendra Jamais, La Vie est une Petite Chanson

Michael Guttman,Violin  Frederic Rzewski,Piano
1991 Editions Sowarex/Igloo  IGL 095

ベルギー・リエージュ生まれ、ギターを学び音楽のみならず写真家としても活動する
作曲家(1957-)の、ヴァイオリンとピアノのための作品集。読みはマルク=アンリ・シキールで良いのかなあ…
解説がフランス語のみで、語学弱い自分には歯が立たぬ。
冒頭の「カプリッチョ・ハシディコ」、のっけから非常に激しい楽想でテンション上がる。
流石に爆走はすぐおさまりますが、基本的には鋭いピアノの伴奏リズムと荒々しいヴァイオリン。
「Phapsodie Herschel Grynszpan」はピアノの憂い気な冒頭から次第に力強く盛り上がる。
第1曲のピアノソロ部分は次第に暴力的なまでに激しくなるのがかっこいい。
アッタッカで入る第2曲、ヴァイオリンの旋律はいかにもユダヤ風。盛り上がりもある、表情豊かな20分近い音楽。
この人の曲は、基本的にユダヤというかジプシー音楽に色濃く影響されています。
「ダンス、ダンス、ダンス」はヴァイオリン独奏のための、短い21曲からなる変奏小品集。
民謡風の旋律を基に、ちょっとポロネーズ風の風味付けをした、7分半の音楽です。
「Ta Mere Ne Reviendra Jamais」はピアノソロのための12の変奏曲。
どうやら子守唄を主題にしているようです。そのため、これは比較的おとなしい。
もちろん、変奏の端々に爆発がありますが…それもあってやや前衛さが目立つ。
「La Vie est une Petite Chanson」はクレズマー音楽が主題に使われています。
これは比較的小品チックな、軽やかさを感じる楽想に仕上がっています。…最終楽章以外。

ジプシー音楽を強く感じさせる、やや前衛的な激しさも併せ持つ強烈なリズムの音楽たち。
大御所二名の演奏も文句なし。というか、(師でもある)ジェフスキの演奏が強烈すぎる。
この鋭い名演のお蔭で、クラシックのみならずジャズやチェンバーロックにも通ずるものを見つけられます。
その意味では、最初の2曲が凄くおすすめ。



8/22

Jean Wiener
Works for Piano
Second Sonatina, Reve, One-Step, Sonatine Syncopee,
3 Moments de Musique, Blues, Haarlem, 3 Dances, Sonata

Marcel Worms, Piano
BVHaast  CD 9614

パリ音楽院で学び、若いころはミヨーやコクトーらと特に親交の深かったジャン・ヴィエネル(1896-1982)。
ナイトクラブのピアニストとして経歴デビューしたり、映画音楽の作曲やラジオでの即興演奏を積極的に行い、
後年はピンクフロイドを聴きながらベリオやディティユーとも友人だったりと
終生純音楽と軽音楽と言われるカテゴリの壁をなくそうとしていた人物でもありました。
「第2ソナチナ」第1楽章は、プーランクも引用したことがあるシャンソン歌手Yvonne Printempsに捧げられています。
シャンソンにウインナ・ワルツを組み合わせたような、流れるような音楽。
第3曲なんかは、ジャズと名付けられている通り20年代ジャズの語法が丸のまま出ていて爽快。
「夢」はウインナワルツとジャズを組み合わせたような独特の音楽が面白い。
「ワン・ステップ」(1926)はその名の通り、当時流行していた踊りの一形式をそのまま表したもの。
彼が作ったミュージカルからの抜粋ですが、短くもダンサブルな軽い小品。
「シンコペート・ソナチネ」(1921)はかなり初期の作品。
これはかなりクラシカルな軽さが聴けて良いと思う。プーランクやケクランの軽いところを抽出したような楽想。
「音楽の3つの瞬間」(1980)は替わって最晩年の作曲。
こうしてレント主体の音楽を聴くと、和声は六人組あたりのものと似通っていて
彼らと同世代の人物だったんだなと凄く納得できる。
「ブルース」「ハーレム(ブルースのテンポで)」は彼のジャズ趣味がそのまま出た名前通りの小品。
「3つの踊り」(1955)は彼の軽快な作風がジャズの影響抜きで聴ける。
ポルカ、ジャバ(19世紀仏で流行った形式)、タンゴ、どれも見事。
「ソナタ」(1925)は彼のバロック趣味が現れた作品。第1曲はかなりバッハしてる。
そこにポルカやジャズやストラヴィンスキー風新古典が紛れ込んでくるからいかれてる。

近代の中で活躍していた人物ながら、かなり知名度が無い存在。
サティがこれだけ再評価されている中、もうちょっとでも知られて欲しいものです。
オランダのピアニストによる演奏も良いタッチで満足でした。



8/17

In Memoriam Hungarian Composers Victims of the Holocaust
Laszlo Weiner(1916-44); Duo
Pal Budai(?-1944~45?); Short Dances from the Ballet"Doll Doctor"
Sandor Kuti(1908-45); Sonata for Violin solo, Serenade for String Trio
Gyorgy Justus(1898-1945); Jazz Suite
Elemer Gyulai(1904-45?); Lullaby, Air
Sandor Vandor(1901-45); Air

Vilmos Szabadi,Vn.  Peter Barsony,Vla.  Ditta Rohmann,Vc.
Emese Mali/Marta Gulyas,P.  Bernadett Wiedemann,Mezzo-Sop.
2008 Hungaroton  HCD 32597

ホロコーストの犠牲になったハンガリーの作曲家を集めた一枚。
Laszlo Weinerはコダーイの作曲クラスで学んだ作曲家。28歳の若さにして、収容キャンプでその生涯を終えさせられました。
ヴァイオリンとヴィオラのための「二重奏」は音楽のメロディアスさがよく分かる。
実に伸びやか(で民族的)な旋律が時に影を持って、また溌剌に跳ね回る。
Pal Budaiについての情報は殆ど残っていない様子。当時の人間に聞いても彼の名を覚えている人は
少なかったようですが、合唱の指揮や作曲を行い最後はやはりFoldvarのキャンプで生涯を終えたようです。
ここに収録された「ショート・ダンス」はピアノ連弾で出版されています。
低音のリズムから愛らしい行進曲調の音楽が響く「Tin Soldiers」、シンコペーションの印象的な「コサック・ダンス」、
優雅な「ワルツ」、スケルツォとも牧歌とも言えそうな「シェパーズ・ソング」、軽快な二拍子の「ファランドール」の短い5曲構成。
Sandor Kutiは1930年代にハンガリー期待の若手として華々しくデビューしましたが、
そのためか1940年にはキャンプ送りになり、そこで最後の作曲活動を行うこととなります。
「ヴァイオリン独奏のためのソナタ」は1944年に書かれた、彼の最後に近い作品。
3楽章8分の作品は、どこもえも言えぬ哀愁と重さ、美しさが漂います。
収容所供給の紙に、妻への最後の言葉と添えて書かれた作品。
Gyorgy Justusはおそらくこの中で一番有名だった人物。作曲家、ピアニスト、評論家などの活躍で名を馳せましたが、
収容から逃れるため2年ほどブダペストで隠遁生活を送り、最後には密告で命を落とします。
「ジャズ組曲」(1928)は、彼の作品の中では今日もっとも知られているもの。
ストラヴィンスキーやヴァイルのような、新古典的とも言えるはっきりした基板の上で旋律が軽やかに跳ねる。
Elemer Gyulaiは現在、彼が書いた2つの音楽書のみで知られている状態。
「子守歌」は5拍子のリズムの上で軽やかに女声が跳ねる、いかにも民族的楽想な短い音楽。
Sandor Vandorはハンガリー内でバルトークやコダーイの普及に尽力し、合唱指揮などにも積極的に活躍しました。
合唱団や街路の名前にも残っているのに、今では作品の演奏機会は殆どないそうです。
最後は収容所におけるあまりに非人間的な扱いで死に至ったとのこと。
チェロとピアノの為の「エアー」はコダーイにも似た、実に美しく切なさも感じられる旋律が舞う。
一方Gyulaiの方の「エアー」はピアノ独奏。簡素な主題がさらさらと流れ、
けれどもその中では詩的でメランコリックな楽想を表現した3分ほどの作品。
最後はSandor Kutiの「弦楽三重奏のためのセレナーデ」。
典型的なソナタ形式の第1楽章、ミュートされた中でやや神秘的に進むスケルツァンド。
最後はチェロで始まるアダージョで締める。
Weiner、Budai、Kutiのソナタ、Vandorの作品が個人的には良かった。



8/16

Damned Dogs
Damned Dogs

2011 Kuma Tapes  01(Cassette)

Life Likeレーベルの関連レーベルとして発足したKuma Tapesの第1弾リリース。
サイケポップ系ユニットSwimsuitのメンバーAmber FellowsとFred Thomasによるプロジェクトです。
色あせた淡い響きの中から、口笛のような旋律がふわふわと浮かび上がる。
オルゴール風の電子音がディレイの中で鳴り響き、ころころとした空間を作る。
揺らぐようなシンセ音が、ちょっとチープだけれど心地よいアンビエントをかろうじて作り上げる。
けれど、その音楽はテープ独特のヒス音響で、くぐもった世界の中でフィルター越しに見ているよう。
トラックによって淡く美しい感じだったり、ちょっと妖艶でアヤシイ感じだったり。
不思議な幻想世界を味わえる、テープ独特のアンビエント音楽でした。
限定30部ですが、なんかエディションが2つあるらしい。30分テープ。
あとKumaってレーベル名だけれど、ジャケはもちろんレーベルマークも犬にしか見えないんですけどこれ。



8/13

Points of Departure
William Bolcom; Machine from symphony no.5
Frank Ticheli; Concerto for Clarinet
Evan Chambers; Outcry and Turning
Michael Daugherty; Ladder to the Moon
Roshanne Etezady; Points of Departure

Daniel Gilbert,Cl.  Yehonatan Berick,Vn.
University of Michigan Symphony Band  Michael Haithcock,Cond.
2013 Equilibrium  EQ 110

ボルコムの交響曲第5番終楽章編曲は機械的な強い推進力を味わえる。
こうして吹奏楽で聴くとよりリズムの分厚さが強調されていて悪くない。
ティケリの「クラリネット協奏曲」はガーシュウィン、コープランド、バーンスタインを
オマージュしたパロディの多い音楽。冒頭からラプソディー・イン・ブルーを丸パクリ。
第2楽章はコープランドの緩徐楽章を意識した、淡くも開放的な音楽で良い。
第3楽章はバーンスタイン。タイトルもそうだし、この編成だと
彼の「プレリュード、フーガとリフ」を強く思い起こさせます。
エヴァン・チェンバース作品はイラク戦争への警鐘を込めて書かれた作品。
混沌とした冒頭から次第にリズムを伴って激しくなっていく音楽はとてもかっこいい。
劇的な構成の、難しくも挑戦し甲斐のありそうな曲です。気に入った。
ドアティ作品はヴァイオリンソロを管楽八重奏とコントラバス、打楽器がサポート。
ジョージア・オキーフの絵画にインスパイアされた音楽です。
第1楽章はニューヨークの夜を描いた、ドアティらしいクールさを聴ける。
第2楽章はまた別の都市風景、ヴァイオリンのカデンツァを挟んで
強いリズムを放つドアティの音楽が持つビートがアメリカ精神らしい音楽を組み上げる。
ボルコムやドアティらに学んだ女性作曲家(1973-)の作品は、朗読をメインに据えた歌曲集。
様々な旅の形態を記した自身のテキストを、メゾソプラノが歌う。
音楽としては、歌い方もあってなんだかジョン・アダムスを聴いているよう。
彼の「I was Looking at the Ceiling」みたいな感じがもうちょっとクラシカルになったような
妙に聴きやすい快活さがある。個人的には良いけれど、一般としてはどうなんだろう。
第4楽章はスチールパンまで使ってカリビアンな雰囲気満載。
なんというか清々しいまでにポップなところが前述の作品と共通している。



8/8

Absolute Value of Noise and Lori Weidenhammer
The Laughing Dress

2008 Absolute Value of Noise Production  なし

カナダのBrian Charlesによるソロユニットとやはりカナダ・バンクーバーの女性パフォーマーによる合同作品の一つ。
このCDは人魚伝説(でもMelusineて調べるとちょっと人魚のイメージとは違うような…)
を元に制作されたインスタレーション系の作品です。人魚の恰好をベースにして
マイクロスピーカーとモーターを随所に盛り付けた、なかなかシュールな外見の衣装をつけてパフォーマンス。
そこに波の音や電子音ドローンなどを入れて、トラックごとに様々なサウンドスケープを作り上げたもの。
演者自身による朗読が物語を話すので内容は追いやすい。
ただ、それもあって余計にB級というか、アングラなイメージが強い音楽。
まあ、ジャケットの明らかに色物なインパクトからすると真面目な内容だったから良しとしますか。
やり方はともかく、音だけで聴くとなかなか悪くない内容でした。



8/4

Laberintos
Herbert Vazquez; Los Laberintos del Sueno
Maria Granillo; Trance
Georgina Derbez; Cuarteto de Cuerdas No.1
Horacio Uribe; Trio No.1
Armando Luna Ponce; Sonata de Camara No.2

Onix Ensemble  Jose Arean,Cond.
2006 Urtext  UBCC 130

メキシコの若手作曲家による現代作品を演奏している一枚。
ギタリストでもあるヘベルト・ヴァスケス(1963-)はレオナルド・バラダやルーカス・フォスらの師事経験あり。
作品は弦楽トリオとフルート・ギター・ヴィブラフォンの組み合わせが
音響的な対比にもなる、5部分からなるリズミカルな音楽。
各楽器間の分担がいい具合に流れを損なわせない。最後はちょっと冒頭に似た雰囲気になって終了。
マリア・グラニージョ(1962-)はメキシコでエストラーダらに学んだ後イングランドにも渡っている女性作曲家。
室内管弦楽のための「トランス」(1999)は緊張感を持った、やや旋律的な印象を持つ掛け合いに始まり
次第にティンパニなどのリズムが現れてリリカルな感覚も持った優雅さも兼ねた踊りに発展する。
中間部のトロンボーンソロはエキゾチックさがホヴァネスみたい(と解説は言ってる)。
最後は前半のような盛り上がりを見せながらも、次第に消えるように終わる。
同じく女性作曲家ヘオルヒナ・デルベス(1968-)の「弦楽四重奏曲第1番」(1998)は
スル・ポンティチェロの薄い持続音から次第に動きが出てきて、同じ和声的持続の中でも
熱気がどんどんと漏れ出していく。最後は冒頭に戻るような感じですが、旋律的な動きはより現れている。
ホラシオ・ウリベ(1970-)モスクワのチャイコフスキー音楽院で学んだこともある人物。
「ピアノ三重奏曲第1番」第1楽章は変拍子も使ったリズミカルなModerato Ritmico。
作曲者曰く「オリエンタルな感じにもした」らしいんですが、あんまり感じません。
ただ、メキシカンなイメージではないことははっきりわかる。
長さとしてはメインの第2楽章、弦楽器の独特な歌いまわしは民謡的なものというか、むしろショスタコ。
そこらへんは学んだ場所柄なんでしょうか。盛り上がりも良いけれどリズム処理がすごくそれっぽい。
第3楽章はポリフォニーも思いきり使った鮮やかな曲。こっちのほうがむしろオリエンタルだよな…
アルマンド・ルナ・ポンセ(1964-)も主に師事した人間としてはレオナルド・バラダやルーカス・フォス。
作品は4楽章からなり、序奏的なとりとめないリズムがちらばる第1楽章、
サルタレロを意識したうねるような動きが特徴的な第2楽章、アダージョの第3楽章、
他ジャンルのダンスも想起させる激しさの第4楽章。
どれも悪くなかったけど、聴きやすさとしては中3曲。楽しさとしてはグラニージョ、ウリベ、ルナ・ポンセか。



7/30

Andreas Brandal
Secrets of the Snow

2010 Stunned Records  no.68(Cassette)

ノルウェーはベルゲン出身の、リリースも多い活動的なアーティスト。
ぱらぱらと粒子状の音やフィールド風ノイズに、ふわふわと心地よいドローンが。
そこに虚ろなギタードローンやアコギの爪弾きも加わる。
次のトラックはいきなりどろどろにくぐもったノイズで始まりますが、
そこから淡くエレキギターの音が浮かび上がってくるところとかなかなかかっこいい。
ただ、それ以降は実験色の方が強いかな。虚ろなギターや打楽器など。
全体としては実験的音響と美しい瞬間がうまく混ざっていて、悪くなかった。
限定111部。



7/28

Otto Ketting
Time Machine, For Moonlight Nights, Symphony for Saxophones and Orchestra, Monumentum

Rotterdam Philharmonic Orchestra  Edo de Waart,Con.
Abbie de Quant,Fl.  Radio Philharmonic Orchestra  Otto Ketting,Con.
Netherlands Saxophone Quartet  Concertgebouw Orchestra  Bernard Haitink,Con.
Ensemble of the Rotterdam Concervatory  Otto Ketting,Con.
Donemus / Composers' Voice  CV 21

ハーグ音楽院でトランペットを学びハーグ管弦楽団で実際に奏者を務めながら
ハルトマンや父ピエトに作曲を学んだオランダの作曲家オットー・ケッティング(1935-2012)の作品集。
「タイム・マシーン」(1972)は6人の木管と10人の金管に3人の打楽器奏者のための、彼の代表作。
冒頭の瞑想的な序奏ののち、金管の刺すような鋭いパルスとスネアの応酬、
低音のどろどろとしたうねりが激しく絡みつく、10音からなる和声的動機を軸にした音楽。
中間の旋律的な淡い音楽もかなり良いのですが、やはりこの爽快にもなれる
ケッティングらしい非常にパワフルな音楽が素晴らしい演奏で聴けるのは非常に良い。
「月明かりの夜に」(1973)はフルートと26楽器のための室内協奏曲作品。
瞑想的な作風はおそらくはケッティング初期にも通ずるものがあるのでしょうか。
が、中間部からそれまで沈黙していた4本ずつの直管群がグロテスクに動きだす。
それを機に楽器が次第に激しさと緊張を増していくあたりはやっぱりかっこいい。
「サクソフォンと管弦楽のための交響曲」(1978)は木管楽器が存在しないあたり彼らしい編成。
もちろん金管は(6-5-4-1)と良い感じに増強されてます。ちなみにコントラバスもなし。約30分。
単一楽章ですが4つの部分からなります。冒頭のサックス四重奏による部分を聴いても分かるとおり、
和声的な音塊を元にした幾分ミニマルにも聞き取れるブロック的な進行をしていく。
そこに金管が次第にパルスのような動きで扇情的に入ってくるあたりは
アンドリーセン作品を聴いているのに似た爽快さがあって本当に痺れる。
アダージョ部分は弦楽とサックス、ピアノによる和声の積み重ねによる瞑想的だけれど
その中に勢いも感じられる音楽。和声進行みたいなものなのにアタックが容赦ないので全く弛緩しない。
第3部は"春の祭典"とした、グロテスクなリズム進行を元にした楽想。
まさにケッティング節炸裂の、勢いと力に満ちた聴き手を激しく揺さぶる動き満載です。
最後は再びアダージョ、これまでの和声要素も現れながら、
サックスが一番旋律的なものを演奏して穏やかに美しく終わる。
オランダ国内で受賞したことがあるだけの、素晴らしい作品でした。
最後に、金管楽器とピアノ、打楽器のための「モニュメンタム」(1983)。
冒頭の淡さを持った分散和声をピアノ主導で響かせるあたりはとても綺麗。
次第に金管のコラール風動機と低いクラスターから、次第に彫像的なイメージを喚起させる盛り上がり。
その頂点で後期ロマン派を思わせる壮大な音楽が爆発します。
が、それは一瞬。ピアノとチューブラーベルによる冒頭を思わせる淡い響きの中に消えていく。
金管楽器を好む人間にはたまらないであろう作品が非常に多くて自分に大ハマリ。
というかそもそも、作曲者の来歴もあるだろうけど編成の時点で金管偏重なあたりが実に良い。



7/24

Repeat!
Laszlo Sary; Pebble Playing on a Pot, Canon
Arvo Part; Pari Intervallo, Spiegel im Spiegel
Luc Ferrari; Madame de Shanghai
Louis Andriessen; Lacrimosa, De Lijn
Salvatore Sciarrino; Immagine Fenicia
Tom Johnson; Kirkman's Ladies -Rational harmonies in three voices, 32 Breaths
Kevin Volans; Walking Song
John Cage; Ryoanji
Morton Feldman; Trio for Flutes
Alvin Lucier; 947
Stefano Scodanibbio; Ritorno a Cartagena, Voyage Resumed
Aldo Clementi; Canzonetta, Parafrasi 2
Viktor Ekimovsky; In Canes Venatici
Jonathan Harvey; Ricercare una Melodia
Zoltan Jeney; Landscape ad Hoc

Manuel Zurria,Flutes
2008 Die Schachtel  ZeitC01

イタリアのフルート奏者による、ミニマリズム系統の音楽を集めた3CD。
ラースロー・シャーリ「Pebble Playing in a Pot」の4本フルート版、
小気味よい旋律が少しづつずれながらも特定の和声を不規則にアクセントで鳴らす。
ペルト作品は、オリジナルは4つのレコーダーによる作品らしいですが、
ここではボトルやグラスも用いた、不思議なエレクトロアコースティック風世界。
音楽自体は中期の彼らしい、すごく簡素で憂いのある綺麗な音楽。
リュック・フェラーリ「上海の夫人」は3フルートとテープのための作品。
中国歌謡と会話のサンプリングに始まり、ディレイのようにも聞こえてくる
フルートのモチーフと交互しながら、倒錯した不思議な音楽を作る手腕はまさにフェラーリ。
アンドリーセン「ラクリモーサ」は元々ファゴット2台のための作品をバスフルートで演奏。
彼らしい不思議な長い旋律を少しづつずらしながら倒錯的・瞑想的な世界を作っていく。
それにしても、結構な高音域なのにあえてバスフルート等の低音楽器で行わせる辺り
音響効果としての不安定さが巧い具合に使われていて良い。
シャリーノ作品は増幅されたフルート独奏。キー操作のかすかなビートに乗せ
ブロウイングの音がリズミカルにアクセントをつける。彼にしてはすっきりした、聴きやすい作品。
ペルト「鏡の中の鏡」は有名作。ここではハープシコードにバスフルート、それとグラスやベルなどを添えて。
これくらいの不可思議アレンジだと、この曲は適度に刺激的でかつ綺麗さを損なわない。
アンドリーセン2つめ「線」は3フルートによる1分に満たない小品。
非常に活発で小気味よい、さっきとは別に彼らしい旋律が少しづつずれて和声になっていく。
最後は6フルート版のシャーリ「カノン」で。旋法的な音楽が絶妙に絡み合う、ライヒ的音響。
CD2、トム・ジョンソン作品は同名のHat hutからのCD持ってた。ここでは作曲者自身のナレーターつき。
和声をぱらぱらとこぼす音楽の合間に朗読が細切れになって入る、彼らしいミニマル。
ケヴィン・ヴォランズ「ウォーキング・ソング」はハープシコードとの二重奏にクラッピング付き。
ハープシコードとフルートの補完的な難しい掛け合いにはじまり、クラッピングのリズムがビート感を出す。
ケージの「龍安寺」がここに入っていることに笑えるけれど定番に感じる。
4バスフルート、東洋打楽器、テープの編成で録音された、金属打楽器の中国感が果てしない17分。
フェルドマン「フルートのためのトリオ」は1972年作品ですが5分に満たない短さ。
原曲は普通のC管のために書かれていますが、ここでは何故かバスフルートで演奏。
ただ、この方が曲の虚ろでゆったりとした時間の流れを感じられていいかもしれない。
アルヴィン・ルシエ御大の「947」、解説がこのCDにないので題の由来は分かりませんが、
中身は実に何時も通りのサイン波と独奏が共演して倍音のうなりを発生させるだけ。
ジョンソン2発目「32Breaths」はブレス音のゆっくりとしたビートの合間に一つずつ音が増えていく旋律が挟まれていく。
CD3、コントラバス奏者として即興演奏も得意としていた
ステファノ・スコダニッビオ(1956-2012)の1曲目は増幅されたバスフルートのための曲。
増幅されたキー操作のビートも、バスフルートで行うと虚ろなドラミングになるのが凄い。
そこにブローイングなどの風音がさっと過ぎ去り、プリミティヴな空間が広がります。これすごく良い。
アルド・クレメンティ1品目も、2本のG管フルートのためのものをバスフルートで演奏。
短いながらも、全音でのずれを使った絶妙な響きが聴ける。
ヴィクトル・エキモフスキーの曲は3フルートとテープのための。
テープ音響の空虚なエコーに包まれて、フルートたちが茫洋と旋律を重ねていく。
ハーヴェイ作品はデジタルディレイを比較的シンプルに使った意味ではミニマルな反復性か。
旋律もかなり技巧的で、5分という長さの割にはかなり聴きごたえがある。
ハンガリーのゾルターン・イェネイ(1943-)による作品は鳥の鳴き声のサンプルとシンセサイザーが伴奏。
環境音のようなふわふわしたシンセにフルートが簡素な旋律をつける。
なんか音響的にはちょっとダークなアンビエントを思わせる。
クレメンティ2曲目、テープとの作品はちょっと素っ気ない感じの旋律を録音したパートが幾重にも追っていく。
次第に収束して、旋律対和声に替わっていくあたりが彼らしい筆さばき。
スコダニッビオ2曲目は本来テープとコントラバスのための作品。
低弦の持続音を意識したドローンにフリーで幾分かエキゾチックな旋律。
次第に熱気を帯びてリズミカルになるあたり、ラーガみたいな構成。この人の曲良いなあ。
実に満足できる3枚組でした。



7/23

Come Dance With Me
Alberto Ginastera; Danzas Argentinas, Suite de Danzas Criollas
Joaquin Turina; Danzas Gitanas Op.55
Olivier Messiaen; Prelude No.1 & 8 from eight preludes
Ernesto Lecuona; La Comparsa, Malaguena
Andre Mathieu; Prelude No.5 'Prelude romantique'
Zygmunt Stojowski; Vision de danse Op.24-4, Intermezzo-Mazurka Op.15-2, mazurka fantasque Op.28-1
George Gershwin; Prelude No.3 from three preludes
Henryk Mikolaj Gorecki; Four Preludes Op.1
Frederic Mompou; Canciones y Danzas

Katarzyna Musial,Piano
2013 Meridian Records  CDE 84621

ポーランド系カナダ人女性によるアルバム。
ヒナステラの名曲「アルゼンチン舞曲集」で開始。すっきりした流れと程よいテンポ感の良さが心地よいです。
勢いはそこまでないのは残念ですが、安全運転と評することなく好感を持てるのが良い。
なので、肝心の第3曲の派手さは期待してはいけませんが、全曲は落ち着いて聴ける。
トゥリーナ作品はアンダルシア音楽を題材にしたなかなか熱い逸品。ただ、これは流石に演奏が端正すぎる気が。
メシアン作品は彼最初の出版曲なだけあって、まだドビュッシーなどの印象派に強く影響を受けていたもの。
聴いていて、後年の趣は全く感じられません。演奏はこういうのだと良い感じ。
レクオーナの「La Comparsa」は17歳の作曲、アフロキューバンなリズムが心地よい。
マラゲーニャは代表作ですね、こういうストレートな作風は良い感じの演奏。
Andre Mathieu(1929-68)はケベックのピアニスト・作曲家。「カナダのモーツァルト」と言われただけあって
この作品も20歳の時のもの。近代の作風をくみながらもロマン的な旋律。
ジグムント・ストヨフスキ(1887-1946)はドリーブやパデレフスキらに師事したポーランド出身のピアニスト・作曲家。
柔軟な旋律回しとポーランドらしい骨太のリズム感覚が良い。音楽はロマン派に近いですが。
ガーシュウィンの曲も有名な作品、これだと演奏はちょっと大人しめかな…曲のノリがいいだけに。
グレツキ作品は最初期の作品なのにこれで録音がさらに多くなる。まあ数少ないピアノソロ作品だから…
演奏としては、やはり丁寧なタッチながらダイナミクスは程よくにつけてくれるので中々いい。
残響が適当についているので、以前からの盤に比較して聴きやすくなってます。
派手さはないですが、それを抜かせば勢いもあってかなりレベルが高い演奏。
モンポウ作品は彼らしい軽いタッチが聴ける。
最後のヒナステラ作品は、悪くないけど第1曲とかはもっと繊細な響きにしてほしかった。
ただ、それ以降の勢いの良い曲群は良い感じに和声を響かせていて楽しい。
曲目はかなり好みだっただけに高すぎる期待を持ってましたが、端正かつ表情付けが豊かで悪くない。
ただ、これ録音の音量レベルが低すぎるんじゃない?



7/21

…放置しすぎた。増えてきたから、今度までにまたカテゴリ再配分考えた方が良いかも。
仕事に体力と精神持ってかれまくりなのもまあ事実か。
どっかにそこそこの金で良いから超短時間の勤務ないかなあ。



Marihiko Hara
Flora

2013  Drone Sweet Drone Records/night cruising  dsd011/NCD-02

京都を中心に活動する原摩利彦の3rdアルバム。
それまでのアルバムはリズムが主体になっているとのことですが、
このCDではピアノが音の中核になっています。
簡素なピアノの旋律がくぐもった音響の中で奏でられ、そこに時折淡く電子音響が入り込む。
どれも短い、さっと消えゆくような儚さを持った音楽です。
個人的には、フィールド音や虫の音が混じるトラック4のピアノとか好み。
トラック6のみ8分ほどあるドローン風の音楽で、これまた中間部における違うアクセントを持っていて良い。
40分もない収録ですが、シンプルで聴きやすい一枚でした。



(7/21  これまでのCDレビューを移動しました。)



5/25

ついに今日はグレツキ関係の音源を追加するという1年4か月ぶりの業績を達成。
そのため、相も変わらずこのページの整理は延期です。
大丈夫、こんどやるからさ。問題ないよ、OKOK。きっと。

5/14

しばらくこのページを整理してなかったので、(今度更新するときは整理も同時に)
とか思ってたら、気が付いたら2週間放置という為体。
しかも、その挙句整理できてないという…まあ、また、今度ね、今度。

3/24

内示がありました。4月から、別のいちご等の部署に異動とのことです。
ほぼ間違いなく、今までが暇に思えるくらいに会社で仕事ばかりしている毎日になるでしょう。
時間拘束的にも精神的にも一番きついと揶揄されることもある某部署だけに不安だらけ。
今まで自分なりに伸ばしてきた業務を手放さなければならないのもあって、久しぶりに、本気で心が折れそう。

3/21

昨日は赤坂へピアノのコンサートを聴きに行ってきました。
ショパンやドビュッシーから現代曲を中心に。ピアソラの「ピアノのための組曲」は初期作品だからか
両端楽章がすごく師のヒナステラを連想する作風。エルッキ=スヴェン・トゥールのピアノソナタは
彼らしい歌いまわしがたくさんありながらも聴きやすい反復構造が支配していて良かった。
カール・ヴァインのソナタは初耳でしたが、思ったよりジャズ風でカッコいい音楽。
ベデッティというイタリアの若手作曲家作品は、ちょっとチープながら独自のクロスオーバーぶり。
最後のフィトキン「やすらぎ」は榎本玲奈女史の得意ナンバーらしく一番熱がこもっていたと同時に
ベヒシュタインと現代作品の相性の良さが一番確認できた。
アンコールに佐藤聰明の「コラール」を出してくるところまで含め、本当に良かった。
演奏の満足感でいっぱいになって、傘を忘れてくるくらいには。

3/2

一昨日の伊福部昭は、仕事飲みのせいで前半が聴けず終い。本気で後悔してます。
まあ後半は池辺晋一郎と井上道義両氏の絶妙でシュールな掛け合いが楽しめたから良いか…
逆に言えば、それが楽しかった分前半への思いが募るのだけれども。

2/24

昨日は実に5年ぶりの演奏会出演でした。失敗もしたけれど、やっぱり演奏することは楽しい。
時間と金の両方があればいいのになあと思うことしきり。

2/9

昨日の雪は凄かった、おかげで誕生日だったという事実を半ば忘れて部屋で震えて終了。
まあ流石に30代が見えてくる歳じゃ浮かれようもないし…
でも雪の降りっぷりに興奮して、わざわざ外に出てたよね。そんなんじゃ…

1/20

昨日の新交響楽団の定演は日本人プログラム。
黛敏郎「ルンバ・ラプソディ」は彼の若書きらしい、パロディ的なモチーフも結構現れる
破天荒な音楽。最近FMで聴いてただけに期待大でしたが、やっぱり良かった。
芥川也寸志「エローラ交響曲」は今までそんな好きじゃなかったんですが、
こうして聴くとけっこう面白い。最後の異常な熱気に包まれていくところは圧巻で
かつ彼らしい聴きやすさが見え隠れしているのがわかった。
これに黛っぽさが加わると晩年の「ラプソディ」みたいになるんだなあ。
松村禎三「ゲッセマネの夜に」は彼晩年の代表作。
メランコリックな旋律美が聴ける綺麗な音楽ですが、こういうのは以外とはまらない。
伊福部昭「ラウダ・コンチェルタータ」がやっぱり目玉。
安倍圭子さんの独奏は流石。真ん中がだれるのは曲上仕方ないか。
むしろ、アンコールで演奏された「SF交響ファンタジー第1番」が凄すぎた。
カットされてるのは残念でしたが、これが聴けたのはとても嬉しかった。

1/6

昨日、会社のそこそこ仲の良かった同期が死んでいるのが見つかった。
恐らくは心臓発作によるものらしいが、年末にも彼とみかんと何を交換するだのの会話を交わしたばかりだったうえ
自分と同じ年の人間がこうもあっさりと死んでしまったことに対する衝撃はかなり大きい。
いろいろと考えさせられる。
1/3

年末は仕事してるか寝てるかといった生活で死んでいたので、その後は寝まくって実家帰って今に至る。
ここの更新を10日以上しなかったのは今までの新記録な気がするな…
何はともあれ今年もだらだら行きましょう。





以前の雑記(レビュー含む先月分)
以前の雑記(日記部分)




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